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スマホ脳と運動脳 (Newton別冊)

ちょいちょい気になる巻を買って隙間時間に読んでる。
以下に面白かった内容をピックアップ

紙vs電子

スマホ読書は読解力を低下させる

2022年の昭和大学の研究
スマホで小説を読む場合と、紙で小説を読む場合とで、読み終わった後の内容に関する質問の正答率を比較した結果、スマホで読む場合は紙で読む場合に比べて正答率が低下した。
同様の結果を示す海外の研究も幾つかある
調査の結果、スマホ読書は紙に比べ、前頭前野の活動が過剰に活性化している事が判明。
また、それと関係して、スマホ読書は紙に比べ、呼吸が浅くなることも判明。
スマホから発せられるブルーライトが前頭前野を過剰に刺激し、呼吸が浅くなる。その結果読解力が下がる。というように考察されているが詳細は不明。
もしスマホで読書する場合、意図的に深呼吸を取り入れる、適宜休憩を挟むなどが有効であると考えられる。

紙の手帳を使った方が忘れにくくなる

東京大学の研究。スマホ、紙、タブレットそれぞれでグループを分け各々の今後の予定を記録させる。
後日その予定思い出させると同時に脳波を測定。
この比較から、紙の手帳を使った方が、記憶の定着が早く、正答率が高くなることが分かった。また、正答率は個人間でのバラつきが小さく、一貫して現れる効果であることが示唆された。
紙を使う場合は、情報を書き込んだ場所、書き込まれた情報間の位置関係など、空間的・視覚的情報を伴った連合学習が行われ、一方電子機器を用いた記録はこのような空間的な情報が紙媒体より少なく、この差が結果に現れたと考えられている。
何かを覚える時、きっかけとなる情報はより多い方が覚えやすい。言語情報だけでなく、空間的な配置、色などの視覚的な情報量を意図的に付与するのが効果的であると考えられる

スマホ断ち

スマホはポケットの中にあるだけで集中力を低下させる

スマホは通知や電源を切っていたとしても、近くにあると言うだけで注意力や認知機能を低下させることが示唆されている。
北海道大学の研究で、目の入るところにスマホを置いて課題に取り組むグループと、スマホの代わりに紙の手帳をおいて課題に取り組むグループとで比較を行った。
実験の結果、スマホが目の前にあるグループは課題完了までの時間が長くなり、成績も悪かった。
また、この効果は個人差があり、スマホを普段からよく使う人程、妨害効果は小さかったという。
スマホの存在に慣れればその妨害効果も小さく抑えられると考えられる。

スマホ断ちの為に画面をモノクロに設定する

スマホ依存を改善するための方法として、手軽で効果が高いのが、画面をモノクロに設定する方法。
モノクロの画面は色覚的な情報量が少なくなり脳を退屈させる。

運動が脳に及ぼす影響

有酸素運動で、脳由来神経栄養因子が増加する

運動によって脳が活性化するという研究結果は幾つかあるが、その契機となるのが脳由来神経栄養因子(BDNF)
神経栄養因子というのは、神経細胞の外に放出され、受容体と結合する事で神経細胞に作用するタンパク質の総称。
BDNFは海馬に高濃度で存在し、学習や記憶の形成に影響を及ぼすと考えられている。
多くの動物実験の結果、運動によってBDNFの発現が増える事と、BDNFの増加が海馬の神経細胞の増加、それによる記憶能力の向上に関与する事が報告されている。
また、ヒトの場合でも運動によって血中のBDNF濃度が向上する事が報告されている。
但し、血中BDNF濃度は中強度以上の比較的強い運動でのみ効果が見られていて、低強度運動では変化が見られないことが分かってる。
また、ヒトの場合において血中BDNF濃度が脳機能に及ぼす影響については十分な研究がされておらず結果の解釈については注意が必要。(BDNF濃度が向上するというところまでしか分かっていなくて、それが海馬の神経細胞数を増加させるのかは分かっていない)

運動によって記憶力が向上する

筑波大学の研究では、ヨガ、太極拳、スローランニングなどの軽い運動が、海馬を刺激し記憶力が高まるという事が報告されている。
超低強度運動を10分間行った直後と、安静時とで、記憶課題に取り組んでいる際の脳の活動を比較。その結果、超低強度運動の直後は海馬がより活発に活動している事が分かった
ただし、この結果が持続的なものなのか、一時的なものなのかについては確かな証拠が得られていない。
また、動物実験によると、運動強度を上げても海馬の活性度は一定値で頭打ちになることが分かっている。

ストレス発散には軽い運動

軽い運動は血中のコルチゾール濃度を下げ、ストレスを緩和させる効果がある。
一方で、筋トレのような激しい運動はかえってコルチゾールの分泌を促しストレスとなる可能性がある。
若齢者では心拍数115~137拍/分程度、高齢者では心拍数100~118拍/分程度からが中強度運動とされているため、ストレス緩和が目的であれば、これらの数値未満に収まる低強度運動をするのがお勧め

ゲームと脳波

オンラインゲームの協力プレー中、他人との脳波の同期が起きる

ヘルシンキ大学の研究から、同じゲームに取り組む二者間で、脳活動の同期が見られる事が報告された。
調査方法は、離れた場所からオンラインゲームをプレイ。
1人が車のハンドルを、もう1人が車のアクセルとブレーキを担当し、2人で協力し合って制限時間内により多くのコースをクリアするというゲーム
その結果、ゲーム中ガンマ波などの特定の周波数の脳波が二者間で同期している事が判明。
対面でのコミュニケーションで同様の現象が生じる事は既に知られていたが、今回の研究によって物理的に隔離された場合でも同じく脳波が同期する事が新しく分かった。
オンラインでの共同作業のパフォーマンス向上のヒントが得られるかもしれないと期待されている。


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