シニアになって働く意味を考える㉘ ~DXの土台は昭和の遺物「小集団活動」だった?!~
59歳でDX立上げメンバーへ
Sさんは2024年4月、DX立上げ部門の専任メンバーとして、地元地方から東京(B社)へ単身赴任となった。Sさんは今59歳(今年12月で60歳)で、延長雇用か再雇用かを選択できる直前だ。しかもDX立上げはB社の将来をかけた超重要プロジェクトで、この異動には、Sさんも正直驚いたそうだ。60歳頃は会社員生活のフェードアウト時期と言われるのに。
その辺の事情を中心にインタビューしました。
そもそもDXってなに?
「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは」をGoogle先生に聞いてみました。彼によりますと、
企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。
なるほど。すごい。こんなことどうやってやるんだ?
DXの成功の一歩目は、現場の業務プロセスを知るプロの集団をつくること
Sさんの話をじっくり聞くと、DXって「各現場の業務プロセスやノウハウを、AIなどのデジタル技術にどう落とし込み、これまでできなかった新しい価値をどうやって創造するか」なのだそうです。
つまり、各現場のプロの集団の英知を集めて、DXを作るってことみたいです。
昭和の遺物「小集団活動」が仕事の土台に
まず、いつもの人生満足度曲線を見て下さい。
Sさんのニュートラル満足度は6点。A社の地方拠点B社でキャリアをスタート。結婚後、なぜ働くのかについて悩んだ時期があったそうで4点まで下降。
ところが、バブル経済が始まり仕事は多忙を極め8点へ上昇。なんで?
山のようにやってくる仕事(生産設備導入や事業計画に従事)をさばくには、周りとの協調・協力なしではできないことに気づく。その進め方のベースは、今では時代遅れと言われる「小集団改善活動(QCサークル活動)」だった。
若い人は知らないかもしれないが、10名程度のグループみんなで業務の改善点をリストアップし、その対策をいくつも提案し合う活動をいう。日本企業に70-80年代に普及し、海外からも注目を集めた。
リストラが始まり時代に翻弄される
バブル崩壊でB社のリストラが始まる。人員削減、コストカットの毎日が続く。
ここで助け船になったのが、本社のA社(首都圏)への出向だった。なぜだか、出向先では自由に仕事ができたといい、出向元B社でやってきた改善点を見つける習慣が思う存分発揮できたそうだ。仕事満足度は8点へ上昇。
出向元B社へ戻り、リストラの嵐は止まずB社はついに閉鎖となる。満足度は4点へ下降。
閉鎖に伴い、A社のグループ会社C社へ転籍となり6点のニュートラルに。C社で、東京、地元地方、大阪と転勤を繰り返し、59歳で東京勤務・DX専任メンバーに抜擢される。
シニアの経験は実はDXと相性がいい
DXと現場業務プロセスの知見やノウハウを持つSさんのような人は、実は相性が良い。「(昭和の)小集団活動」的な仕事のやり方を、実直に続けてきたSさんの経験がビッグデータとなり、DXはそれを必要とする。
新部署のミッションは、現場の業務プロセスを、AIやIT技術を使ってDXへ仕上げること。最初の一年でコンセプトを作り、2,3年をかけてビジネスモデルを革新していく。やりがいある仕事ですね。
Sさんの働く意味は?「おカネ」
DXへ邁進するSさんの「働く意味」を見てみましょう。著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」と「働くモチベーション」はこんな感じです。
「働くこと」=「おカネ」と、Sさんはキッパリ言い切ります。清い!
その上で、どうせ働くなら「自分のやりたいようにやりたい」し、「やったことが、後輩や次の世代の人が、働きやすく夢が持てるような職場にしたい」と。
役員や上司のために働いてきたことは一度もないとも言います。現場を熟知し、現場の仲間と業務を改善してきた自信を感じました。
DXが完成したら営農?
現場のノウハウをうまくDXへと移管できたら、たぶん8点越えは確実ではないかと思いました。
その後は、地元に帰って農業でもやるかもしれないと。現在、営農組合に自身の田んぼの管理を任せて、月数回帰省して時給で農作業を行っているそうです。規模拡大交付金を受給しているので、自営農はすぐ始められないが、いつかは営農もいいかも、だそうです。うらやましい。
後記:
シニアの働き方がDXに役立つなんて、思いもよりませんでした。シニア社員も技術革新に十分貢献できることがある。これは私にとっても光明でした。
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