探究的な「問い」を生む探究的対話の5ステップとは?
はじめに(現場の声)
宮崎県キャリア教育コーディネーターという仕事をさせていただいている中で、学校訪問や先生と話す時によく出る話題です。
そもそも「問い(課題の設定)」をどうしたら作れるかのがわからない・・・
と言う声を現場(学校など)からよく聞きます。
その中で、僕が1on1やコーチングを行う際に「(相手の)人生のミッション設定」を行う中で、探究を促すような問いをつくる時に実践していることを綴ります。(探求的対話とネーミングしました)
防衛本能をうまく活用した対話的な問いの立て方です。
探究を始める前にこの5ステップを行うことで、相手が探求のスパイラルに入っていきますので読んでいただければ幸いです。この記事が、学校現場に届きますように。
文部科学省のサイトから以下の画像を引用しました。
拡大すると↓
ステップ1の課題の設定が上手くいかないという声をよく聞きます。(たしかに、いきなり「課題を設定しろ」とか「人生のミッションは何だ」とか言われると萎縮して、やる気削がれますよね笑)
探求的対話の5ステップ
Stay (居る)
当たり前ですが「この場に居ること」が一番大事で、相手が場に居るのか居ないのかを、こちらは気にする必要があります。
場にいるというのは、相手の気持ちが上の空ではなく、今いる場に気を向けている状態です。探究は分析をスタートにしてしまうと、動き出しません。それは、「居る」がないからです。
私のワークショップで、冒頭にチェックイン(簡易な相互自己紹介)を行うのはそのためです。
Feel (感じる)
「感じろ!」というと、どのように感じたらいいかわからないと言われそうですが、言葉の通りに感じるだけでよく、何も考えないのとは違います。
「感じる」というのは自分の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)に意識を向けて、その瞬間瞬間を味わうことを言います。
また、味わうと言うのは「気持ちいいな」「少し嫌だな」「少し興味あるかも」など、自分が感じた感覚をいつもより少し余韻を残すことです。
React (応じる)
「応じる」は、何に対して応じるのか。それは、自分の感覚に対して応じてみる。普段、生活していると自分の感覚に向き合う時間がどうしても少なくなります。
「少し好きだから、もっとやってみたい」「ここが嫌だけど、これを避けるアイディアはあるな」「ここが嫌だから、これは考えたくない。別のがいい。」など、自身の感覚からくる「自分の声」を聴く。
すると、このステップから思考の渦が回り始めます。
Voice (声に出す)
応じていく中で次第に、自分の声を言葉にできるタイミングが来ます。ここがチャンスです!!
ここでやってはいけないのが、「記憶するから声に出さないでいいや」としてしまうこと。もったいない(涙)
NLP(神経言語プログラミング)では、言葉で思考をコントロールすることができると言われています。
探求のスピードを上げるために、自分の声を "声" にしてみましょう。
ここで気をつけないといけないのは、相手が自分の声を出しやすい環境を作ること。心理的安全性ともビジネス業界では言いますが、近いイメージで言うと「この場が何でも相談しやすいかどうか」が重要です。知識ではなく、経験を語れるかどうか。対話ではとても重要です。
Express (表現する)
自分の声を出した後は、思考が進んで必ずモヤモヤしてきます。思考の渦に突入する準備ができました。おめでとうございます。
モヤモヤしているというのは、人にとって本能的に危険です。モヤモヤしている時に危険動物に襲われたら一撃です。だから、防衛本能としてスッキリしたいというシステムが働きます。(一方的な恋愛をしている時に、Yahoo!知恵袋で検索して脈があるかどうか検索するように)
あとは、モヤモヤをスッキリするだけ!
モヤモヤを解決するために、あの手この手を考えます。その時に考えているのは、まさに「仮説」です。そして、探求的な言い方をするとまさに「課題の設定」。
ここで絶対にやってはいけないことが、完璧な課題設定を求めることです。そもそも、完璧な課題設定は探究にありません。そして、完璧な課題設定がある時点で探究ではなくなります。
伴走者で、常に心がけないといけないのは「相手が答えを持っている」という姿勢です。
最後に
この5ステップを行うことで、探究スパイラルにスムーズに導入することができます。
いきなり「課題の設定」に連れてこられた人は、びっくりして拒否反応を起こしてしまい、折角の探究チャンスを不完全燃焼で終わってしまいます。
学びも 0→1 ではなく、グラデーションが重要です。この5ステップを通して、探究の準備をしてみてはいかがでしょうか。