見出し画像

ベルベットタッチなレジ係のさいとうさん

さぁ、どのレジに並ぼうか……?

開いているのは4レジ。それぞれ1名ずつの配置。すべてのレジに2組以上並んでいる。では一人ずつ動きを見ていこう……。

「どんだけ見るん?」

覆面調査員のようにまじまじ見ていると、いつも奥さんからこんなことを言われます。でも今日の買い物は一人。見たい放題。

レジに並ぶ時にどこへ並ぶと順番が早くまわってきそうか予想したりしませんか?

早いと思っていたレジが、野菜の返品とか入って一番遅くなったりと、アクシデントも起きたりでなかなか面白いものです。

私のお気に入りのスーパーは、生鮮食品も新鮮ですべてにおいて規格が大きく、コスパもよくて大家族の我が家にぴったり。とても重宝しています。

みんなカゴ2つ分の買い物は当たり前みたいな感じだからレジ係も大変です。いつもレジの方のスキルが高いなぁと感心していた(なにものだ?
)のですが、その中でもスゴイ人を見つけてしまいました。

1人だけ次元が違う……レジ係のさいとうさん。

失礼を承知ながら言うと少し大柄なのですが、とにかく商品を手にとりカゴにいれる速さがハンパない。身体はブレずに手と脳がとにかく動いている感じです。

バーコードをピッする瞬間には、次の商品を必ず手にとっています。予想通り、他のレジに並んでいた人より早く私の出番がやってきました。

カゴをレジ台に置いて前の方の会計を待っていました。

さいとうさんが前の方のクレジットカードを預かり、カードリーダーに挿した瞬間、すぐに踵を返し、こちらへ来てくれました。

「いらっしゃいませ!お待たせしました」

(えっ、会計中ちゃうの?今のタイミングで来る?)

そしてピピピッと3回、音が鳴ったと思ったら、シーチキン、牛乳、ごま油がカゴに入っていました。クレジットカードを読み取る約3秒の間で行われた早業にビックリ。

まるでマトリックス……。

ほんまちょっとこんな感じに見えた

なんだかすごい人にあった喜びで、マスクの下でニヤニヤしているとクレカ決済を終えたさいとうさんが戻ってきました。

「お待たせしました!」

「(まったく待っていないよ、でも)よろしくお願いします!」

大量の商品が次々とカゴに吸い込まれていきます。

こういう手の早い人ってちょっとした雑さが目についたりするものじゃないですか。でも、さいとうさんは違うんです。

その日は卵1パック128円の特売、しかも個数無制限ときた。これは買いだと調子にのって4パックも買ったのですが、それを手にとったさいとうさん、高速で動いていた手がたまごを置くほんのゼロコンマ何秒だけスーパー優しくなるのです。

プラケースのカチャっという音もまったく聞こえないベルベットタッチで卵を丁寧に重ねます。

それはもう小野伸二のレベルのベルベットタッチ。

肉や野菜をいれるためのビニール袋もファサぁ〜〜と優しく空気をいれて、めちゃくちゃ入れやすそうな間口にして綺麗にふたつのカゴの上にそっと置いてくれました。

改札になにか恨みでもあるんかいな。ってくらいICカードを改札にバンバン叩きつける人に見せてあげたい、さいとうさんのベルベットタッチ。

駅員さん 改札によろしければどうぞ。

こんなにスピーディーな中でも忘れない気配りと気遣い。カード決済している最中、やはり、さいとうさんは次の方に挨拶をしてレジを始めました。

とにかく「すごいですね!」と声をかけたかったのですが、いきなりおっさんに動きをほめられても忙しい中、びっくりするかな。と思い、大きな声で感謝を伝えました。

その後も買ったものをエコバックに入れるのも忘れ、さいとうさんの動きに見惚れていました。ずっとテキパキしていて、おじいちゃんからの問い合わせにも身振り手振りを使って優しく説明している。

最近、どこでもセルフレジが増え、コミュニケーションを必要としないサービスは理にかなっているけれど、どこか寂しさを感じたりします。

ほんとちょっとしたことで、数分のやりとりなんだけど、さいとうさんから元気をもらいました。

けっしてマネはできないけれど、気配りや気遣い、そして一生懸命さはいくつになっても失いたくないものです。

優しいベルベットタッチが溢れる世の中になりますように。

またスーパーに行くのが楽しみになりました。

この記事が参加している募集

最後までお読みいただきありがとうございました。 いただいたサポートは他のクリエイターさんのサポートと奥さん子どもにあずきバーを買ってあげたいです。