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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.317 読書 枝松 蛍「何様ですか?」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は読書 枝松 蛍さんの「何様ですか?」についてです。


もうこの表紙や題名からなんだか嫌〜な雰囲気が漂ってきます。

「このミス」で大賞は取れませんでしたが隠し玉作品として選ばれています。

俗にいう「嫌ミス」小説。読後イヤな気持ちになるミステリー。

イヤミス自体は別に嫌いではないですが、本当に嫌な気分になったのは珍しい。

思春期の学生が”厨二病”をこじらせている表現がずっと続き、最後のどんでん返しは想像できませんでしたが、あまりにも嫌悪感が漂うので印象に残っております。

個人的に、学園もの、若い学生の心理描写、学校カースト、いじめなど、あまり好きではありません。

平和な学園ものは大好きなんですが。

でもその部分、日本の学校の嫌な部分こそ、皆が通ってきた道なので公約数的に共感できるというかリアリティを感じる部分もあると思います。

好きではありませんが、とても記憶に残る小説でした。



物語は、ある高校。その学校は実業家に乗っ取られ、優秀な生徒を輩出しようとしている。

主人公の高校生の女の子美和は中学生の頃義理の父にレイプされ、弟を殺されていた。

その絶望的な人生から生きる意味が見出せなく、亡くなった弟の声に誘導されるように、高校で大量殺人事件を起こそうと計画していた。

クラスではいつも一人で、ショートカットのスラリとした美人

もう一人の女の子は穂乃果はぽっちゃりとして可愛く明るく学級委員を務めている。誰とでも仲良くしようとしている。

毎日ポジティブなブログを書いている。

穂乃果の子分的な存在の安子。容姿も平凡。親の会社の経営がうまくいっていない。

美和に恋している男の子。お兄さんに手紙を書いている。

話は美和の独白と、穂乃果のブログと、男の子の手紙の3つで構成されている。

ある日穂乃果は安子と一緒に美和と仲良くしようと近づいてくる。

三人は一緒に行動するが、次第に穂乃果の子分だった安子が美和と親しくなる。

穂乃果も文化祭の準備で忙しい。自分の大好きな作家を呼ぼうと奮闘する。

美和は大量殺人事件を安子と組んで計画を進めるようになる。

ファイナルプランとして文化祭の時に決行することになるが、寸前で安子は怖気付いて手を引いてしまう。

美和は一人で文化祭で出される蕎麦に毒をもセットする。

そしてついに文化祭が始まる。

穂乃果は大好きな作家を学校に呼び、美和は学校の美人コンテストに出場する。

それは地獄の始まりでした・・・・。



大量殺人を計画する美少女、明るい優等生、裏切る友人、美少女に恋する男の子、
学校は文化祭で盛り上がっていく。

まあ同じようなミステリーやアニメや映画を思い出す。
漫画「さくらの唄」や映画「キャリー」など。

でもそれに、厨二病の嫌な部分をふんだんにまぶした内容。

構成もブログ、告白、手紙と3部構成をぐるぐる回し、飽きがこない。

確かにとても上手な作品だ。

それでもクラスメイトを徹底的にカテゴライズしてバカにして、文化祭に呼んだ作家さんをみんなでひどく侮辱したり、そしてラストの生理的に受け付けられないオチ。

これほど悪意に満ちた小説は珍しいです。

人間の嫌な部分が多すぎてなんだか評価の低い作品ですが、結構悪くはないと思います。胸糞悪くなりますが。

確かにこれは”嫌ミス”ですね。




(世界を外部から眺める透明な観察者として存在し続ければ、やるべきことは自ずと明らかになるよ・・・・)
P.8「何様ですか?」より





















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