「春」が生まれた日
3月9日は「雑穀の日」だそうです。
「ざっ（3）こく（9）」（雑穀）の読む語呂合わせからですね。
米が広く普及されたことで次第に廃れていきますが、ミネラルやビタミンを多く含み、噛み応えもあることから、米や玄米等に混ぜて炊くことでカロリーも抑えられる雑穀は、健康分野で昨今再びその魅力が見直されています。
実は、我が家も雑穀米です。個装タイプのものが手軽でおすすめです。
雑穀米でいただくカレーは絶品ですよ。
さて、みなさんは「五穀豊穣」なんて言葉はご存知でしょうか。
『古事記』や『日本書紀』など、書物によって定義は若干異なるものの、「五穀」とは、一般的に米・麦・キビ・アワ・豆を指すそうで、昔の人はこれらが豊かに実ることを願って、神に祈りを捧げたわけです。
その代表格として、日本においては「宇迦之御魂神」がよく知られています。
これ、なんと読むかわかりますか？
ちょっと難しいですが「ウカノミタマノカミ」と読みます。
「ウカ」とは穀物を意味し、その魂を表しています。つまり、五穀豊穣を司っているわけですね。
また、お稲荷さんを信奉した商人が成功をおさめていったことから、商売繁盛の神様としても広く崇められていて、全国各地に数多くあるお稲荷さんで知られる稲荷神社のご祭神が、この「ウカノミタマノカミ」なのです。
代表的な神社としては、京都の「伏見稲荷大社」が挙げられます。
さて、場所を西洋に移して、遠くギリシャの神々を見てみましょう。
ギリシャ神話にも豊穣の神が出てきます。
オリュンポス十二神の一柱「デメテル」です。
ゼウスの姉でもあり妻でもある「デメテル」は、古典ギリシア語で「母なる大地」を意味する豊穣神で、穀物の栽培を人間に教えた神とされています。
ゼウスとの間にもうけた娘ペルセポネを溺愛する母としても知られ、冥界の神ハデスに連れ去られた際は、失意のあまり、神殿の中から一歩も出ない「引きこもり」状態になってしまいます。
困ったのは人間たちです。豊穣神であるデメテルが引きこもると、飢饉が起こり、作物を一切手にすることができなくなってしまうからです。
また、これを受けて、人間たちから穀物を受け取っていた神にもいよいよ影響が及ぶことになります。
さすがにこれを見かねたゼウスは、ヘルメスを冥界に使いに走らせ、ペルセポネをデメテルの元に返すことにします。
が、ここで「姉さん事件です」。
ハデスはペルセポネにザクロの実を食べさせていました。
冥界の食べ物を口にすると、完全には冥界から離れられなくなるのです。
よって、ペルセポネは一年の3/１だけはハデスの元で暮らさなくてはならなくなり、デメテルは娘が冥界に居る時期だけは地上に実りをもたらすのを止めるようになり、これが「冬」の始まりだと言われています。
また、ペルセポネが地上に戻る時期は、デメテルの喜びが地上に満ち溢れ、これが「春」という季節を生んだと伝えられています。
いよいよ春の足音が聞えてきました。
デメテルとペルセポネが再開する日もそう遠くはないでしょう。
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