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ウィンザー効果とダークソーシャル。

ウィンザー効果とは「第三者から聞かされる評価や意見などによって、信頼性が高まるという心理的な効果」を指します。

ウィンザーという名称は『伯爵夫人はスパイ』の作中で、ウィンザー伯爵夫人のセリフ「第三者の誉め言葉がどんなときにも一番効果があるのよ、忘れないでね」に由来するそうです。

ウィンザー効果とは

ウィンザー効果とは、相手から直接聞かされる情報よりも、第三者を通して得られる情報の方が信頼性が高いという心理的な効果のことです。

情報の発信者と情報元との間に利害関係がある場合は、その発信者の情報は信頼性が低くなりますが、利害関係のない第三者が発信する情報こそ、バイアスがかかっていない信頼できる情報だと考えられる心理的な傾向があります。

実際にビジネスシーンにおいてウィンザー効果が応用されている例として
・お客様の声や購入者レビューなどのUGC(ユーザー生成コンテンツ)
・インフルエンサーを活用したマーケティング
・アンケートやインタビュー、モニターを使った調査
などが挙げられます。

https://basixs.com/tools/wiki/windsor-effect


Z社様で生まれた「Webからの問い合わせ」の特徴

Webマーケ支援をしている製造系BtoB企業のZ社様では、「Webからの見積もり依頼」「Webからの問い合わせ」をしてくれた企業の80%が下記の特徴を持っていました。

  • URLからのダイレクト流入(検索からではない)

  • 企業としてはお付き合いがあるが、個人としては初めての問い合わせ

上記の特徴は「顧客の社内で情報がシェアされ、問い合わせが生まれている」と捉えることができます。顧客社内で起きていることをイメージするとこんな感じです。

顧客社内で起きているイメージ
A「B先輩、○○の技術ができる企業ってご存知ないですか」
B「○○だったらZ社が得意にしてたような気がする」
A「マジですか」
B「ちょっと待ってね。チャットでURL送ったよ」
A「ありがとうございます!」

ぼくたちの日常でよくあるシーンですよね。
この場合、B先輩が「第三者の褒め言葉」になります。ぼくは「推奨者」という言い方をしています。同僚から教えてもらった企業やWebコンテンツはAさんにとって信頼度が高くなることは言うまでもありません。


インバウンドマーケティングにおける「推奨者」

HubSpotが提唱するインバウンドマーケティングでは「潜在顧客」→「潜在見込み客」→「顧客」→「推奨者」という流れが示されています。

顧客を満足させることに的を絞ったインバウンド戦略の特徴があります。それは、どのような状況においても、つまり企業にとって直接の利益にならない場合でも、顧客を支援するという点です。満足した顧客は、そのブランドの賛同者や推奨者に変わります。ですから、大小を問わずどのようなやり取りでも、丁寧に対応してください。

https://www.hubspot.jp/inbound-marketing

上記B先輩は厳密には「顧客」になっていないかもしれませんが、それでも推奨者的な役割は担ってくれています。

https://www.hubspot.jp/inbound-marketing


なぜB先輩はZ社を知っていたのか

AさんとB先輩のやりとりは日常的によくあるシーンですが、これが実現するための必要条件として「◯◯の技術だったらZ社」とB先輩が答えられないといけません。
実はここが大切なポイントです。Web活用では「想起してもらう」とよく言います。「◯◯の技術だったらZ社」は正にB先輩の中で想起が起きた状態です。

定期的なメール配信が想起に貢献している

それでは、なぜB先輩が想起してくれたかというと、「◯◯の技術」についてZ社が定期的にメールで案内していたことが役に立っています。Z社では「◯◯の技術」について継続的にWebコンテンツを作り、コンテンツを作る度にメールでお客様にご案内しています。

もちろんメールを見たB先輩が直接問い合わせをしてくださったら最高です。でも、直接的なリアクションがなかったとしても、上記のように「社内で誰かに相談されたら社名を上げてくれる」ということは起こり得ます。その結果が「Webからの見積もり依頼」「Webからの問い合わせ」の80%がURLからのダイレクト流入に結びついているはずです。

定期的なメールマーケティングの効能

そう考えると、自社の得意分野を定期的にメールで案内することは2段階の効能があると考えられます。

  1. メールからWebサイトに流入し、問い合わせをしてくれる

  2. 自分は問い合わせしないが「想起」の源泉になり、同僚に伝えてくれる

上記の(2)が発生したとき、『ウィンザー効果』も同時に発動することになります。地味ですが、これは大きい。お客様の社内に透明な営業スタッフがいてくれるようなものです。しかも、「誰かが知りたくなった時」に発動します。タイミングは他者がコントロールできない領域ですのでこれもすごく大きい。
お客様の社内にB先輩が沢山いてくれたら、こんなに頼もしいことはありません。「B先輩が沢山いてもらえるようにすること」、Webマーケ支援をしているぼくの重要な役割のひとつだと思っています。


ダークソーシャル

Webへの流入経路がわからない現象を『ダークソーシャル』とも言います。

ダークソーシャルとは
ダークソーシャルとは、ユーザー間のシェアのうち、アクセス解析ツールで参照元情報を判別できないものを指します。ダークトラフィックとも呼びます。たとえば、メール、LINE、Facebookメッセンジャー、Slack、チャットワーク、グループウェアや社内向け情報共有ツールなど、誰でも閲覧できる状態ではないプライベートな方法で共有されることがダークソーシャルに該当します。アクセス解析のGoogleアナリティクスではダークソーシャル経由の流入はDirectに分類されます。
TwitterやInstagramなどは鍵付きのアカウントでない限りは基本的に誰でも見られる状態ですが、こちらを普通のソーシャルとしたときに、見えにくいやり取りということでダークソーシャルという呼び方になっています。

https://www.siteengine.co.jp/blog/content-marketing/darksocial/

前述のAさんとB先輩のやりとりも「見えないやり取り」であり、ダークソーシャルです。

  • 継続的なコンテンツ作成からの「メール送信」

  • 継続的なメールからの「想起」
     ↓

  • 想起からの「推奨」
     ↓

  • 推奨からの「ウィンザー効果」
     ↓

  • ウィンザー効果からの「Web流入&問い合わせ」

この流れはダークソーシャルに結びつきやすい。なおかつ成果に繋がりやすい。とぼくは思っています。

そして、遡って考えると、継続的なメールが想起のきっかけになっています。さらに遡って考えると、継続的なコンテンツ作成が全ての源泉になっています。コンテンツがあるからメールを送る意味があるし、B先輩が「◯◯ならZ社」と想起してくれるようなります。そのために継続性はとても重要ですが。

コンテンツを作ることが、Web活用における基本的なトリガーになる。地味だけど、基本的な源泉です。ぼくはそんな風に思っています。


BtoBのダークソーシャルについて

BtoBのダークソーシャルについてはベイジさんのコンテンツがとても参考になりますのでぜひご一読ください。

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