趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.187 映画 山田洋次 「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次の 「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」 (1984/日)についてです。
「男はつらいよ」シリーズの33作目。自分が観たこのシリーズは37作目。
シリーズの中ではまあ割と平凡な作品。物凄いマドンナでもなく、物語も変わってもいない。
寅さんは渡世人の辛さをわかっているので、元舎弟や少し擦れているマドンナにまともな人生を送って欲しいと願う話。
そして最近良い人だった寅さんが、ふとマドンナに手を出す男に渡世人の顔を見せるのが一番印象深い。
寅さんの元舎弟の登(秋野太作)が出てきたり、タコ社長の娘あけみ(美保純)が初登場したり、割とサイドストーリーが賑やかだ。
そして熊が・・・w
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物語は、寅さんが盛岡で商売しているとかつての舎弟の登に声をかけられる。登は所帯を持ち、堅気の店商売をしている。
寅さんに気を遣って店を閉めて寅さんと飲もうとする登をしかり、渡世人の自分と縁を切る覚悟がないと堅気にはなれないと去っていく。
北海道に渡り、そこで不良娘の風子(中原理恵)と出会う。彼女は美容免許を持っているがトラブルメーカーになりやすい子だった。
風子と叔母の家まで送っていく旅の途中で、妻に逃げられた男(佐藤B作)にも出会い、三人で旅をする。
叔母に会い、理容師の仕事を見つけてもらう。その街にサーカス団が来ていて
そこのオートバオレーサーのトニー(渡瀬恒彦)に出会う。
風子は寅さんと旅をしたいというが、自分のような渡世人になってほしくなく、ここで仕事をして真面目な男と結婚しろと言い、何かあったら東京のとらやに相談しろと去っていく。
遊び人のトニーに次第に惹かれて、彼の巡業について行き、東京まで追っかけていく。
妻に逃げられた男がとらやに来て、風子に会ったと伝える。借金を頼まれたと。
心配して新聞広告まで出して最も立っていられない状態のところに、あの遊び人でバイクレーサーのトニーがやってくる。
風子と同棲しているが体調を壊し、寅さんに会いたいと。
風子をとらやに連れて帰り、トニーに手をひけと言う。渡世人の顔をした怖い寅さん。
とらやのみんなに優しくされ、体調が良くなっても、トニーが巡業に東京から出ると聞くと会いにいくと言い、寅さんが止めても追っかけて行ってしまう。
季節が変わり手紙が届き、結局トニーとは上手くいかず、北海道の叔母のもとで暮らすうちに、以前一緒に働いていた真面目な人と結婚することになったと。
北海道での結婚式の呼ばれたさくらと博と満男は山から熊に追われた寅さんの姿を見るのだった。
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今回の寅さんは結構シリアスな部分が見える。それも渡世人としての部分が。
ついつい寅さんは面白くて良い人なイメージだが、本来の姿はヤクザな家業だ。
今作はそこの部分を強調している。
堅気になった元舎弟の登に自分とは縁を切るように言ったり、
不良娘の風子に、ちゃんと仕事して、真面目な人間と結婚しろと言ったり、
同じ渡世人のバイクレーサーのトニーに風子から手をひけと言ったり、
なんだか今回の寅さん本気みたい。
川縁でトニー(渡瀬恒彦)に手をひけと言う啖呵の切り方は、一触即発なピリピリとした雰囲気で、こんな怖いハードボイルドな寅さん久々に見ました。
今日はここまで。
「兄さん、案外純情ですね」
/寅さんが風子と別れるように頼むと、トニー(渡瀬恒彦)が言った台詞
「男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎」より