趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.083 読書 夏見正隆「スクランブル 尖閣の守護天使」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 夏見正隆さんの「スクランブル 尖閣の守護天使」についてです。
航空自衛隊が活躍する「スクランブル」シリーズの第5弾です。
このシリーズの特徴は自衛隊のパイロットが侵入してくる敵機と戦うところがメインで現役パイロットが書いているのでリアリティが高く面白いですが、
もう1つの魅力が、自衛隊なので憲法や政治に惑わされて、何もできず我慢我慢、辛抱辛抱というところが、とても焦ったくてて歯痒くて、読んでいてやきもちします。
特に今作では日本の政権が野党と変わり、隣の国となるべく争わないようにするために、政治の部分で自衛隊の行動にストップがかかり、もうこの何も手出しができず戦えないジレンマは最高潮になっております。
そんな熾烈な状況の中でも、頑張るパイロットたち。
もう政治の部分はあまりにも偏りすぎてアニメか漫画のような展開ですが、相変わらずドッグファイトの描写は手に汗握ります。
そして女性パイロットのヒロインが、最初主人公だった漆沢美砂生さんから最初ライバルだった鏡黒羽さんにバトンタッチする展開が、作者が最初から考えていたのかは知りたいですね。
漆沢美砂生さんは優秀な大学出て元OLでパイロットになった人、
鏡黒羽さんはツンデレタイプだけど操縦は天才的。
今までの女性主人公が出てこない!なんてw
「ガンダム」で主人公がアムロからシャアになったら・・・あれ、まあ面白いですがw
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物語は、那覇基地に待機中の主人公パイロット風谷。
スクランブルが発令され、後輩の女性パイロットの鏡と飛び立つ。
未確認機が今までレーダーで捉えていなかったのに急に出現してきたのだ。
なんとその戦闘機は中国からの民間飛行機の腹の下に隠れて日本領空に侵入してきた。
尖閣諸島で巡回している海上保安庁の船が攻撃される。
しかし、政権が変わった日本政府は、なかなか強気に出れない。
自分が攻撃されるまで撃つこともできない。
究極のジレンマの中で、2人のパイロットはどうすればいいのか!
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もうこれはフィクションですが、日本政府のダメダメぶりが凄すぎて呆れてしまいます。
まあこれは現実ではあってほしくないですが、実際に紛争が起こったらどうなるのでしょうね。
ニュースでもよく日本の領域に侵入されるのを聞きますが、あまり強気に出たとは聞いていません。現場はどのくらい苦労しているのか窺い知れませんが。少し心配になってしまいます。
そう今作は戦いより日本の政治や自衛隊のトップへの問題定義が強く込められています。
それは政治や自衛隊だけでなく、日本の社会でも。
今日はここまで。
自衛隊には「出世したければ何もしないことだ」という<格言>がある。
自衛隊幹部が、やる気を出して何かを思いつき、国や国民の安全のために踏み込んだ事をやろうとすると、すぐ慣例や自衛隊法や種々の規定に邪魔される。
それらを「解釈」で乗り越えようとすると、たちまち「軍国主義だ」「憲法違反だ」と周囲からよってたかって足を引っ張られ、引きずり降ろされてしまう。
マスコミにかぎつけられて報道されたら、社会問題となり大騒ぎになって、自衛隊を去らねばならない。
だから出世したいと思った者は、問題意識を持って何かをやろうとするライバルがいたら、それが周囲から引きずり降ろされ失脚するのを陰で黙って見ていれば良い。自分は何もしないでいるのが一番だ〜という。
P.125より「スクランブル 尖閣の守護天使」