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マーダーミステリー制作こぼれ話その④ クローズ型制作のススメ

先週、新作をリリースしました。

社畜マーダーミステリー『ブラックナイトスレイヴ』という作品です。ブラック企業というキャッチー(?)な舞台で、動画配信を想定しコンパクトで分かりやすい構成を目指しました。

今回のマーダーミステリーは「クローズ型」(クローズド型ともいう)という形式を用いています。今回はこれにまつわるお話をします。ひとことでいうと、クローズ型マーダーミステリーは制作者側のメリットが大きいよという話になります。

クローズ型とオープン型

一義的にこうというのは難しいのですが、一般的に以下のような形態をクローズ型を言う傾向にあります。

① 発言に指示がある
② 犯人以外は嘘をついてはいけない、または制限がある
③ 手掛かりなどを示すカードを用いない
④ 時間が経つごとに、新たな情報が与えられる
⑤ 密談はない

必ずしも全てを満たす必要はないと思いますが、上記の要素をいくつか含むものが「クローズ型」と呼ばれています。

一方で、オープン型と呼ばれているものの特徴は以下になります。

① 発言に指示が無く自由に可能
② 犯人以外も嘘をついてよい
③ 手掛かりなどを示すカードがある
④ 密談がある

グループSNEから発売されているミステリーパーティーインザボックスシリーズなど、日本におけるメジャーなタイトルの多くはこちらを採用しているように見受けられます。卓ごとに色んな展開が生まれるのが魅力ですね。

クローズ型を制作するメリット① 組み立てがしやすい

クローズ型はオープン型と違い、プレイヤーに提供する情報を制作側でコントロールすることができます。どのタイミングで、何の情報を出すかがどの卓でも同じになりますので、物語の流れを制作側の意図通りにできるわけですね。

つまり、不測の事態やバランスの崩壊が起こる可能性が少ないということになりますので、完成度さえ高ければどの卓でも安定した面白さを提供することができるでしょう。さらに、試行回数が比較的少なくて済むため、テストプレイ回数を減らすことがきます。

クローズ型を制作するメリット② コンポーネントが少ない

マーダーミステリーのコンポーネントを制作する上で、最もネックになるのがカードだと思います。ただ薄い紙に印刷をすればよいという訳にはいかず、強度やデザインをどうするか、考えると手間がかかります。業者に頼むとなると、一回の発注で数万円は覚悟しなくてはならず、コスト面も気がかりになります。

これらの手間やコストから解放されるのも、カードを使わないクローズ型の大きなメリットです。最低限必要なものとして、登場人物の設定書などをA4くらいで印刷すればそれだけで作品として成立させることもできます。とてもコンパクトですね。

クローズ型を制作するメリット③ オンライン対応にしやすい

カードを使用しないことによって、オンライン対応しやすいというメリットもあります。手がかりカードなどの全員で共有するハンドアウトがない(あっても少ない)ので、手元が忙しくならずトラブル回避にもなります。

カードをオンラインで使う場合は、最近はユドナリウムなどのツールも充実していますが、デジタルのカードでも制作の手間がかかることは変わりません。

クローズ型でコンパクトな作品を作ってみよう

以上のように、クローズ型は制作側にとって、物語を組み立てやすい、コンポーネントが少ない、オンライン対応しやすいというメリットがあります。要はコスパがいいものと思ってください。

したがいまして、特にこれからマーダーミステリーを作ろうとしている方に僕が提案したいのは、「まずはクローズ型を作ってみたら?」ということです。おススメはプレイヤー人数が5人程度、時間も60分くらいのコンパクトなものです。

作品というのはまずは完成させるというスタンスも大事ですが、これくらいのサイズ感だと挫折せず完走しやすいものと思います。

特に今は自粛ムードということで、オンライン対応マーダーミステリーの需要が高まっています。始めからオンラインで遊べることを想定していた方が周知しやすいでしょう。

もちろん、クローズ型にはクローズ型の作り方、というノウハウはあります。それについて語るのはまた別の機会にしたいと思いますが、それを身に着けるには、やはりまずは作ってみよう、習うより慣れろが近道なのかもと思うんですよね。

以上で今回のお話しを終わります。クローズ型の魅力が伝われば幸いです。

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