趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.062 読書 小野不由美「ゴーストハント1 旧校舎怪談」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は小野不由美さんの「ゴーストハント1 旧校舎怪談」についてです。
小野不由美さんは「十二国記シリーズ」と「屍鬼」でここ最近大好きになった作家さんです。
もう圧倒的な世界観と筆力で、完全に虜になりました。
もう18冊読んでいます。
「屍鬼」はゾンビ小説で恐ろしいのは当たり前ですが、「十二国記」もファンタジーですが怪獣が出てくるシーンなど結構残虐で怖いです。
そんな”恐怖”を描かせたら日本有数の作家さんの書いた小説。
「ゴーストハント」
若者向けのライトノベルとは聞いていますが、そうは言っても怖いのではと恐る恐るワクワクしながら読みました。
あれ?
本当に少女向けのライトノベルです。
同じ作者とは思えないほど、文体まで違います。
恋愛も含まれて、一人称、学園もの、漫画のようなキャラクター。
そして残虐なシーンはないんです!
ある意味、小野さんの才能に驚きました。
読者の年齢に合わせて書き分けるとは。
米澤穂信さんも「古典部シリーズ」と「小市民シリーズ」と「折れた竜骨」は全く違うので、才能のある方は書き分けられるのでしょう。
確かにライトノベルの様ですが、結構楽しめました。
シリーズ化しているので次回以降も読んでみます。
違う展開になるかもしれません。
映画のハリーポッターも最初は楽しい学園ものが最後はすごい戦いの映画になったように。
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物語は、普通の女子高生の主人公。
彼女が通う学校の旧校舎には幽霊が出るとの噂が。
ある日その旧校舎の調査依頼を受けた少年と出会う。
美形だが横柄な態度の少年。17歳、渋谷サイキックリサーチの所長。
女子高生は彼の助手を怪我させて機材を壊してしまったため、渋々少年の手伝いをすることに。
少年は校長から頼まれて、心霊現象の原因を調べていた。
彼だけでなく、巫女、お坊さん、エクソシスト、口寄せ、霊感少女など、他の霊能力を持つ人を呼んでいた。
彼らがめいめい心霊現象について取り組んでいくが、次から次へと怪奇現象が起きていく。
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あまりにも普通の学校の怪談のような展開だが、ちょっと違うところは心霊現象を科学的に解決していくのが面白い。
17歳の少年通称ナルが、科学捜査と理詰めで、原因を調べていく。
彼を手伝う主人公の女子高生は普通の子で、
ホームズとワトソンの様なバーディを組む。
ツンデレの少年と女子高生のちょっとした恋愛感情がまた読者には良いのでしょう。
今までも「ビブリア古書堂シリーズ」や「古典部シリーズ」「小市民シリーズ」
などティーンエイジャー向けの小説は読んできました。
普通の小説と比べても読みやすいですが、決して内容が薄いことはないんです。
まだ若い少年少女が主人公でも、彼らなりの悩みも、楽しみも、悲しみもあり、心を撃つんです。
今作はほぼキャラクターの紹介で、彼らの過去や正体が明かされていないので
今後が楽しみです。
今日はここまで。
「実話やということになっている怪談なんかは「友達の友達」の体験談として語られることが多いんです」
確かになあ。よく考えたら怪談って、実話だと言いつつ「私」でも「友達」でもないんだよな。必ず「友達の友達」とか「先輩の知り合い」とか「お兄さんの友達」で。
P.195「ゴーストハント1 旧校舎怪談」より