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第101回 箱根駅伝予選会 レビュー

【箱根駅伝】
今回は、先日行われた第101回 東京箱根間往復 大学駅伝競争 予選会のレビューをしていきたいと思います。

とても長い余談ですが、私は陸上経験は全くありません。手前味噌ですが、高校の時に校内でも長距離走をした時に意外と速い方だということが分かり、中学生くらいで陸上に出会っていればな、と少し後悔しています。
大学生の時に小規模の大学対抗戦の駅伝には出場したことはありますが、効率の良い走り方などは教わったことがありません。

因みに、2代目山の神柏原選手が卒業した2年後の第90回箱根駅伝で2年ぶりに優勝した東洋大学を観てファンになりました。88回大会では、ぼんやりと『山の神』というすごい選手がいたのは覚えていて、第90回大会に山の神なしで選手がチームのために1秒を大事にする走りを全員が遂行して優勝を達成したことに胸打たれ大学駅伝の虜になりました。
(余談 終)


基本情報

・参加大学:43校(10校が箱根駅伝本選出場)
・コース:陸上自衛隊立川駐屯地➡︎立川市街地➡︎国営昭和記念公園
・距離:21.0975km(ハーフマラソン)
・2024/10/19(土) AM9:35 号砲
・気温:23.2℃(昨年は15.8℃) 午前9時時点

過去5年で気温が最も高いとテレビでもアナウンスがあり、レース前から各大学のチームスタッフなどが選手の首元を冷やすなどしているくらいの高気温でした。過去にあまりこのような光景を見たことはないですね。また大学によっては、給水地点で水を必ずとってくれ、テレビで音が拾われるくらいの声で指示が飛んでいました。

箱根駅伝本選に出場するには

第100回箱根駅伝でシード権を確保した10大学を除いて、予選会のレースを各大学で最大12名が出走して、上位10名の合計タイムで速かった上位10大学が箱根駅伝本選の出場権利を得ます。(加えて、最大12名の参加者の全員のタイムが一定期間内において、トラックで10000m34分以内の公認記録を持っているか、なども条件にあります。)

また、本選出場が叶わなかった大学の中から予選会のタイム上位の学生で構成される関東学生連合チームというチームが1チーム結成され、非公認記録ですが本選に出場します。
私の大学のOBでもある川内優輝さんが関東学生連合で箱根駅伝の6区山下りを2度経験しています。

個人的注目大学

・中央大学

メディアを通してのの映り方にはなってしまいますが、2016年に第93回箱根駅伝の予選会で敗退してから藤原監督と紡ぐ今日までが本当にドラマのようで心から応援したくなる雰囲気があるからです。中大の良さはまたどこかで語ろうかと思います。

・順天堂大学

遠い親戚に順天堂大学の医学部同窓会長のOBがいる、っていうのもあるのですが、長門監督の学生に対する向き合う雰囲気が好きなんです。知り合いの元友人(今はあまり連絡をとっていない)が長門監督は人格者だ、と言っていたので人間的にとても成長させてくれるのだろうと思って期待をしています。

・麗澤大学

以前、麗澤大学を特集していた時に麗澤大学・山川監督の学生・選手に対する向き合い方に惹かれて応援するようになりました。メディアを通してでしかありませんが完全に踊らされています(笑)。
マネジメントについて非常に興味があり、選手として付いて行きたくなるような温かくも熱い指導が印象的です。
就任当初は他大学に比べて資金面的に練習施設も劣るようなことが伺えたが、現在は留学生も携え毎年全体タイム的にも成長していることに注目です。

・立教大学

上野・前監督によるネガティブな事態が発生して高林監督に替わり就任1年目でした。全日本大学駅伝予選や記録会で実力を如何なく発揮していたが、新監督での予選会結果に大いに期待がかかります。

・東京国際大学

昨年、3秒に泣いた結果を取り返してくるかに注目していました。また、留学生頼みではなく全員の底上げを誓っていたのでそちらにも期待です。

レース一部振り返り

・4km地点

上武大学が6年ぶりの出場を目指す、というアナウンスに驚きです。たしかに最近は出場を逃しておりましたが、予選会滑り込みの上武、というイメージげありましたので。

・5km地点

通過タイム
先頭:カマウ・パトリック 選手 14’11(上武大)
日本人先頭:吉田礼志 選手 14’45(中学大)

・10km地点

通過タイム
先頭:先頭集団 28’50
日本人先頭:吉田礼志選手 29’35(中学大)

通過正式順位

・1位 立教大
・2位 日体大
・3位 中央大
・4位 国士舘大
・5位 東京国際大
・6位 山梨学院大
・7位 東海大
・8位 日大
・9位 専修大
・10位 順大
----------------------------------------
・11位 駿河台大
・12位 明治大
・13位 筑波大
・14位 中央学院大
・15位 神奈川大

・14km地点

東京国際大学留学生・エティーリ選手が先頭集団から遅れる展開に。

・15km地点

通過タイム
先頭:43’32
エティーリ選手:44’09(東国大)

通過正式順位

・1位 立教大
・2位 日体大
・3位 山梨学院大
・4位 中央大
・5位 専修大
・6位 中央学院大
・7位 東京国際大
・8位 日大
・9位 東海大
・10位 国士舘大
----------------------------------------
・11位 神奈川大
・12位 順大
・13位 東農大
・14位 明治大
・15位 流通経済大

・17.4km地点

通過正式順位

・1位 立教大
・2位 専修大
・3位 山梨学院大
・4位 日体大
・5位 中央大
・6位 中央学院大
・7位 日大
・8位 東海大
・9位 東京国際大
・10位 順大
----------------------------------------
・11位 神奈川
・12位 東農大
・13位 国士舘大
・14位 中央学院大
・15位 神奈川大

・フィニッシュ地点

先頭:1’00’59 キップケメイ 選手(日大)※2年連続
日本人1位(全体10位):1’03’29 吉田礼志 選手(中学大)
11位:1’03’35 エティーリ 選手

10人ゴールしたのが速い順

・1番目 立教大
・2番目 中央学院大
・3番目 専修大
・4番目 明治大
・5番目 神奈川大
・6番目 日大
・7位 山梨学院大
・8位 順大
・9位 日体大
・10位 東農大
----------------------------------------
・11位 中央大
・12位 東京国際大
・13位 国士舘大
・14位 流通経済大
・15位 明治学院大

【結果】

・1位 立教大
・2位 専修大
・3位 山梨学院大
・4位 日体大
・5位 中央学院大
・6位 中央大
・7位 日大
・8位 東京国際大
・9位 神奈川大
・10位 順大
----------------------------------------
・11位 東農大
・12位 明治大
・13位 国士舘大
・14位 中央学院大
・15位 流通経済大

個人的な注目大学の感想

・中央大学

大方の予想では上位に来るだろうと思われていましたが結果は6位でした。それもそのはず、主力の溜池選手・柴田選手を怪我で欠き、浦田選手・吉居駿恭選手・本間選手を全日本大学駅伝を見据えて回避していました。藤原監督としては、3〜7位(本戦出場通過中位)あたりで通ればまずまずと目論んでいたのではないでしょうか。
後出しですが、私は5番手くらいかなと思っていました。
危険な橋を渡るような賭けにも思えますが、記録会などの結果も残しており、圧倒的な選手層を作り上げた自信からの結果で、してやったりという印象です。

ベストメンバーで挑まないことに賛否あったようですが、勝負の世界『勝てば官軍負ければ賊軍』。箱根の予選会で結果を出して、全日本大学駅伝にもベストで臨めるような調整ができたことは非常に賞賛に値すると思っています。

全日本大学駅伝には溜池選手・柴田選手も間に合う可能性が高いと思われますし、今回の予選会もかなりの実力者揃いですので、中央大学はトップ争いに常に絡んでくるだろうと思います。

・順天堂大学

とりあえず通過するだろう、と大方でも予想されていたが肝っ玉冷やす10位。それも11位の東農大とは1秒差。勝負の世界の天国と地獄とはまさにこのことを言うのか、と鳥肌が立ちました。
順位の変動的には10位前後をいったりきたりしておりましたが各自がペースを落とさずに全員が、最悪の想定内で走り切ったことが出場に繋がったと考察します。
個人的に順大の通過は嬉しいですが、農大の『大根踊り』が見られなかったり前田選手の本戦出走が見られないのは残念でなりません。
予選会から色々な大学に感情移入してしまうので、まさにドラマです。

・麗澤大学

山川監督も″過去一の戦力″とコメントしておりかなり期待をしておりましたが、17位でした。
独特な緊張感のある予選会の難しさや″今年こそ″という思いがプレッシャーになっしまったか。数年前に本戦出場次点での敗退を2度経験しており持ち越すことになりますが来年以降も楽しみにしたいと思います。

・立教大学

多くの方から1位通過を予想してする声がありました。その予想通りの強さが証明されました。ただ、私は大方の予想に反して監督交代の影響が少しネガティブな方向に転ぶと思い、ギリギリでの通過を勝手に予想していました。この結果となったことの背景には、暑さやペース配分等あらゆる想定をしっかり監督を中心にされておられたのであろうと思います。アッパレです!
馬場選手・林選手・國安選手の本戦での走りに期待です!

・東京国際大学

エティーリ選手が暑さに少し苦手なのか留学生ランナーの中では少し後方になったことや、キャプテン楠木選手の8km付近での途中棄権など今年もアクシデントがありました。またまた不安がよぎりましたが、留学生頼みではない戦力へと成長しておられ見事8位通過となりました。

総評

昨年の15.8℃から比べるとかなり暑い気温で迎えた箱根駅伝予選会。体感温度は30℃超えとアナウンスもあったほどでした。
結果を見ても今回1位の立教大学の総合タイムが1時間52分36秒、昨年の1位の大東文化大学の総合タイムが1時間33分39秒、と19分近くも差が生まれています。暑さの影響はかなりあったと見て良いでしょう。
その中で、暑さに耐え得る練習や戦略を練り本番で発揮できたかどうかが勝敗を分けたかと思います。

特に、専修大学は夏合宿時に日中暑い時間帯にも練習を積んでいたとのことでして、どんな状況下でも走れる対応力が今回気温に打ち勝つ走りになったことも一つの要因でしょう。10km➡︎15km➡︎17.4km地点では、9位➡︎5位➡︎2位とペースを落とすどころか徐々に上げていける力が相当ついているのだと想像できます。

一方で、14位という結果で12年連続の本戦出場が叶わなかった東海大学。主力のロホマン選手のゴール手前での棄権やチーム10番目となった越選手が72分かかってしまう恐らく想定外の状況になってしまいました。
10km➡︎15km➡︎17.4km地点では、7位➡︎9位➡︎8位と辛うじて通過すると思っていましたが、やはり想定外のロホマン選手のアクシデントがかなり響いた形となりました。
素人目には想像もつかないくらい様々な想定をされて臨んだであろうが、監督・チームとして暑さ対策は万全であっただろうか。また、予選会対策は十分であっただろうか。全日本大学予選なども力を十二分に発揮して今季結果を残し続けてきただけに以上のような対策が他大学に比べて不十分であったと考えられます。
さらに、兵藤ジュダ選手・鈴木天智選手・竹割選手という主力選手を全日本大学駅伝の為に、温存されたとも噂されており、ベストメンバーで臨んでいなかった可能性もありそうです。
全日本大学駅伝との両立の為にエースを箱根駅伝予選会で起用しなかった少しの慢心(選手層への絶対的な自信がないまま箱根と全日本の二兎追おうと決めたこと)または、ロホマン選手などの暑さによるアクシデント等の想定が不十分であったことが敗戦の要因だと推測しています。

しかし、強豪校ですので温存したとて通過するだろうと私も思っていたので、予選会の難しさと厳しさを第三者ながら実感しました。

予選会対策がバッチリすぎたのは留学生居らずして毎回予選会を突破している今回4位通過の日体大。
10km➡︎15km➡︎17.4km地点では、2位➡︎5
2位➡︎4位と上位で堅実に走り切りました。
毎年集団走をしていてその年その年の天候などの状況によってしっかり目標タイムを設定してブレずに予定通り選手全員がやり遂げているのでしょう。
ある意味これは強豪校で近年予選会に回ることが少なかった予選会に不慣れな東海大との差であり如実に現れたと思います。

神奈川大学は、序盤から終盤にかけて箱根駅伝出場圏内の10位以内に入ってくることがなかったものの、10km➡︎15km➡︎17.4km地点では、15位➡︎11位➡︎11位と、最終盤で1秒を下ずり出す走りをされたのではないでしょうか。9位という冷や汗のかく順位ではありますが気持ちの入った走りで追い上げたと言えます。

小さくないトピックとして、東京農業大が1秒に泣き本戦出場を逃す形となりましたが、東農大も各地点での順位では出場圏内に中々入ってきませんでした。しかし、毎地点で順位を上げてくる粘りの走りをされていました。
1秒を削る走りを全力でされていたように思っていただけにとても残念でした。東農大のギリギリの敗退には、勝負の世界の儚さ、怖さ、悲しさなど視聴者としても複雑な感情を抱きました。

まとめ

毎年の箱根駅伝予選会にも重要なことだと感じていますが、特に、

◾️選手層の厚さ
◾️暑さ(気温への)対策
◾️想定される様々な状況下でのチーム内の決め事
◾️1秒を削り出す精神

の4点を、チームで確実に行えたかどうかが予選会を突破して本戦出場を決めたかに結びつくと私は思います。
当たり前と言ったら、当たり前のことですが極度のプレッシャーや前日の睡眠不足で出しきれないことも容易に想像できます。
老婆心ながら、特に本戦を逃してしまった大学にはそのような複雑な感情等を上手くコントロールし、以上の4点をベストな形で発揮して来年リベンジされることを期待しています!

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