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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.053 読書 月村了衛 「機龍警察 暗黒市場」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 月村了衛さんの 「機龍警察 暗黒市場」上下巻についてです。
![](https://assets.st-note.com/img/1651412990554-zF45ba4BHM.jpg?width=1200)
月村了衛さんの近未来警察小説「機龍警察シリーズ」第三弾。
この小説は近未来の日本が舞台、装甲兵装という大きなパワードスーツが軍用や警察に使われている。
警察は特別の装甲兵装「龍機兵」を運用するために凄腕の3人の傭兵を雇っている。
第二弾の「機龍警察 自爆条項」ではその傭兵の一人、死神といわれた元テロ組織の暗殺者のライザ・ラードナーについて語られた。
元テロリストというドラマチックな展開で面白かったです。
そしてこの第三弾は元モスクワの警官だったユーリ・オズノフが主人公。
前回とは違って、ロシア社会、父親との交流、腐敗した警察、親兄弟のような警察仲間、少年時代の友人と友情、裏切り、復讐と身近でかつ重い印象の話。
派手さはなく重い雰囲気ですが、もちろん凄腕のストーリーテイラーの月村さんなのでとっても読みやすく、夢中でページを捲りました。
こうやってキャラクターを一人一人の過去を深掘りしていくのは良いですね。
結局皆過去に縛られ、またそこからどうやって自由になるかが、テーマなんでしょうか。
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物語は、龍機兵のユーリ・オズノフは警視庁から契約を解除される。
職を失ったユーリは昔の友人ロシアマフィアと組んで武器密売に手を染める。
その友人とは少年の頃から知り合いで、モスクワ時代を思い出す。
ユーリの父は優秀な警察官。友人はマフィアの息子。
相容れない二人だが次第に友情を深めていくが、
父親がマフィアを殺害してから会うことはなかった。
ユーリは父親の死後、モスクワの警察官になり
優秀な上司と兄のような仲間たちから7つの教えを叩き込まれる。
ただある日、事件に巻き込まれ、裏切り者として追われることに。
彼を助けたのは昔友人だったマフィアの息子。
彼と共に犯罪組織で生きていくようになる。
上巻でたっぷりユーリの半生を描いていく。
契約解除になったのは実は囮捜査で、武器密売グループを摘発するためだった。
下巻はそのスリリングな潜入捜査を描いていく。
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今ウクライナの戦争でロシアのことがよくニュースで放送されます。
この小説では、ロシアの国や政治や警察の腐敗、ハードな現実、仲間達のまるで親兄弟のような関係性、父親と子供、犯罪組織などが描かれていて
フィクションですが、ほんの少し”ロシア”とはどんなところか肌で感じられたような気がします。
今のウクライナの戦争に理由なんて求めてはいけませんが、ロシアという国はどんなところなんだろうと知る機会は良いと思います。
賄賂を取らないと豊かに生活できない社会は、その豊かさを追求するためにより貧しくなっていきますね。
日本の警察は安定と生活はできるのでまだ良かったです。
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印象的なところは、ユーリがモスクワ警察の時に上司や先輩警官の教えられる刑事としての心構え「痩せ犬の七か条」が出てきます。
ユーリはこの教えを元に警官として活躍し、また逃亡する時も、必死の戦いの時もこの心構えを思い出します。
1尻尾を決して巻くな
2相手の目をひかず、相手から目をそらすな
3凍ったヴォルガ川よりも冷静になれ
4見方を変えて違う角度から見ろ
5自分を信じろ
6目と耳と鼻を決してふさぐな
7つ目は自分で答えを出すものだそうです。
こういうのって本当に良いですね。
自分も師匠にカメラマンの心得を教えてもらっていますw
今日はここまで。
「運命なんてただの影だ。臆病者だけがそれを見るんだ」
「どういう意味だ」
「言った通りさ。俺は運命なんて信じない。そんなものを信じる奴は最初から負けているんだ。」
P.152 「機龍警察 暗黒市場」より
マフィアの息子ゾフロフが警官の息子ユーリに言う。