いな みみ

夢を食べて綺麗事を語りふかふかのお布団で好きなだけ眠って虹色のうんこをしてけらけら笑って生きていたい。 Twitter▶︎いなむら(母) https://mobile.twitter.com/inmr_mam

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かわいい ほっぺちゃん

    • チャックと稲妻

      「先輩」 彼は無邪気にわたしのことをそう呼んだ。 「なに」 「先輩って意外とおもしろいよね」 あの頃のわたしはいつもすましていた。つんとした顔で彼を一瞥して、あなたの言葉はわたしの心に届いていませんよ、少しも揺さぶられることなんてないんですよ、という体を装う。 「きみもね」 その時も彼に借りた新世紀エヴァンゲリオンをすでに読み終えていたにも関わらず、まだ最後のページを開いたまま眺めていた。わたしが彼の話を聞くために本を閉じたと思われたら癪だからだ。 「おれと一緒

      • それは 泣くほどに

        せかせかと 世界はいつも急いでいて 置いていかれないように わたしもいつも せかせか せかせか 駅までの道を早歩き ぱんぱんのお腹がしぼんだかと思えば ほやほやの生き物があらわれて わたしの世界は一変した ほかほかと それはいつも ミルクのにおい ほにゃほにゃ ほにゃほにゃ 泣くか眠るか 眠るか泣くか お腹がすいたらよく泣いた ああ そうだった お腹がすくのはつらいことだ それは 泣くほどに オムツが汚れてよく泣いた ああ そうだった 不快感とはつらいものだ それは

        • 未熟なぼくらはデートする

          わたしたち夫婦はよくデートをする。幼子がいると2人きりの時間を作るのは容易いことではないのだが、それでもわたしたちはそれはもう隙あらばデートをする。 まずは深夜の密会。次に退勤後の待ち合わせ。そして、月に1、2回の本気デート。それら全てをデートと呼ばない人もいるだろう。しかしながら、世の中のほとんどの事柄は呼んだもん勝ちなので、わたしはこれらをデートと呼ぶ。よって、デートなのである。 しかし、わたしたちがいくらデートしたがりとはいえ、先程も申し上げたように、幼子がいる家庭

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        かわいい ほっぺちゃん

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          未熟なぼくらはよく足掻く

          「さっき事故を起こしそうになったよ」 帰宅して早々、夫は言った。 わたしは思わずしかめっ面で「えー!気をつけてよね!」と口にしそうになり、はたと、自分の過ちに気付いて言葉をかえた。「怪我してない?雨の日の夜は視界が悪いよね」「大丈夫、間一髪だったよ。ほらあそこ、対向車が見えにくい角あるでしょ?そこですごいスピードの車がいて…」と夫は事の次第を話し始めた。 わたしはすぐに思いやりを忘れる。大好きな人を大切にしたいのに、一緒にいればいるほどその大好きな人は日常に溶け、まるで自

          未熟なぼくらはよく足掻く

          ごはん

          ごはんがすきさ ごはんがすきさ パンもうどんもいいけれど ごはんがやっぱり一番さ ごはんがすきさ 何よりすきさ そばもパスタもいいけれど ごはんが何より一番さ 雑穀米に 玄米 麦ごはんに 混ぜごはん チャーハンに ピラフ お寿司に どんぶり 全部が全部すきだけど 白いごはんはご馳走さ 虫が稲穂をかじってる わかるよわかる おいしいもん 人も稲穂を愛してる すくすく育っておくんなさい おいしいごはんの欠点は 食べたらなくなるところだけ 文   いなみみ 絵

          成長

          風が冷たくなってきた。 むすめが生まれてから、もう5回目になる冬が来る。 はじめての冬は、まだ赤ちゃんで、その靴下の小ささが可愛かった。 2回目の冬は、もこもこのコートが歩いているようで、それはそれは可愛かった。 3回目の冬も、4回目の冬も、気づけばあっという間に過ぎていった。 そうして5回目になる冬が、もう目の前まで来ている。 季節がめぐることを覚えた小さなからだが、ぴょんぴょん跳ねながら、大人のまねをして、言う。 「かぜが つめたく なってきたね。」 公園には、