本稿は2020年5月9日に投稿した記事だが、当時はまだCOVID-19が得体のしれないもので、その不安と恐怖から発生したと思われるデマや不寛容が深刻になってきた時期だった。
2022年3月末である現在、COVID-19については当時よりは落ち着きを取り戻しているが、依然として不安が拭い去れない状況が続いている。
しかも、近隣の国による大規模な軍事的紛争が勃発し、日本にとって「難民」という言葉が、そして『彼らが我々であったかもしれない世界』が、かつてないほどリアリティーをもってきた。
「エンパシー」とは何か、問い直す必要があるのではないか。
(2022/03/30)
国が「緊急事態」を宣言するほどの状況下、一部の人(だと願いたい)が他人に対して心無い言動をしているらしい。そして、そういう人に対しても逆に、世間(という「後ろ盾」を得ていると思っている人)から心無い言動が向けられている、らしい。
今の日本(だけじゃなく世界全体なのかもしれないが)の状況は、もしかしたら「シンパシー」と「エンパシー」が適切に扱われていないことから来ているのかもしれない、と、ふと思う。
「誰かの靴を履いてみる」というのは、違う境遇の人に対して「タイミングや環境によっては、もしかしたら自分も同じようになっていたかもしれない」と想像してみることから始められるかもしれない。
そしてありきたりだが、「思いやり」の心を持つことが大事だったりする。
状況は違うが「国境なき医師団」(MEDECINS SANS FRONTIERES=MSF)の活動を取材していた、いとうせいこう氏はギリシャの難民キャンプでの出来事をこう記している。