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2024年6月22日~6月23日 酒。読書。観劇。それだけ in 名古屋

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2024年6月22日から6月23日にかけて……

2024年6月22日

13:00 東京駅

土曜日のお昼。少しはゆったり行けるのかと思っていたら、自由席は新横浜で完全満席状態に達する。
それでもお弁当とビール(350ml 2本)で旅気分を満たし、残りの時間は、河野真太郎・西口想共著『不完全な社会をめぐる映画対話 映画について語り始めるために』(堀之内出版、2024年)を読み耽る。

この本は著者二人の対談形式で行われる「映画評」ではあるが、一般的なそれとは少し趣が異なる。それは著者の一人である河野氏が「あとがきにかえて」で書いているとおりだ。

本書での対話は、映画を社会的に読み解くとはどういうことか、そして社会的な映画とはいかなるものなのかをめぐる探求だったと要約することができる。この探求が、現在の映画論や映画分析のアプローチの本流からかなりずれていることは、著者たちは意識している。

「映画なんだから、難しいこと考えずに、純粋に楽しめばいいんだよ」。
それも正しいが、映画(SFだって、ファンタジーだって、ホラーだって)に限らず、あらゆる芸術は少なからず「社会」に接続されている。だから、社会的側面から映画を観る、ということは間違っていない。
それに、エンターテインメントに徹した映画だって色々な側面があると知っていれば、楽しみ方が広がるというものだ。
ということで、"note"に細やかな「映画評」を寄稿している私にとってとても役に立つなぁ、と思いながら読んでいるうちに名古屋に到着。

名古屋は小雨模様。
時間もあるので、街を知るため、伏見のホテルまで歩いていくことにする。
何せ初めてに近い土地なので、途中道に迷いながら、ようやくホテルに到着。

15:30 ユーキホテル

昔ながらのビジネスホテルという風情。
2階にあるというフロントに行くため狭い階段を上がると……

ドア、閉まってる……

恐る恐る開けてみると、ちゃんとフロントがあって一安心。
チェックインして部屋で小一時間休憩後、シャワーを浴び、出発。
全く土地鑑がないので、とりあえず、栄方面に歩き始める。
雨は降ったり止んだり。
1時間ちょっと散策し、何軒かのお店の前で躊躇し、勇気を出して扉を開けて「すみません、予約でいっぱいなんですよ」と断られたり……
しっかりとした雨が降ってきたので、散策の時に目を付けておいた、日本酒に詳しそうな看板が出ていた「美波」というお店に入る(地下だったので階段を下りるのを躊躇ったのだが、これ以上歩きたくないので、勇気を振り絞った)。

はっきりとはわからないが、地元の人が集うような、家族経営(厨房に旦那さんと息子さん、ホールは女将さんの担当、というところか)の大衆食堂のようなお店。

大衆的な雰囲気がトイレのドア(内側)にも表れている

カウンターの端っこに座らせてもらい、生ビールを注文。
アテは〆鯖と炙り明太子。
奥のテーブル席では地元の集まりらしい、中年男性たちが盛り上がっている。
しばらく飲んでいると、若い男性2人組が入店。
女将さんが「久しぶり」と声を掛けているので、どうやら常連さんのよう。後から若い女性が1人加わって賑やかに盛り上がっている。
ビールから焼酎のロックに切り替えていた私は、彼らの声を聞きながら、「知らない場所に来たんだなぁ」と感慨に耽る。
年に何度か京都・大阪に行って飲む私は、所謂「関西弁」は耳になじみがあるが、名古屋弁(さすがにみゃーみゃーとは言っていなかった)はやはり関西弁とは違っていて、それは言葉というよりイントネーションが違うという感じで、だから彼らの言葉が逐一耳に引っかかってくる(断わっておくが、それは「不快」という意味では決してない。先に書いたように、耳慣れないイントネーションに「知らない場所に来たんだなぁ」と感動する、ということだ)。

程よく酔って準備万端。いよいよ日本酒に切り替える。
お店の壁に貼られたメニューには、地元(名古屋にも酒蔵さんがある。有名なのは、ここ「栄」にある盛田酒造さん。言わずと知れた、ソニー創業者の一人である盛田昭夫氏のご実家)の日本酒の銘柄が並んでいる。
どうやら、女将さんが日本酒に詳しいようで、「木村君っていう若い子が作ってるんだけどね」と出してくれたお酒が……

虎変こへん 特別純米』
(金虎酒造・名古屋市北区)

続いて……

『東龍 特別純米酒 龍田屋』
(東春酒造・名古屋市守山区)

「地元じゃないんだけど、お薦め」
といって出てきたお酒は、歌舞伎の隈取のようなラベル。

『百十郎 純米吟醸 蒼面 G-mid』
(林本店・岐阜県)

最後にいただくのは、地元の……

『醸し人 九平次 山田錦 EAU DU DÉSIR』
(萬乗醸造・名古屋市緑区)

お会計してくれた旦那さんが「たくさん飲まれましたね。日本酒お好きなんですね」と声を掛けてくれる。
良いお店に巡り会ったとご機嫌で外に出るが、初めての土地で、しかも酔っているので道に迷う。
何とかホテルに帰還し、そのままベッドに倒れ込む。

2024年6月23日

朝8時半頃、朝食を求めて外出。
名古屋は喫茶店が多いと聞いていたが、日曜だからなのか、営業していないお店が多い。諦めかけたところに「コメダ珈琲」を発見。
モーニング、トーストは小倉+マーガリンを発注。
満足してホテルに帰って暫しダラダラし、10時前にチェックアウト。
昨日とは別のルートで、名古屋駅に向かう(もちろん徒歩)。

10時を少し回った名古屋駅周辺。既に、人気のお店には長蛇の列ができている。JRの駅舎内にあるきしめん屋さんも然り。
駅周辺や、名鉄、近鉄のデパートを巡り、程よくお腹が空いてきた正午前、「名古屋大酒場 かぶらや 総本家」に入店。

12:00 名古屋大酒場 かぶらや 総本家

JR名古屋駅の高架横にあって新幹線からも見える(たぶん)お店なのに、観光客は見受けられない(私と入れ違いで、キャリーケースを引いた男性6人組が入店)。
正午を回ったばかりなのに、既に店内は地元の人たちが陽気に飲んでいる(後から来た客が、先客の中に知り合いを見つけてお互いビックリするというのも地元ならでは)し、来客も後を絶たない。

(我慢しきれず、ポテサラちょっと食べてしまった)

本日もやはり(と言っても、まだお昼なのだが)、ビール→焼酎ロックを経た後、日本酒へ。
もちろん、名古屋といえば上述したとおり……

『ねのひ 本醸造』(お燗)
(盛田酒造・名古屋市栄区)

程よく酔っ払い、酔い覚ましに高島屋に入っている三省堂書店などをぶらつき、名鉄に乗る。着いたところは……

駅の隣にあるのが……

今回の目的は、ここで舞台『メディスン』を観ることだ。
人気俳優・田中圭氏主演だからか、東京公演が取れず、ここまで遠征してきた。
まだ開場30分前だが、劇場前のロビーはこの公演を楽しみにしている人たちで既に賑わっている(地方都市で、人気俳優が出演する芝居はなかなか観る機会がないのかもしれず、その期待の表れではないかと思うが、やはり地方都市でも大都市レベルとまでは言わずとも、もう少し日常生活の中に演劇がある、というところまで持っていけないだろうか、と、素晴らしい劇場の客席に座って考えてしまった)。

16:00 舞台『メディスン』 @東海市芸術劇場 大ホール

約95分の芝居に満足し、また名鉄で名古屋駅に戻り、新幹線に乗る。
18時半ののぞみ号の自由席は満席。仕方がないので、一号車の後ろ側のデッキに座り込み、ノートPCを開いて上記感想文を作成。
途中、「2号車の通路側に少し空きがありましたので、もしよろしければそちらへどうぞ」と声を掛けてくださった車掌さんに、お礼を言いながらも、結局デッキで感想文を書き続ける。
が、結局最後まで書けず、品川駅で乗り換えた山手線車内でスマホ入力するもやはり書けず、帰宅してPCで入力し、23時に投稿。
ようやく、私の『酒。読書。観劇。それだけ in 名古屋』が幕を閉じた。

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