![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93600312/rectangle_large_type_2_99a34e90ecd3ed1749589a4112423b0d.png?width=1200)
趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.284 読書 東山魁夷「唐招提寺全障壁画: 東山魁夷小画集」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 東山魁夷の「唐招提寺全障壁画: 東山魁夷小画集」についてです。
![](https://assets.st-note.com/img/1671356362305-mYseFPdWdp.jpg?width=1200)
文庫本サイズの日本画家東山魁夷さんの画集とエッセイ。
たくさんの絵を描いている東山さん、今作は題名通り、奈良の唐招提寺を開いた唐の高僧鑑真和上に捧げるために描いた障壁画が全て載っています。
日本の海や山など自然を描いた、東山ブルーと言われた美しい絵の数々。
鑑真和上が唐から日本への船の旅で何度も難破し、12年の年月をかけて渡来して
もうその時は失明して鑑真和上が見えなかった日本の風景を捧げたいと言う気持ちで描いたもの。
優しくふんわりとしたタッチで、かつ静謐な凛とした画風。と思えば岩にぶつかる波の迫力、霧がかった山々、木々の生命力。
何度も何度も見たい日本の風景。
折込ページを見開いてみたり、絵の写真なので、細部にズームしたり工夫されている。
そして東山さんご本人の解説とスケッチがあり、
この絵のために11年の歳月をかけ、スケッチ、習作、下絵、本制作と丁寧に丁寧に作業している様子がわかる。
芸術家がひらめきで描いたものではない。
たぶん本物を見たら、そこに本当の自然があるような錯覚を覚えるでしょう。
そして襖を見ながら、海や山を眺めているように。
いつかずっと小一時間ぐらい眺めていたいです。
絵の画集って美術展の最後に買っていきますが、やはり分厚く重く
なかなか見直すことが少ないです。
それを文庫本サイズにするなんて、他の方の同じようなものがあったらぜひ観たいです。
今日はここまで。
「私は人間的な感動が基底になくて、風景を美しいと見ることはありえないと信じている。風景は、いわば人間の心の祈りである。私は清澄な風景を描きたいと思っている。汚染され、荒らされた風景が、人間の心の救いでありえるはずがない。風景は心の鏡である。庭はその家に住む人の心を最も良く表すものであり、山林にも田園にもそこに住む人々の心が映し出されている。河も海も同じである。その国の風景はその国民の心を象徴すると言えよう。」
/東山魁夷