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僕は今日も、海を聴く。
海と暮らす町、
京都府与謝郡伊根町。
エメラルドグリーンに藍色を二、三滴落としたような水面。
そこに浮かぶように木造建ての舟屋が横並ぶ。
かすかな波とその飛沫が、海と舟屋の境界線を消す。
猛禽類の鳥たちが湾を沿うように空を飛ぶ。
港では、地元のおじいちゃんが釣りをする。
海に浮かぶ舟屋は、永遠に見ていられた。
静かに寄せる波がより一層時間を遅らせていた。
上手くいかない時、考えすぎてしまう時、自分を自分で受け止められない時。
僕は自然と海に行く。
どこまでも続く水平線、波の音、耳をかすめる風、空を舞うカモメを全身で感じる。
" 見る " んじゃない。
" 聴く " んだ。
自分の心の雑音も、葛藤も、すべて海が包んでくれる。
「ここにいていいんだよ」と、ただ隣りにいてくれる。
理解してもらわなくてもいい。
自分の正義に賛同してくれなくてもいい。
でも、「ここにいていい」という一言がほしい。
だから、
僕は今日も、海を聴く。