趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.178 映画 山田洋次 「男はつらいよ 寅次郎紙風船」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 山田洋次の 「男はつらいよ 寅次郎紙風船」(1981/日)についてです。
男がつらいよシリーズ第28作目。自分が観たシリーズは35本目。
シリーズ中盤頃から、寅さんは恋をする男から女性の面倒を見る父親像に移ってきている。
今回は音無美紀子さんがマドンナで、もう一人若い女性を岸本加世子さん。
2つの女性との話が交互に描かれいる。
今回は最近良い人と描かれている寅さんが、原点である渡世人として世に憚れる存在として描かれているところが印象に残る。
マドンナも同じ渡世人の奥さんで、いろいろと訳ありな感じが良い。
そう寅さんは単なる良い人でない、はちゃめちゃでダメなところがあるのもとっても人情味があって良いんです。
同窓会で、同級生に煙たがれ、悪酔いして暴れるところが最高でした。
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物語は、柴又に帰ってきた寅さんは柴又小学校の同窓会に出席するが、みんなに煙たがれ馬鹿にされていることを感じる。大いに酔っ払った寅さんを最後まで付き合って介抱してくれた同級生の一人にもあたってしまい、反省して東京を離れる。
九州の旅館で、団体客が来て相部屋になった、女の子(岸本加世子)に付け回され、一緒に商売をしながら旅をすることに。
その途中テキ屋仲間の奥さん(音無美紀子)に声をかけられ、夫が病気と聞く。
そのテキ屋仲間(小沢昭一)をを見舞った時、奥さんが買い出しに行っている時に相談を持ちかける。自分にもしものことがあったら奥さんも貰ってくれと。
寅さんは命短い友の願いなので、本気にせず口約束してしまう。
東京に帰っても、若い女の子は追っかけてきて、愛嬌の良さからとらやで人気者に。そこへマグロ漁船に乗って働いている兄が訪ねてくる。二人の兄弟の絆を見て安心して故郷に帰ってもらう。
ある日テキ屋の仲間の奥さんから手紙がくる。夫は死んで東京の旅館で働いていると。
旅館に会いに行き、心配していろいろと面倒を見る寅さん。
とらやの皆に「俺、所帯をもつかも知れない」と話し、ネクタイを締めて就職活動を始める。
とらやにも来てもらい緊張する寅さん、帰り柴又駅まで送る時
「自分を貰ってくれると約束したの?」と聞かれ
「病人の言うことだから適当に相槌を打った」と。
「良かった、寅さんが本気にするわけないものね」
また失恋する。そして就職も不採用通知が届く。
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同窓会で暴れたり、テキ屋仲間の女房を貰ってくれという話だったり、
結構ヤクザっぱい寅さんが、原点に戻った感じで凄く良い。
渡世人の哀しさを描いている。
今回の見どころは、所帯を持つかもと言うところで、寅さんと奥さんの気持ちを聞く場面です。
とらやのみんなにも良い人だと認められ、寅さんの仲間である夫にも約束され、
寅さんとも仲がいい。
けどけど、寅さんも渡世人、奥さんも渡世人の女房。
幸せになってはいけないと、ほんの少し思ってしまい。
いざ本音を聞くところで、怖気ついたのか。
男はつらいよシリーズでも、ゴールインに近かったのに、残念です。
水商売のリリーが一番お似合いのマドンナだが、テキ屋の奥さんというのもまた寅さんと合ったのでは。
この話から満男役が吉岡秀隆さんに変わっている。
流石に上手い!
今日はここまで。
寅さん「わかんねえもんだな、人の命なんてものは。
はやい話が、このオレが今晩ぐっすり寝て
明日の朝、パチっと目を覚ましたら
死んでいるかも知れないからな」
満男「死んでいたら目を覚さないよ」
/「男はつらいよ 寅次郎紙風船 」より