
地域の人と共に育む。井波で始めるシェアキッチンの挑戦|朝日久美子さん
都市での慌ただしい日々から離れ、自然と人の温かさに囲まれた南砺市で新たな暮らしをスタートした朝日久美子さん。2025年3月、古民家をリノベーションしたシェアキッチン『DOMAから』を井波にオープンします。地域とのつながりを大切にしながら進むそのプロセスと想いを伺いました。

朝日 久美子(あさひ くみこ)さん
1982年生まれ。大阪府出身。高校卒業後はアパレル業界で働き、その後ネット通販を運営する会社に転職。現在はフルリモートでECサイトの運営やマーケティングを行う。2019年に富山県氷見市へ移住し、2021年から南砺市井口で暮らす。2024年秋から井波の古民家改装を始め、2025年3月にシェアキッチン『DOMAから』をオープン予定。
ーーー朝日さん、本日はよろしくお願いします。まずは富山への移住のきっかけを教えてください。
毎日の満員電車や忙しい生活の中で「何のために働いているんだろう」と考えるようになったんです。それで「田舎で暮らしてみたい」という思いが強くなり、2019年に夫の提案で富山県氷見市へ移住しました。氷見には夫の友人がいて、一緒に椎茸栽培の仕事をすることになったんです。その後、2021年に南砺市井口へ引っ越してきて、現在は夫と子どもと3人で暮らしています。
ーーー大阪から富山への移住は大きな変化だったと思いますが、どんな印象を持たれましたか?
最初は氷見市のまちなかに住んでいたので、そんなに大きな変化は感じませんでした。でも、外に出ると自然がいっぱいあって気持ちが良く、心がゆったりしましたね。
ーーー2021年に南砺市に移住されましたが、どんなきっかけがあったのですか?
きっかけは子どもの保育園選びでした。井波の『寺子こどもえん』という自然保育や食育に力を入れている場所をインターネットで見つけて、見学に訪れました。その時に感じた地域の人の温かさと自然の豊かさが南砺市への移住の決め手になりました。
ーーー井波でシェアキッチンを始めることにした背景を教えてください。
自分が仕事をするための事務所を作りたいというのが最初のきっかけです。でも、それだけじゃなく、地域の人やいろんな方が集まれる場所にしたいと思いました。
子どもが地域のおばあちゃんたちと自然に交流している姿を見て、「寺子こどもえんを卒園後も、井波でこういう関わりを続けられる場があればいいな」と思ったんです。

ーーー井波で新たな挑戦をすることに、どんな魅力を感じていますか?
井波には、可能性がたくさんあると感じています。
空き家を活用できるのも魅力でした。空き家が多いというのは一見課題のように思えますが、活用して新しい価値を生み出すチャンスでもあります。お店は、夫が大工さんの指導を受けながら、廃材を再利用して古民家をリノベーションしています。改修は大変ですが、地域の方々が「何か手伝えることがあれば」と声をかけてくれて、みなさんと楽しく関わりながら進めることができています。10月には、参加している『イナミライ』の活動として、井波小学校の子どもたちと一緒に漆喰塗りに挑戦しました。

南砺に来たばかりの頃は知り合いもいなくて不安でしたが、『イナミライ』などの地域のみなさんと関わる中で「自分は一人じゃない」と心強く感じています。地域の人たちが「まちを良くしていこう」という思いを共有しているところも魅力的ですね。

ーーー完成したお店をどのような場所にしたいですか?
カフェをメインに、地域の人が気軽に立ち寄れるような場所にしたいです。特に子どもたちが学校帰りに安心してフラッと来てくれると嬉しいです。
また、やってみたいことを気軽に試せる場としても活用してもらいたいです。最近はお店を持たずにイベント出店で活動されている方が多いですよね。そういった方がチャレンジする場として使えたり、地域の人にとっても「今日はカレー屋さん」「今日はカフェ」といった形でいろんなコンテンツを楽しめる場所にしたいです。

ーーー最後に、これからの展望を教えてください。
まずは、シェアキッチンを通じて近所の方々との日常的なコミュニケーションを増やしていきたいです。一緒に何かをしたり、ちょっと遊びに来てもらったり、世間話をしたり。ゆるやかな関係性を築いていきたいです。
ゆくゆくはシェアキッチンだけでなく、宿泊もできるようにしたり、ご希望があれば私が出来る範囲のWEBサイトやECサイトの作成、集客や売上アップのお手伝いをしていけたらいいなと考えています。
地域の人たちと一緒にイベントを企画したり、他の移住者の方々とも交流を深めたりして、井波がもっと活気づくような取り組みにも挑戦したいと思っています。

朝日さんの温かい人柄と、地域資源を活かしながら挑戦の場をつくっていく想いが伝わりました。シェアキッチン『DOMAから』のオープンが楽しみです!
【DOMAからInstagram】
これから井波でお店を始めようとしている人たちを発信することで応援する『いなもんジャーナル』。次回のご紹介もお楽しみに!
取材・執筆:徳田琴絵