「SaaS業界は良くも悪くも日本の『普通』ではない」という指摘。
下記のツイートをとても興味深く読みました。
SaaS業界は良くも悪くも日本の「普通」ではない
この一文にめちゃくちゃ共感しました。自社でWeb活用支援に本腰を入れ始めた数年前、MA系のSaaS企業のセミナーに積極的に参加したのですが、「ん?この内容は普遍的なことかもだけど、地方の現場はそうじゃないぞ。このまま説明してもハレーションが起こるだろうから、これは地方に合わせた翻訳が必要だぞ」と本能的に思ったことを思い出しました。
そして、セミナー参加後の営業を受け、MA系SaaS企業も地方BtoB企業向けにローカライズした営業&提案ができていないことを体験しました。地方中小企業をメインターゲットにしていなかったからだと思いますが。これは大いに反面教師になりました。彼らが使っている言葉をトレースしても地方では全然役に立たないぞと肌で知れたのは大きかったです。
ぼくは結構すぐカッとする人間なので、ローカライズできていない営業&提案を受けて「言ってることとやってることが全然ちがうじゃん」とお腹の中で静かに怒っていたことを覚えています。そこでの体験はユーザー視点でもインバウンドでも全然なかった。機能や料金ブランといった自分たちの話ばかりするし。
「言ったことは必ず実現しないと信頼度を大きく損なう」ということを実体験できたことも個人的に重要な知見になりました。(これについては『「選ばれる理由」の本当の姿』というnoteに詳しく書いています)
色々な問題や難しさを体験したけれど、「営業活動のデジタル化を推進して、顧客事業に貢献する」という考え方には賛同する。この考え方を長野県のお客様に伝えるために絶対自分は同じようにならないぞと決めたのが初期体験でした。
「借り物の言葉を使わない」「現場の言葉を使う」という自分ルール
なので、「セミナーで聞いたばかりのカタカナを振りかざして顧客に説明するのは絶対にやめよう。そうではなくて、顧客の現場にある課題や言葉で説明できるように翻訳しよう」と初期の段階で決めました。
自分ルールでいうと下記の2点になります。
借り物の言葉を使わない
現場の言葉を使う
遠回りかもだけど、長野という地方でWebマーケを進めるなら絶対必要なスキルのはず…と思って自分ルールにしました。
現場の言葉で説明できなかったら誰の胸にも響かない
なぜなら、ほとんどの地方BtoB企業にはマーケティング部がありません。そもそもWebマーケティングという知見も経験もありません。
Web活用支援では担当者様の向こう側にいる別部署の方々にも動いてもらわなければなりませんが、そんな地方特有の状況ではSaaS企業が使っているマーケ用語(リード、MQL、ナーチャリングなど)はほぼ役に立ちません。つまり、担当者様が社内で説明するときに使える言葉/通用する言葉で理解していただく必要があります。だから、担当者様とのMTGの場だけで通じる言葉ではほぼ意味がありません。
顧客側の行動を変える/行動を起こすのがWeb活用支援のぼくの役割なので。 本能的に決めた自分ルールですが、支援しているBtoB企業様から、「結局、現場で使っている言葉で説明できなかったら誰の胸にも響かないんですね」と言って頂けてとても嬉しかったです。やっばり間違ってなかった…!と。
Web活用支援において、「借り物の言葉を使わない」「現場の言葉を使う」という自分ルールについては下記のnoteにまとめていますので、よかったらご覧ください。伝わらなかったら意味がないんですよね。やっぱり。
地方BtoB企業に共通するWeb活用の課題とジレンマ
地元長野の企業様へのWeb活用支援を進めていくことで、『地方BtoB企業に共通するWeb活用の課題とジレンマ』が見えてきました。おそらく長野県に限らず地方製造業様の共通課題でありジレンマだと思います。noteにまとめていますのでよかったらご覧ください。
関連note
「現場の言葉」の逆は「借り物の言葉」ですよね。学んだことを「現場の言葉」で説明できるようになって、やっと人は動いてくれるのだと思います。
それはWeb制作会社も同じです。顧客の担当者が「この会社とやりたい」と上司に説明する際に、上司に伝わる言葉で価値を説明して頂く必要があります。
そんなとき、社内や同業にしか通じない「我社のバリュー」は意味がありません。価値を決めるのは相手側ですが、少なくとも「伝わる言葉/現場の言葉」にすることは最低条件です。伝わった上での判断なので。
だから、「他者の言葉をもって自分たちの価値を説明できるか」が大切だと思っています。詳しくは下記のnoteにまとめていますので、よかったらご覧ください。