趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.332 読書 ピエール・ルメートル「死のドレスを花婿に」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 ピエール・ルメートルの「死のドレスを花婿に」についてです。
「その女アレックス」などカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズのピエール・ルメートル。
カミーユシリーズは全部読んでいて、そのどんでん返しとその残虐性が魅力です。今にもページを閉じたくなるほどの怖さ。
ジェフリー・ディーヴァーもなかなかのどんでん返しですが、
ピエール・ルメートルはちょっと違う種類で、ものすごく構成がうまく、残虐性もより強烈。
フランスらしいエスプリが効きすぎているような気がします。
そんなピエール・ルメートルの原点になるような作品。
彼の長編2作目。大ヒット「その女アレックス」の前の作品なんです。
それでももう今作からその圧倒的な構成力、どんでん返しは素晴らしく、その後の成功は納得の作品です。
4章からなり構成でガラリと変わる世界。ネタバレになるので途中の部分は書けませんが、2章が始まったら口がアングリでした。
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物語は、主人公の女性ソフィーは目が覚めると、ベビーシッターとして世話をしていた6歳の男の子が自分の膝で首に靴紐を巻かれ死んでいることに気が付く。
全く記憶がないが、このままでは自分が疑われてしまう。
母親が出かけたのを見届け、自分のアパートに戻り、身の回りのものをカバンに詰め込み逃げ出す。
銀行からお金を下ろし、電車が出る前カフェで休んでいるとカバンを盗まれ、その時にカフェで知り合った女性が親切に自宅に招いてくれた。
また気が付くと、その女性が刃物で刺されて横たわっている。
ソフィーは全く身に覚えがない。
記憶もところどころ無くなっていている。自分は病気なのだろうか。
本当に無意識の中で殺人を犯してしまったのだろうか。
いつもうなされながら見る夢の中で夫や義母も死んでいる。
とにかく逃亡して、自分の身を隠さなければいけない。
彼女は服装も髪型も変え、名前や職業も変え、違う人間として生活することに。
そして安全な海外に逃亡するために、海外に赴任がある男性と結婚しようとする。
その男性との婚活はうまくいくのでしょうか。
ここまで第一章。第二章からどんでん返しの展開が。
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そう2章を書いたら、もうネタバレになってしまうんです。
とにかくソフィーが記憶喪失の時に殺人を犯したか?
の理由がものの見事に展開され唖然とします。
その構成力は凄まじいです。
視点を変えると世界は180度変わるほど。
ただ、あまりにも酷い展開なので、気分が悪くなります。
海外版嫌ミス!?
これからもピエール・ルメートルに注目したいと思います。
今日はここまで。
ソフィーは数分で新しい人生を作りあげていた。最初は怖い気持ちもあったが、要するに、ゲームのように決まり事をいつも意識していればよかった。一気にソフィーは自分の可能性が無限に広がるように感じた。でもソフィーは、宝くじに当たった者が人生を根本からやり直せるにもかかわらず、ありきたりの分譲住宅を買ってしまうのと同じ反応をする。
/P.56「死のドレスを花婿に」より