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大多数のイケてない普通の企業へ贈るリファラル採用のメソッド~僕とリファラル採用の1243日~

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リファラル採用うまくいってますか?

数年前からポツポツ言われ始めていたけど、日本で定着すんのかなー?と懐疑的な方も多かったと思うリファラル採用。

メルカリの躍進で一気にトレンドとなり、
リフカムやMyReferなどがサービスを出し認知が進み、
リクルートが職場採用という表現をしたり、HERPがスクラム採用という表現をしたりで、母集団形成だけでなく後工程も関わっていこうぜ的なムーブメントまで起き、

そろそろうちもやってみようか!的なノリでとりあえずやってみた会社も多いはず。

これだけ流行れば、やれピザパだの、やれ食事会からのタレントプールだの、でtipsは社会にガンガン出回るので、とりあえずマネることは簡単な世の中ではあるが

うまくいきました?笑

うちはマネてみたが最初全然上手くいかなかった。

結果、世に出ているイケてる手法をあえて全捨てして、逆にゲリラ戦に近い戦い方をした結果、今はいい感じでワークしている。

今日はこの辺りを公開することで、イケてない普通の会社でリファラル採用に悩んでいる方の一助になれれば嬉しいな、と思っている。

最初に状況報告

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上記の通りだが、昨対600%⇒320%⇒220%で伸びている。
結構いい感じ。
この各々で何があったかを伝えていく。

1年目:とりあえず周知してみた

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初年度の取り組みはいたってシンプル。

まずは動き出してみないことには始まらない。
とりあえず従業員に周知してみた。
うちは人のよさが売りの会社なので、なんだかんだ皆協力してくれるだろうと思っていた。
ピザパやるよーとか、会社経費で飲み行っていいよーとかも言ってみた。

こんな甘い皮算用で始めた結果

推薦数たったの4名

200名くらいに協力要請 ✕ 期間1年間で。
たったの4名…悲しい。

【リファラル採用 初年度の学び】
・周知しただけでは、まったく紹介があがってこない
・紹介があったのは周知した直後だけ

2年目上期:金で釣ってみた

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周知しただけで人は動かないと知った。悲しかったけど。
次に考えたのは、紹介者にインセンティブを出すこと。

冷静に考えてみれば、自分が現場だったら声掛け程度では動かない。
めんどい割にメリットないし。それなら売上に集中したい。
では自分なら何なら動くだろう?
何を隠そう、実は私はお金が大好き。そうだインセンティブで釣ろう。
イケてる会社の人事たちも、インセンティブを取り入れてると言っていた。

金額は悩んだ結果、入社1名ごとに20万円にしてみた。
うちのメディアが調べた結果、20万円は相場よりも高い金額だったから。

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いやーこれで一安心。と思って半年後

、、、推薦がない。

紹介は知人のキャリア支援にもなるし、インセンティブで収入も得られるし、良いことだらけのはずなのに、なぜ推薦しないのか……

悩んだ結果、ある結論にいきついた。

【リファラル採用 二年目(上期)の学び】
・高額なインセンティブを掲げても社員は動かない
 ※もちろん会社の社風によると思います

2年目下期:意味報酬にシフトしてみた

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悩んだ私は、もう一度社員の目線に立って考えてみた。
なぜなら僕は社内で浮いているから笑
改めて社員のペルソナや風土と合わせて考えてみた。

そこで気付いたことは、弊社社員の原動力の源泉は、金銭報酬ではなく意味報酬ではないかということ。

意味報酬とはざっくり言うと、金銭以外の報酬。
「貢献欲求」「承認欲求」「親和欲求」「成長欲求」の4つに分類されることが多い。
瞬発的なモチベーションではなく、長期的なエンゲージメントに影響することが多い。

弊社の場合は特に貢献と承認が重要。
よってここにフォーカスしてみようと考えた。

まずやったのは、日常的に現場へ足を運び依頼をして回る草の根活動。
困っている感を出して、助けたい願望をくすぐる笑

次に全体広報の場で、大々的に関わってくれた社員をフォーカスし賞賛。
自分の行動が多数の前で承認されることは誰でも気持ちいい。

ここで大切なのは、入社につながった「結果(質)」はもちろん賞賛するが「紹介人数(量)」もしっかり称賛すること。
たくさん協力してくれた人に「紹介して良かった。間違いじゃなかった。」と感じてもらえる空気づくりを心がけた。

また決定した場合は、紹介者に対して部長・役員クラスの者が豪華ディナーやランチなどをご招待する副賞も設けることで、イベント性を強化
リファラルを堅苦しいものではなく、ちょっとした社内イベントのように演出することで紹介のハードルを下げることを試みた。

その結果、半年で24名の推薦。

昨対600%!半年で!もはや1200%!!

ただ悪く言うとまだ24名。母集団としてはまだ見れない。
けどなんだか嬉しかった。

【リファラル採用 二年目(下期)の学び】
・報酬は必ずしも金銭ではない
・その組織が大切にしている価値観にそったものの方が効果的
・リファラル「文化」を社内に根付かせるというスタンスが重要

3年目:概念を変えてハードルを下げる

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母集団を増やしたい。
この1点を叶えるにはどうすればいいのかを考えるべく、社員になぜ紹介しないのかを聞いていった。

結果、この辺りが多く言われたことだった。

・他部署や異職種の仕事内容が説明できない
・中途半端な紹介をして、知人を傷つけたくない
・的外れの人を紹介してしまったら、自分の評価が下がるかもしれない

あぁ、うちの社員はちゃんとした人たちなんだなぁと改めて実感。
みんな大切な人を雑に傷つけたくないし、仕事としてやるなら雑にしたくない、ってことなんだな、と。

ということは、ちゃんとやらせなければいい笑。
つまり、仕事感や公的感を可能な限り排除すればいいんだ、と。

そのためには「紹介=応募」ではなく「紹介=紹介」にしてしまえば良い、つまり、紹介することへの心的負荷を限りなく下げれば応募数は増えるのではないかと考えた。

そこで、これまで応募の形をとっていた紹介の定義を大きく変えて

①選考ではない。うちの説明をカジュアルにさせてもらう場
②スペックは「弊社に合いそうな人か、仲間にしたい人」だけでいい
③受けたい求人は決まってなくてOK!こちらから提案する
④なんなら人事が転職相談にのるから、それ目的でもOK

と変更。これが当たった。

完璧な人を紹介する必要はない
とりあえず社風に合いそうな人を紹介すればいい
転職を考えている友人の力になれる提案なんだ

こういった認識が社員の間に広まり、推薦は爆発的に増えた。
その結果、年間で77件の推薦。

昨対320%!!

ここまでくれば十分な母集団。ついにワークしだした。
ただ安堵を感じる中で、徐々に違和感を感じだした。。。

俺の仕事が回んねぇ!!!

そう。推薦数が増えたおかげで、リファラルのカジュアル面談に追われる日々。嬉しい悲鳴。けど完全に本業に支障がでだしている。
毎日転職相談にボランティアでのっている。。。これはマズい。。。

【リファラル採用 三年目の学び】
・「紹介=応募」の固定観念を壊してハードルを下げることが大切
・カジュアル面談を導入して、お互いにメリットがある運用にする

4年目:仕組みで課題を解決する

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なんとか質を上げないといけない。
3年目の施策のおかげで、ケーススタディがかなり溜まっていた。
また3年間の行動で、社員のリファラルに対する抵抗感もかなり薄まってきていた。

これはついに仕組みで運用することができるな、と判断。

もちろんカジュアル面談は続けるが

①紹介者側の紹介スキルを上げる
②候補者側のインプットレベルを上げる

これを運用でカバーすれば、カジュアル面談の数は減って応募が増えるし、カジュアル面談をしたとしても質があがるだろう。
つまり数を維持したまま質を上げることができるのではないかと思い、これを適えるための運用を検討。

紹介者側の紹介スキルを上げるために

社員は、募集しているポジションが自分とはまったく違う職種だった場合、仕事の説明をすることは困難だ。

例えば営業職の人が、知人のエンジニアに紹介しようとしたとして
「使用言語は?」
「開発の実績は?」
「どんなプロジェクトが進行中なの?」
これはまず答えられない。

これを解決するために、まず外部ツール(リフカム)を利用して詳細な求人情報を用意した。

社員はこれを見れば、出てくるであろう質問に対する回答がほぼほぼ書かれているため、それを読めばいい、最悪画面を見せればいい、興味があればその場で求人情報をSNSで送ってくれればいい、という状態をつくった。
内容はこのあたり。

・募集ポジションについて
・どんな人を紹介してほしいのか
・なぜ募集するのか
・職務内容や開発環境
・組織構成
・魅力や特徴
・社風
・雇用条件
・運営サイトやプロダクト情報

これによって、シンプルにカジュアル面談ではなく職種単位での応募が増えた
もちろん応募ではなく紹介というスタンスの時も多いが、求人単位で意思を持ってくれているのは説明の工数が全然違う

社員の知識レベルに関係なく情報を候補者に提供できることは、想像以上に大きな成果をあげた。

候補者側のインプットレベルを上げるために

とは言え、恐らくカジュアル面談に流れるケースが圧倒的に多いだろうと思っていたし、事実そうだった。
そのためには、候補者側が勝手にインプットしてくれる必要があった。

そこで目をつけたのが、エントリーフォーム。
オープンポジションからのエントリーに関しては、エントリー画面を候補者が現在オープンの求人を閲覧できるようなUIに変更。

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これによって、候補者はオープンポジションからエントリーするのではなく、自分から各求人に飛んでエントリーしたり、またオープンポジションであってもカジュアル面談前に一定の意思を持ってきてくれるようになった。

インプット量が増えた状態で対話が始まれば、アトラクトできる時間も増える。結果的に候補者も得られる情報量も増えるので、我々の効率化だけではなく、双方にとっていい結果となった。

このように仕組みを一つずつ増やし、課題を細かく改善していった結果、

今年は現在半年で85件!昨対220%のペース!!

このように冒頭でお伝えした通り、とてもいい感じでワークしている。

そしてワークしてよかったことは、社員への感謝の気持ちが溢れたこと。
最初は嫌いになりそうだったが笑、リファラルの活動を通してこれまで以上に社員に感謝するようになった。

最後に

色々書いたが、自分が色々やってみて間違いなく言えることは

イケてない普通の会社は「顕在層」のみアプローチすべき

ということ。

転職希望者には顕在層と潜在層がいる。
今まさに転職を考えている顕在層、転職はほぼ考えていない潜在層。

潜在層の方が優秀な打率が高いため、タレントプールを作り恒常的にアプローチすることがリファラル採用だ!というイケてる会社たちの提言はごもっともだと思う。

けど、これ当たり前ですがかなりのパワーがかかるんですよ。
ミートアップや勉強会をして、長期間口説き続ける。
ダイヤモンドの原石を発掘して磨く。

そんな余裕なくないですか?
僕にはありませんでした。
完成品のダイヤモンドを捌くだけで精一杯。

普通の会社はイケてる施策をやる前に、当たり前のことをやれているのかを見直すべきだと思う。
弊社はその当たり前の「転職を考えている層にしっかりアプローチする」ことで結果につながった。

リファラルは一晩で劇的に変わるようなものではない。
だからこそ、イケてる情報に惑わされずに、もっと足元を見るべきだと思っている。

地味で当たり前のことを丁寧にコツコツと。

参考になることがあれば、是非活用ください。
不明点があればTwitterなどでDMください。

令和元年、最終営業日。
少しでも日本の採用が良くなるように、心を込めて。

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※記事は以上で、購入頂いても続きはありませんが、投げ銭用に有料記事にしています。次回執筆用の喫茶店やネカフェ利用料に充てますので、面白いと思って頂ければ御購入頂ければ嬉しいです!※

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