見出し画像

『とんび』

コロナが、世界中で猛威を振るい、
社会は、時短就業、リモートワーク。
家族と過ごす時間が増えることは、本当はとてもいいこと。逆に、大切な人との、コミニケーションの取り方を忘れてるのでは?
考えましょう。
大切な人のために
『とんび』を読むと、わかります。大切な人とのコミニケーションは、ひたすら考えてるのです。
直感的に動いてないのです。
悩んで、迷って、
時には誰かに相談して、仲間に助けてもらって
大切な人のために、一生懸命になるのです。
 隣の人に甘えて、なんでもしてもらってるあなたは、その隣の人、
"大切な人"じゃないのですか?
お互い長い付き合いだから、同じ言語で、同じ方言で、
でも、伝わってませんよ?あなたの言葉。
大切な人の言葉も、あなたにちゃんと届いていますか?
聞こえてるだけではダメなんです。ちゃんと咀嚼して、理解して、対応しないと、
なんでそんなに時間や労力いるの?と思います?
もっと、空気的な存在でいいじゃん、て思いますか?
自分に近い人ほど、考えましょう。コミニケーションを取りましょう。
地球の裏側の、言語が違う人より、すこし意思疎通ができる。
その程度です。
阿吽の呼吸というのは、相手のことを想い、考えているからこそ、できるのです。
そのことを、頭の隅に置いて、この本を読んでみてください。

 僕は知らなかったんですが、この本、テレビ化してて、来年、劇場化するんですね!すごい!
著者は重松清氏。テレビドラマ化は2回で、どちらも受賞作品らしいです。
2022年には、阿部寛さん主演で、公開予定とのこと。
 ここからは、ネタバレを含みますので、楽しみな方は、ここで、記事から離れてください。

 とにかく熱いです。全体を通して、昨今忘れかけていた、人情という形を教えてくれました。
主人公ヤスさんの、不器用な愛情の伝え方が、ものすごくわかりやすく書いてくれています。
両親のいなかった、主人公と、家族が戦争で亡くなった、その妻。最初はこの夫婦に子供が産まれるところから始まります。
まず、産まれるまでに、一回泣けます。
父親としては、当たり前のことなのかもしれないですが、僕は忘れていた父(僕の父は早くに亡くなりました)の、行動や、言動の思い出が
あぁ、あのときはこういう思いだったのかもしれない。何も言わなかったけど、本当はすごく悩んで、そして出た答えだったのかもしれないと、小さい頃の思い出を想起させました。
憎まれ口を叩く主人公のヤスさん。でもその実、初めて出来た家族に、最高の愛情を持っていることに、深く感動しました。

 産まれた子供と、家族三人の幸せな時間が過ぎていきます。その、ふとした当たり前も、幸せなんだな、当たり前の日常って、なかなか手に入らないんだなって思いました。
 でも突然妻が事故で亡くなります。
悲しみに暮れるヤスさんと、幼くして母親を亡くしてしまった子供。こういう時、父親が僕ならどうすればいいのか、そう、、
わからないでしょう。
ヤスさんも、きっと分からない。迷ってる。
自分も悲しいのに、それ以上に息子のアキラは、寂しいはず。父親の自分がしっかりせねば、、

でも、どうやって?

心の動揺と、自制心とが、文のなかから滲んでいるようでした。
これから2人で暮らしていく。
自分が大きくして、しっかり育てる。
息子がいたから、そういう使命があったから、生きていけるのでしょう。
子供に不自由させたくない。母親の温かさはないかもしれない。
でも、そこらの父親よりは2倍も3倍も、温かく育ててやる!という想いも見えました。

 子供が大きくなり、反抗的な態度をしめしても、相談できる妻はもうこの世にはいません。仲間に相談しても、結局は父親が、迷い、考え、悩んだあとその子供と向き合い、話し合い、教え、諭し、時には怒り、叱り、、、

親だって、一人の人間です。自分のしたいこととか、やりたいことなどがあるんです。そういうのを、全部ではないだろうけど、我慢して子供にむきあってるんだなー、父親ってのは、子供が生まれてから、直ぐにじゃなくて、子供の年齢分、毎日毎日の積み重ねが、父親になっているんだなーって感じました。

 子供が巣立ち、また、家族がいなくなったヤスさん。苦しいことも、悲しいことも一緒に過ごすことが喜びであり、幸せだろうと僕は思います。面倒かけても、喧嘩しても、そこにいるだけで親と子の役割は、ある程度はたしているものです。なかなか一人暮らしになれないヤスさん。当然それは、子供であるアキラも同じ気持ちだったでしょう。遠く都会に出て行った子供を想い。田舎の里の、年老いた親を想う。でも、ヤスさんはそこで言います。
「大事に思うとる者同士が一緒におったら、それが家族なんじゃ。一緒におらんでも家族なんじゃ。自分の命に替えても守っちゃる思うとる相手は、みんな、家族じゃ、それでよかろう。」

 巣立った子供がもどってくるときは、新しい家族をつくる。という時なのかと思います。
アキラが作る、家族。
当然抵抗あると思います。ヤスさんも、口では祝福しても、変化への対応がついていかないのでしょう。反対したいし、祝福したい。
もやもやした気持ちを抑えて、考えて、結論を出している最後の選択を、やはり、子供の幸せを一番に考え、尊重するのが、親という生き物なんでしょう。

 この本に出会えて、本当に良かったと思います。
亡くなった父の、考えてたことや、気持ち、生きていた時に話せなかったこと、
色んなことが、ヤスさんのようなら、こう考えたかも?とか、海雲和尚に例えたら、こう考えてたのかも?とか、
生前の行動や言動を、思い出せるだけ思い出して、考え、そして自分にも活かせるものと思います。
 今からでも、遅くありません。ご自分の父親、もしくは母親がご存命ならば、出来る限り考え方などを話しして聴いておいても、いいんではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?