建築は完成するが、空間は完成しない
仕事がら、美しい建築物を見る機会がある。
そこに人が住み始めると、建築物自体に変わりはないが、景色が変わり始める。
空間が誰かの手で色付けられているように、箱の中身が変わっていく感覚。
やがて、その変化は、建築自体にも物理的な傷跡を残して、景色の一部を変え始める。
住まい手だけでなく。来訪する人も、空間に色付けをする。
来訪する人にとっては、そこは非日常空間であり、住まい手にとっては日常空間に了解の上で入ってきた侵入者だ。
住み始めた時とは、異なる景色を来訪者は呼び込む。
建築は完成するが、空間は完成しない。
建築は、建てられた時点で完成し、空間により変化する。
その空間を変化させるものは、住まい手や来訪者、四季で変わり、日毎に変わり
自分を魅了する