書く勇気をくれた本(2)
書籍の執筆をしてみたいと思っても、その直後に浮かぶ不安。
「でも、誰が読みたいと思ってくれるんだろう?」
この疑問は根深く心の底に存在し続け、「書きたい気持ち」が「書く」ところへ辿り着くのを絶えず阻止していました。
「書こうかな」「でも…」の無限ループに陥っていたかつての私。そんな私の背中を押してくれた本の覚え書きです。
なぜ書きたいと思ったのか。それは自分が読みたかったから。
『読みたいことを、書けばいい。』田中泰延
かつて電通のコピーライターさんだった方で、今は独立されているようです。ストレートなタイトルに魅かれて購入し、すぐに読み始めました。この本では、自分が読みたいと思っていることを妥協なく書き尽くせばいい、ということを熱く語られていました。
ここでのポイントは、適当に面白おかしく書けるように書いておけばいい、という趣旨とは正反対のことを言っているということ。
私にとっては、「自分が読みたいこと」=「興味深く面白く、思考が刺激されまた深く納得もできること」だからです。
ただ知っていることを知っているように書けば良いということでも無く、可能な限り第一次資料まで遡って、言いたい事、書こうとしている事の根拠も腹に落としておく。その大切さについても念押ししてくれています。
誰が読んでくれるのかを気にする前に、自分が読みたい事をとことんまで腹に落として書いてみる。自分が書くしかない事なら、とことんまでやってみる。そこまでできたなら、誰が読まなくてもまずは自分が面白い。そうできたら、書く事そのものに何のリスクもないはずだ。という事のようです。
確かに。そう思うことができれば無敵ですね。何を迷う事があるのだろうって感じです。
藍関連の本に藍農家の著作が無い。だから私が書く。
染色研究家、染色の職人、染料を作る藍師、藍に関連した書籍を読めば、たいていこういった方々の知識や経験が書かれています。藍農家の言葉を見かけることはほとんどありません。
栽培の現場だからこそ見る事のできた姿。農家だからこそ知る事のできた、彼らに備えられた「生きるための」メカニズム。そう言ったものがあの不思議な薬効や繊維の奥から輝くような色の根源にあるのに。
誰がそれを書くんですか。誰も書きませんか?…業界が過疎り過ぎて誰もいませんね…。…私か…それでは遠慮なく行かせていただきます。
そうやって生まれた本です。
今回は、一次資料を探し当てる事のできなかった藍の都市伝説的なことにもあえて触れ、「誰か知っている人がいたら教えて欲しい。」とお願いまでしています。「誰が読んでくれるのだろう。」と心配していた人間とは思えない傍若無人ぶりです。開き直ると早いです。
完璧でなくても、まずは書いてみる。そんな気持ちを後押ししてくれる一冊でした。
「自分も、電子書籍出版をしてみたい。」と思われた専門職・表現者の方は、一度お気軽にご連絡をください。
まずは一緒にゆっくりお話しするところから始めましょう。