かわいい父と激しい母と私の介護日記(12)
認定調査
週末になり、父はせん妄が出て拘束することになった。病院から、現在支援1だが認定調査をした方が良いこと。現状自宅に帰るのは難しい。退院後は病院の系列のリハビリ専門病院へ移ることをすすめられた。
母はすぐに包括に連絡し、来週病院に、認定調査委員が来ることになった。
転院については、来週始まるリハビリの様子で考えると伝えたそうだ。
そして、翌週半ば、認定調査が行われた。
母と私も立ち会わせてもらう。
面会室に父が車椅子で入って来た。
「こんにちは。調査員の○○です。」と、調査員の方がさわやかに、父に挨拶した。
「ご苦労さま。で、この二人はどちら様?」と私と母の二人を見ながら笑顔で言う。その場にいた全員が凍りつく。
「あの、お父様はよく冗談言いますか?」
と調査員。「はい。言いますが今のはどっちかわかりません。」と私。
調査員は気を取り直して、父に質問する。
名前、生年月日、今日の日付、お昼ご飯の献立等々。
父は正確にスラスラと答えていく。どうやらさっきは冗談か、とほっとした雰囲気が漂う。
リハビリの様子を聞くと、今日は階段上り下りを15段出来たと話す。
「えっ?歩けるの?階段も?本当に?」と私と母。
立会のナースも「カルテにもそう書いてありますね。」どうやら本当らしい。なんだか話がぜんぜん違う。
困ってることを聞かれ、「お腹のところが縛られてて、あまり眠れない。」と父。
「拘束してるんですか?」調査員の顔が少し険しくなった。
「時折、スイッチが入って暴れてしまうので。」とナース。
「センサーマットでは無理ですか?」との問いに、「この病院は、無いんです。」との事。
やっぱり拘束・・・良くないよね。言ってくれた調査員に感謝しつつ、ナースも大変だから仕方ないと諦める。
後は、調査員とナースのやりとり。食事や、排泄、認知はあるかなど。私の印象では介護1か2かな?歩けるし、認知もなさそう。
すると父が私に、「はなちゃん(仮名)。それ貸して。」と言う。頼まれて持ってきた補聴器の電池だ。渡すと、「これは大丈夫だな。この間から、金属持つと溶けちゃうんだよ。お金とか。」と父。
調査員の表情が、さっと曇った。
あぁ、これまで完璧だったのに。
せん妄?認知症?
初めて父のおかしな言動を目の当たりにして、ショックで返事が出来なかった。
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