買い物はむずかしい
友人へ贈り物をしたくてイソップに行った。
イソップに行く場合、
私がダサ坊であることを店員さんに悟られては居心地が悪いので、
身なりに気を使い、いつも以上にメイクを丁寧に、
いつもは迷子である前髪のセットも不自然でない程度に固める。
そうして前髪よりは遥かにカチンコチンに緊張した私がイソップへ入店。
すぐに店員さんが話しかけてくれ、
私は「あ、あの、プレゼントをしたくて、、、保湿系のなにか」と伝えると
店員さんは笑顔で、若干、食い気味に「もちろんです」と言ってくれた。
幾つかオススメの商品を出してもらい、
「ちょっと試してみましょうか」と聞かれたので
「お願いします。」と答えたが、
またしても笑顔で、若干、食い気味に「もちろんです」と言われた。
店員さんに促されるまま手洗いをして、幾つかのクリームを手にぬりぬり。
もう私はすでに何をどこに塗ったか分からなくなっていた・・・
「どんな香りが良さそうですか?」と聞かれ、
「あまり甘くない方が・・」と話し始めると、
やはり、話し終える前に、「もちろんです」と言われた。
「もちろんです」と言われて嫌な顔をする人はいないだろう。
接客ワードとして「もちろんです」は気持ちの良い返答であると思う。
私も「〇〇してもいい?」などと聞かれたら「もちろんいいよ」って返す。
「もちろん」って言葉を発するの、なんか好きなので。
イソップの店員さんは日々の接客の中で
「〇〇な香りはありますか?」「試してみてもいいですか?」など
幾度となく質問され、「もちろんです」と答え続けて来ただろう。
そして、私が発した「あまり甘くない方が・・・」の時点で、
脳内で「甘くない香りはありますか?」に変換されたんだなァと思った。
こういう、自分の脳内だけで勝手に会話を進めてしまって、
微妙に合っていない相槌を打ってしまうこと、私もよくある。
私も人と会話しながら脳内で先に会話を進めていて
相手が何も言っていないのに「たしかにね」と言ってしまったことがある。
・・・これってまた別の話かも!
私はなんとかプレゼントを決めて、レジで会計を済ませたら、
店員さんに「今日は仕事帰りですか?」と聞かれた。
まさか「いや、これでもよそ行きのつもりなんです」とは言えず、
「もちろんです」と返す機転もなく、
「はい、、そうです・・」と苦笑して、足早にエスカレーターへ向かった。
ピンチハンガーを買い忘れてしまった。