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「パーソナルブレインフィットネス」で、その人に最適な復職サポートを実現

 主にメンタル不調で休職や離職に至った方々の、復職や再就職を支援するリワーク施設の「ニューロリワーク」。より効果的な復職・就労プログラムを提供できるよう、日々さまざまな取り組みを行っています。

 たとえば、一人ひとりの生活習慣の改善や実践的なストレスケアエクササイズの習慣化を実現し、自律神経を整えてストレスの低減を目指すプログラムである「ブレインフィットネスプログラム」。
 ブレインフィットネスプログラムは、インクルード株式会社が運営し、脳科学者が所属するブレインフィットネス研究所によって開発されました。東北大学との認知機能維持に関する共同研究や、うつ病と生活習慣に関するエビデンス研究をベースに、精神科医の監修をうけた独自のプログラムです。現在では就労移行支援事業所のニューロワークスや、リワーク施設のニューロリワークにて提供されています。

 そんなブレインフィットネスプログラムを一人ひとりの特性に合わせてカスタマイズしたのが、「パーソナルブレインフィットネス」です。
 パーソナルブレインフィットネスでは、生活習慣の改善や実践的なストレスケアエクササイズの習慣化を実現し、自律神経を整えてストレスの低減を目指します。
 専門のブレインフィットネストレーナー(アドバイザー)がマンツーマンで指導にあたり、一人ひとりの生活状態やストレスケア状況をアセスメントすることで、最適な生活習慣の改善案やストレスケアエクササイズをご提案します。また、食事や運動、睡眠という基礎的な活動領域に基づいて心身の健康や体内時計を調整することで生活習慣を改善させ、ストレスに強い身体づくりを目指し、復職・就労を実現します。


 今回は、そんな「パーソナルブレインフィットネス」のトレーナーを担当されている、ニューロリワーク三軒茶屋センターの荒井(あらい)さんに、その魅力や成果などを詳しくうかがいました。

「パーソナルブレインフィットネス」担当者インタビュー

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編集部(以下:編)
本日はよろしくお願いいたします。

「パーソナルブレインフィットネス」は、お一人おひとりに合わせてアドバイスやサポートを行う取り組みとのことですが、より具体的にいえばどのような関わり合いの中で復職や就労を目指していくのでしょうか。


荒井(以下:荒)
ポイントとしては、いわゆる「指導をする」というものではなく、こちらからアドバイザーとして知識を提供し、ご本人が主体的に取り組みを考えるという点にあります。知識に基づいたご本人の取り組みをトレーナーが見守り、応援していくことで、ご本人のブレインフィットネスへの取り組みに対する意欲を向上させ、効果に繋げていきます。


編:
あくまでご本人が取り組みの主体であり、そのサポートを個々に行う、つまりは「パーソナル」に行っていくということですね。


荒:
はい。もともとインクルードで行っていたブレインフィットネスは、脳の健康の実現や脳疲労の予防を目的としたものでした。この取り組みをパーソナルに焦点を当てて行っているのが、「パーソナルブレインフィットネス」です。


編:
パーソナルブレインフィットネスは、おそらく他のさまざまな改善プログラムと同様に、決して一朝一夕で効果が現れるものではないと思います。プログラムの受講開始から終了までの主なスケジュールはどのようなものなのでしょうか。


荒:
人によってある程度の個人差はありますが、開始から終了までおよそ1ヶ月半を目安としています。主に、一週間ごとに次の段階へ移っていくイメージです。

はじめに、生活行動や食事写真などの記録を開始することから始めます。そしてその翌週には、1週目の行動を基にトレーナーとしておすすめの行動や取り組みをご提案させていただき、ご本人に実践いただくことになります。

3週目~4週目には、それまでのアクションを振り返り、調整部分があればあらためてご共有・ご提案させていただきます。取り組み始めて5週目になると、復職を視野に入れ、復職後に求められる生活行動やアクションプランを立てていきます。

6週目、つまり取り組みの最後の週では、これまでの改善結果や効果的だった行動の整理を行うまとめの期間に入ります。

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編:
およそ一ヶ月半でひとつの成果がみえるようになることを考えると、比較的ハイペースな取り組みであるといえるかもしれませんね。

これまでに何名くらいの方がパーソナルブレインフィットネスを経て復職・就労を実現されてきたのでしょうか。


荒:
まだまだ始まったばかりの取り組みですが、2021年の2月末時点では終了者が13名、うち既に復職・就職されている方は7名で、受講中の方は4名いらっしゃいます。


編:
既に一定の成功事例があるということですね。

パーソナルブレインフィットネスプログラムを受講されてきた方々に、多くみられる共有の悩みや特徴、傾向などはあるのでしょうか。


荒:
主に、うつ傾向の波や土日の不調などが多いように感じています。また、「解決すべき課題」という点では、運動の習慣化やエネルギー調整などが挙げられると思います。


編:
なるほど。そういった点もパーソナルブレインフィットネスを通じて改善を図っていくというわけですね。

パーソナルブレインフィットネスのトレーナーとして、取り組みを実施する際のポイントなどがあればお聞かせください。


荒:
ひとつは、ご本人の努力に対して良い部分を見つけ、お伝えするという点です。悪い部分を見つけるといった“粗探し”ではなく、敬意と感謝を持ってお伝えしています。

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編:
良い部分の指摘が、次の取り組みの積極性を引き出すことに繋がるということですね。同じ取り組みでも、良いフィードバックがあるのとないのとでは効果も変わってくると思います。


荒:
他にも、効果や成果を出そうとして焦らないという点や、取り組みをされている方に干渉しすぎないという点も、トレーナーとして押さえておくべきポイントといえます。


編:
これに関しては、先ほどのお話にもあったように「いわゆる“指導”をするのではなく、アドバイザーとして知識を提供し、ご本人が主体的に取り組みを考える」という考え方が根底にあるということですね。

干渉しすぎないとのことですが、これまでにパーソナルブレインフィットネスを多くの方々に提供されてきた中で、どういった点が特に大変だったのでしょうか。


荒:
パーソナルブレインフィットネスでは、ご本人の日々の生活の詳細から感情の変化に至るまで、多くの情報をご共有いただくことになります。そのため、担当者であるトレーナーとご本人との信頼関係の構築が非常に重要になります。


編:
確かに、ご本人に合った取り組みを提供し、実施いただく中ではご本人特有の傾向や習性などを把握しておく必要がありますね。そう考えると、「単なるノウハウの伝達」を超えた関係づくりも大きなポイントということですね。それだけに、プログラムを経て利用者の方々が復職・就労されたときはその喜びも非常に大きいのではないでしょうか。


荒:
そうですね。復職された方がその後に定着支援でいらしたとき、パーソナルブレインフィットネスで取り組まれていたことを継続されていたり、活き活きとしている姿を見られるのが一番うれしく思います。

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編:
すばらしいことですね。

続いて少しお答えづらいご質問となってしまうかもしれませんが、パーソナルブレインフィットネスを通じて多くの方が復職や就労を実現されてきた中で、高い効果を発揮された方もいらっしゃる反面、あまり効果が現れなかった方もいらっしゃるのでしょうか。

言い換えれば、効果のある方とない方、もしくは少ない方にはどのような違いがあるのでしょうか。


荒:
体力がある方や運動経験がある方ほど活発になり、よく食べてよく寝て心身を良い状態に戻しやすいという傾向はあります。反対に、体力が無い方は疲労を感じやすく、抑うつ時に動けなくなるためストレスケアも行えないことも多くなります。こうした課題に対する解決策としては、日々の活動量を保つことが重要であると感じています。

あと、「効果が少ない」という点では、ご自身の方法が確立されてる方ほど自ら行動を狭めがちになるという傾向がみられます。こうした場合には、認知行動療法理論に基づくFIT(※Flexibility Intervention Training:柔軟性介入トレーニング)プログラムと同時進行することで、改善が期待できるようになります。


編:
なるほど。パーソナルブレインフィットネスのみに解決策を見出すのではなく、他のプログラムとかけ合わせて多角的に解決を目指すということですね。

ちなみに、今後パーソナルブレインフィットネスに含めたい新たな取り組みやプログラムなどはあるのでしょうか。


荒:
現在では主に室内での取り組みとなっていますが、自然の多い場所で運動や瞑想をしたり、料理をしてよく噛んで味わうなどを一緒に行えるようになれば、より利用者の方々のマインドフルな生活の意識に繋がると思います。

他にも、現在ではさまざまな取り組みがオンラインで完結できる時代になりつつあるので、パーソナルブレインフィットネスに関しても同様に、オンラインのみでできるものとして場所を問わず全国で提供できればうれしいです。

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編:
プログラムを経て多くの方が復職・就労を実現されていることを考えると、より幅広い方々への提供は確かにこれからの大きな目標といえますね。

現在、リワーク施設を利用していない方に向けてパーソナルブレインフィットネスの魅力や可能性をお伝えいただいてもよろしいでしょうか。


荒:
パーソナルブレインフィットネスは、「少しでも心身の状態を変えたい」という方に向けたプログラムです。

「変われる自信がない」「途中で続けられなくなるかもしれない」といった不安を感じる方や、大勢でのコミュニケーションに抵抗がある方でも、ご自身のペースで取り組める内容とスピード感が大きな特徴であり魅力のひとつでもあります。このプログラムが休職でお悩みの方にとって、日々の生活リズムを取り戻すきっかけになれば幸いです。


編:
インクルードが提供する、脳と身体の健康を実現するための「ブレインフィットネスプログラム」。それをより個々に向けてカスタマイズし、高い成果が期待できるのが「パーソナルブレインフィットネス」ということですね。

今回のインタビューを通じて、お一人おひとりの特性や傾向に合わせた取り組みは、まさに復職と安定した就労の要(かなめ)となると感じました。今後もさまざまな形でプログラムを発展させ、ぜひ多くの方々の復職や就労をサポートいただければと思います!


本日はありがとうございました!

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