趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.146 読書 夏見正隆「ゼロの血統: 零戦の天使」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は 読書 夏見正隆さんの「ゼロの血統: 零戦の天使」についてです。
航空自衛隊が活躍する「スクランブル」シリーズのスピンオフシリーズ「ゼロの血統」の第二弾。
このシリーズは「スクランブル」シリーズの主人公たちの祖父たちが活躍する話。
やはりシリーズにとって前日弾は楽しい。
ジェット戦闘機からプロペラ機になっても。
日中戦争の頃、南京を舞台に鏡黒羽の祖父、鏡龍之介が活躍します。
もちろん、こういう実際にあった歴史を舞台の小説は、歴史ではなくあくまでも想像の小説です。エンターテインメントです。
三国志もキングダムも源平合戦も信長も新撰組も永遠のゼロも。
そこを踏まえて、楽しみたいと思います。
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物語は、日中戦争が始まる頃、帝国海軍パイロット鏡龍之介は新設の第一三航空隊に配属された。
この部隊は南京攻略のために作られた部隊。
そこで盟友の漆沢雄一郎(漆沢美砂生の祖父)と出会う。
仲間や上官と共に飛行訓練に明け暮れる。
迎え撃つ南京はドイツの軍事援助によって、シェンノート大佐が率いる凄腕の外人航空部隊によって守られている。
両陣営は戦争の火蓋が空く前に、粛々と準備を進める。
地上では、捏造されたメディアや報道による戦いも始まっていた。
まさに戦争前夜の巻。
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ドラマチックな前巻とは違い、今回は戦争前夜の話なので、割と大人しめな内容。
ただスクランブルシリーズでライバルであり仲間でもある女性パイロットたち鏡黒羽と漆沢美砂生の祖父たちがまた日中戦争で同じ部隊というのはファンとしては胸が熱くなる。
スクランブルシリーズで何度か出てきた祖父の写真や日記がここに生きてくる。
なぜ人はこういうサーガ(一家一門の歴史を系図のように描いた叙事小説)に惹かれるんでしょう。
スターウォーズやハリーポッターもゴッドファーザーも警官の血も。
父や子そして孫につながっていく話が。
自分の命は自分一代だけでなく、永遠に繋がりたいのか。
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今回の話で印象的なシーンは、話ではなく些細なところなんです。
よく第二次世界大戦辺りのパイロットは首に白い布を巻いているんです。
その時代のファッションかなと思ったら。
P.81に、戦闘機パイロットは空中では敵機を探すために激しく首を動かすから、
飛行服の襟で擦れてしまわないように、必ず白い絹のマフラーを巻く。
ちゃんとそういう理由があったのですね。
どんなに荒唐無稽のお話でも、そういう部分があるとぐっと魅力的になりますね。
今日はここまで。
「緊急の時、生き残れる奴が最善を尽くして生き残る。それを「逃げる」とは言わぬ」
P.118 「ゼロの血統: 零戦の天使」