趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.101 読書 夏見正隆「スクランブル 空のタイタニック 」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
note投稿100回目を突破して、新たな気持ちでまた始めます。
よろしくお願いいたします。
今日は読書 夏見正隆さんの「スクランブル 空のタイタニック 」についてです。
航空自衛隊が戦うスクランブルシリーズ第8弾。
実際の自衛隊は憲法のためなかなか戦うことができませんが、
小説ではその鬱憤を晴らすように、多少荒唐無稽の話でもエンターテインメントだと思えばとても楽しめます。
今回はここ二回ほど出てこなかったシリーズ最初の主人公、有名大学卒元OLでパイロットの漆沢美砂生さんが久々に登場。
出てこないのでヤキモキしていたので、とっても嬉しかったです。
それもなんと彼女は陸自のレンジャーで訓練していて、訓練後偶然操縦不能になった最新鋭ジャンボを操縦する展開!
また同じ基地のパイロットが丸腰のイーグル2機で韓国軍の12機と戦う!
もうこのシリーズでは多少のことでは驚きませんw
人物描写がちょっとリアリティがなくても、話が荒唐無稽でも、その当時の政権を、日本の周りの国をさんざん悪く描いても、戦闘シーンはめちゃくちゃ臨場感があります。
良いんです。これはエンターテインメントなんです。
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物語は、航空自衛隊のパイロットの漆沢美砂生は大卒の幹部ということで
指揮幕僚の教育を受けさせられ、新たに女子レンジャーを作るために、なぜかレンジャー部隊の訓練を受けることになった。
必死の思いでレンジャー資格をとり、基地へ帰る途中の羽田空港。
ちょうどそのとき、最新鋭の世界一の大きな旅客機が羽田からソウルへ初飛行することになっていた。
その飛行機のセレモニーの最中に倒れた航空会社の社長を、ちょうど居合わせた美砂生は救助しようとしたところ何者かに襲われた。
気がつくとその最新鋭のジャンボの中。
しかしそのジャンボの操縦士はガスで倒れていて、オートパイロットで動いていて、無線もつながらない、そして竹島の上空を旋回始める。ジャンボには800人の乗客がいる。
美砂生は何とかこのオートパイロットを切り、自分の操縦でこの上空からすぐさま逃げなくて撃墜されてしまう。
上空侵犯ということで韓国軍の戦闘機12機がやってくる。
ちょうど訓練していた美砂生と同じ基地の航空自衛隊パイロット風谷修と鏡黒羽の二人のイーグルが助けに来る。
ただしその2機は武装をしていない丸腰だった・・・。
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はい、あらすじを書いていてこんな荒唐無稽で良いのかと思いますが、これがなぜか読んでいてものすごく面白いんです。
戦闘シーンの描写は現役パイロットが作者なので、ものすごくリアリティがあるんです。
そんなすごい描写と夢のような面白い物語がうまく絡み合っているんです。
ある意味褒め言葉でオタク心をくすぐる漫画のような小説です。
好きなシーンは、過酷な何日間も山を歩くレンジャー試験中、美砂生のリーダーシップと機転でうまく切り抜けたが、道中の食料がないことに気がついたとき、
一緒に試験を受けている女子レンジャーたちが「任せてください隊長、とびきり美味しいカエルを捕まえます!」「私はヘビを捕まえます」「料理なら任せてください」
とキャッキャっと笑い合っているところが好きです。
実際はレンジャーは、全国の陸上自衛官にわずか8%しか存在しなくその内訳は男性が100%であり、今まで女性のレンジャーが存在した例はないとのこと。
そしてエヴァンゲリオンのオマージュも。
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(いいさ。いざと言う時は死ねばいいんだ)
すると
「あなたは死なない」
後ろから鏡黒羽の声が、ぼそりと言った。
「?」
風谷は驚いて、バックミラーに目を上げた。すぐ右後ろにいるもう一機のF15。
パイロットの顔までは見えない。
「あなたは死なない。わたしが死なせない」
/P.566「スクランブル 空のタイタニック」より