四十九日とヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』と『ゲド戦記』と。その後日談。
連休最終日、高三長女がババに会いにいく(ぼくの母。仲がいい)というので、借りていたタッパーと一緒にヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』を持っていってもらう。
二カ月前に夫を亡くした母はそれまで無縁だったお経(般若心経)を読む練習をしているらしいので、それならぜひ読みなさい。お経よりきっと面白いぞと四十九日のときに薦めた本。
いわゆるブッダの青春譚でもあり、ヨーロッパからの東洋思想へのアプローチでもあると思うが、ぼくの読後感はアーシュラ・K・ル=グウィン『ゲド戦記』に近かった。特に『影との戦い』に。
母親はどう読むかしら。
後日談
ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』を貸した母親から感想がメールで送られてきた。おお、なるほどね。と思いつつ放置していたら、「読んだのか」と返事催促のLINEが届いた。
母親
ショートメールでシッダールタの読後感送りました。
英資さんが私に伝えたかったもの、私に伝わった?
ぼく
あ。お返事するの忘れてました。すみません。
伝わりましたよー。思った以上に「生きるとは」について真面目に考えたんだなあ…昭子さんらしいなあ…と思いました。
ぼくはどちらかというと本の帯に書いてあった「生きるとは」についてはほとんど考えなくて、ブッダもシッダールタという青年だったんだなあ…仏教もそこから生まれたんだなあ…と思えたのが面白かったです。
よく知らない坊さんがよく知らないお経を読み、よく知らないぼくたちが黙って聴いているという些か頭のおかしい状況をただ受け入れるより、シッダールタという青年をほんの少しでも知れた方が自分にとっての「仏教」にはまだ役に立つなあ…という感想でした。
昭子さんもせっかくお経を読む機会を得たのだから、ただフリガナを追いかけて読むより、その背景を知ったり読んだりしながらお経を読んだ方が面白いよねという感じの一冊です。
そもそも、「生きるとは」なんてぼくたち人間が何千年も同じ問いをし続けていて。「問いそのものに価値がある」と思った方が健全だよね。
昭子さんが読後感想で書いた「だったら人間はみんなシッダールタだ」は本当にその通りだと思います。本質ずばり。
母親
毎朝 般若心経読んでいます。
この歳になってようやく仏教の入り口教えてもらった感じです。英資さんも卓也さんも私のしないことたくさん知ってたんだね。みんなすごいなあ。ありがとう😌
ぼく
おおー。それはそれで豊かな人生ですな。
以上、母親に本を貸した後日談でした。
稲田英資について
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