徒然なるままに
お気に入りのカフェで、初めて日記本を購入した。そのあとがきに書いてあった一節が心の奥に沁みてゆくのを感じた。
どうして私は、誰かの日々の出来事や考えを覗くことがこんなにも好きなのだろう。
ふと、私も心に残った日々を誰かに届けたいと思った。その過程で、深く自分を見つめることができたらいいなと思う。
The Boy from LA
昨日は布団に入っても興奮でアドレナリンが出てしまって全く寝れなかった。なぜなら新しい友達ができた日だから。
彼は少しシャイでとっても優しい、絵を描くことと音楽を聴くこと、ドライブをすること、それから私の双子の相棒のことが大好きな人。アメリカのLA出身で、相棒の親友でもある。「とても素敵な人だから紹介したい」と言って、彼が日本滞在中に会う機会を2回作ってくれた。
英語でのやりとりに自信がない私は、少し緊張しながら彼と初対面。
私がガチャガチャ好きだと相棒に聞いたらしく、たこ焼きのミニチュアを雪だるまの上に乗せてプレゼントをしてくれた。嬉しいし面白いしで少し拍子抜け。
彼は私の拙くて必死な英語の質問を聞き取って、いろんなことを教えてくれた。自分で描いた絵をプリントしたユニークな服を売っていること、アメリカの挨拶の仕方、双子の相棒の好きなところ…
もっと聞きたいこと、話したいことは山のようにあるのに、英語で思いのままに伝えられないことがもどかしくて仕方がない。
英語を話せるようになって、あなたのことをもっと知りたいと伝えると、彼は自分も日本語の勉強を頑張りたいと思ってると伝えてくれた。
その瞬間、彼のあたたかさと誠実さを感じて心が緩んでいくのを感じた。
彼は、私と双子の相棒が2人でいる時の雰囲気があたたかくて好きだと言ってくれた。
私も同じことを思う。彼と双子の相棒が2人で笑い合っているのを見る時間が好きだった。
2人は子どものように、素直に一緒にいることを楽しんでいる感じがして。
またひとつ夢ができた。相棒とLAに行って彼に会い、一緒に旅をしたい。
彼がどんなところで育ってきたのか知りたいと思った。相棒曰く、LAには至るところに野生のリスがいて、人の近くまで寄ってきてくれることもあるらしい。公園でただのんびりしてリスの観察をしてみたいし、彼の運転する車に乗ってドライブもしてみたい。
それまでに、彼と色んな話ができるよう英語を学びたいと思う。
真夜中の現在地
ぼーっとお風呂で考え事をしていたら、坂道をころころと下るように心が沈んでいくのを感じた。大好きな読書をしようと思っても気が乗らないし、SNSで意図せず見たくないコンテンツに出会ってしまうのも嫌だった。映画やドラマを見る気力もない。
こういう時は、気持ちを整理するためによく日記を書くのだけれど、書いてみても心が沈んでしまう原因はよくわからない。きっと私が意識できていない潜在的なもやもやがあるのだろう。
仕事のことはいつも頭にひっかかっている。
子どものネガティブな気持ちを受け取ると、心が疲れてしまう時がある。どうしてその言動をするのか全く理解できなくてイライラする時もある。家に帰ると無気力状態で、ひとことも声を発したくない時もある。
今の仕事は好きだけれど、分かり合うことが難しい他者と向き合い続けるためには心のエネルギーが必要なんだと思う。
私はいつだってポジティブな方へと進んで結論を出そうとするし、ネガティブな感情をありのまま受け止めて咀嚼するのはあまり得意じゃない。
自分の「こうありたい」が強くて、無理やりそちらに心を合わせようとしてしまう時もある。
でもこうやって、私がありのまま感じるものを見つめる夜を大切に過ごしていけたらなと思う。
こんな風に心沈む夜には、好きな音楽を聴きながら眠りに落ちよう。明日は仕事の前に好きなお菓子を買って行こう。今度のお休みには、何も気にせず心ゆくまでたっぷりと寝てやろう。
こうやって、ちょっとした対抗心でする小さな決行が私の心を救っている。
きっと思い出す
今日は節分の日。朝、おじいちゃんと一緒に豆まきをしようと約束をした。
いつもおじいちゃんがプールに行く時間に合わせて私も家を出るのだけれど、その日はリスが目の前を横切っていくのが見れたり、駅前のお店のおばあちゃんに会えたりと珍しいこと続きだった。「今日はいいことあるぞ〜」と嬉しそうなおじいちゃん。日々の暮らしの中で、小さな変化を見つけて楽しむことができるところが本当にステキだと思う。
仕事から帰って来たらおじいちゃんはもう寝ていたけれど、朝「帰って来たら起こして」と言われたことを思い出して起こしに行く。するとすぐに起きてきた。
窓を開けて豆を投げていると、冬の冷気が疲れた体に染み込む。ふとおじいちゃんを見ると、寒さなんて感じない様子で楽しそうに笑っている。
広い家だから全部の部屋に豆を蒔くのは一苦労。「福は〜内」の時は家の中にばら撒かずに、おじいちゃんの手の上に乗せてあげる時もあった。「あとでこれ食べれるぞ〜」とこっそりポケットに入れるのが可愛くってつい、ね。
一緒に豆まきをしたこと、これから先の節分を迎えるたびに思い出すんだろう。それくらい一緒に節分を楽しめたことが嬉しかった。それと同時に、こうやって一緒に豆まきをできなくなる時が近いこともわかっていた。
甘い匂いを辿って
今日は彼にバレンタインのお菓子を渡しに行く日。
半月前から何を作ろうかと考えてわくわくしていた。デートの前日は普通に仕事だったから疲れていたけれど、プレゼントするお菓子を作ると思うと不思議と気が昂ってくる。
仕事終わりにクッキーを焼いた。1年ぐらい前から集めていた色んな動物のクッキー型を総動員して、プレーン味とココア味の2種類を。
お菓子作りで一番好きなのはクッキーの型抜きをする瞬間。綿棒で伸ばした生地が、かわいい形に生まれ変わっていく過程にわくわくする。
焼けるのを待って、金曜ロードショーを見ていたお母さんと一緒に焼きたてをパクリ。少し甘くしすぎたけど、おいしくできて満足な気持ち。
キャラメルケーキとチョコパイも作ろうと思っていたのだけれど、何ということでしょう、卵がないというハプニングが発生。
卵は冷蔵庫に常備しているのに、この日に限ってないなんて。泣く泣くデート当日に早起きして卵を買いに行き、爆速で作ることに決めた。
実家にお泊まりに来ていた叔母さんとチワワのわんちゃんに見守られ、早朝のお菓子作りがスタート。
まず作ったのはアンパンマンのお昼寝チョコパイ。とっても簡単にできるし、何より見た目がかわいいからお気に入りのレシピ。
次にキャラメル好きの彼のためにバターをたっぷり使ったキャラメルケーキを焼いた。初めて挑戦するレシピだったから失敗しかけたけれど、焼き上がりにはこんがりといい匂いがしてきて一安心。
袋に入れてラッピングする時も、色々アイデアが浮かんできてワクワクしっぱなしだった。こういう気持ちを感じる時、私は誰かに自分の作ったものをプレゼントすることが大好きなんだなと思う。
完成したお菓子の箱を忘れずに持って、特急電車で2時間かけて東京に住む彼に会いに行く。
予想通り彼はとっても喜んで、写真まで撮ってくれた。それからお腹すいた〜と言いながらキャラメルケーキをぱくり。おいしいそうに頬張る横顔を見ているとこっちまで嬉しくなる。
デートを終えて家に帰ってきた私は、こんな日記を書いた。
彼は今年の4月から社会人になる。一緒に同じ時を過ごした西荻窪を離れて、新しい土地で新生活を始める。私たちの関係性も、また少しずつ変わっていくのかもしれないね。それが楽しみでもあり、不安でもある。
来年のバレンタインは、リクエストされた生キャラメルを作ることに決めたよ。
最近の心が動いた出来事と考えたことを取り留めもなく書いてみた。その言葉が誰かに届けば嬉しいし、届かなくてもそれはそれでいいんだ。
とにかく、日々をこうやって残すことが楽しかったからまた言葉を紡ぎたいと思う。
読んでくれてどうもありがとう。