見出し画像

【読書感想文・THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す(アダム グラント (著), 楠木 建 (翻訳))】「BESTへの到達」よりも常にBETTERを心がける

Audibleで「THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す」を聴きました。

久々のアダムグラントの著書。たっぷり12時間分楽しませていただきました。

本書を読んで、

省みることの力

について学びました。最初、本書のタイトルを見て予想した内容が「自分の固定観念を捨てて柔軟な態度になろう」みたいなことなのかと思っていました。それについて、より具体的なアプローチが知りたい、そんな気持ちで本書を聞き始めました。

ところが、この「省みること」は組織においても非常に重要で、それができる組織には「心理的安全性」が備わり「成果主義の組織よりも成果が上がる」という研究結果があるということでした。

省みることをおろそかにする組織、成果主義の組織は、ある設定された明確なゴール(BESTな結果)はあるのですが、その達成に固執するあまり、不都合なことに対し隠す・都合のいい解釈をする、足の引っ張り合いが起こるなど、結果的に大きな損害を出したり、組織能力の弱体化を起こすケースがあるようです。しかもその例として出てきたのがNASAで、自分も知っていたスペースシャトルの事故が対象となっていたため、話としてとてもおもしろかったです。

これとは逆に、省みることを積極的に行う組織は、「間違うことに対する後ろめたさ」がなくなるため、組織内のリスクを冒すことへの積極性や、ミスの報告に対する誠実性が高くなり、結果的に成功の頻度の増加や、重大な失敗の現象が低減します。上述の例においても、NASAのある科学者がこの考え方を導入したことにより、細かい懸念事項まで精査するようになった旨の記述がありました。

今の自分の職場を見ると、20年くらい前?にアメリカのシステムを国家的に取り入れ始め、もともと成果主義の傾向にあったこの業界がよりシビアに成果を求められるようになり、かなり疲弊している状態になっているのでは、という感がああります。その例として、少なくとも自分がいる大学では、博士課程に進む学生が異常に少なく、学生にとっていわゆる研究者という職業に魅力がないのが、それを表しているのかな、と。

おそらく、教員は成果を出さないといけないので、それを達成するために研究室を運営しているのだけど、まさに上述したような環境になっていて、全体として成果が上がりにくい状態になっているのではないかな〜と勝手に感じています。

そういう今だからこそ、結果に固執するのではなく、BETTERを心がける、つまり、成果の発表を考える前に、より良い研究をするには、ということを心がけることが、長期的に考えて、より良い成果を得ることに繋がり、組織としても失敗する人ではなくて、失敗そのものに議論の焦点を合わせられるのかな、と思いいました。

個人の改善にも、組織の改善にも非常に役立つ考え方が満載でした。全ての人におすすめです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



この記事が参加している募集