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時代遅れの短波ラジオ、でも私には似合ってる

今は、短波ラジオを聴く人は少ないかもしれない。それどころか、ラジオ受信機でラジオ放送を聴く人も少ないかもしれない。今はradiko などを使って国内のラジオ局はパソコンやスマートフォンで聴ける。世界の小さなラジオ局だって、インターネット経由で聴くことが可能だ。

昔はラジオ受信機にも色々なものがあった。ポケットに入るラジオや、カセットテープに録音できるラジカセなど、持っていた人もいるかもしれない。そして、短波が受信できるラジオ。コンパクトなものから、本格的な無線機みたいなものまであった。短波の大きな特徴は、中波(NHKラジオ第一など)やFM(J-WAVEなど)と違い、日本国外の放送が聴けることにあった。

私が小さかった頃は、BCLといって、こうした遠い外国の放送を聴くのがブームだった。
ある日、父が近所で古い真空管ラジオが捨ててあるのを拾ってきてセッティングすると、ラジオが受信できた。そこから私はあちこちの短波放送を聴いた。

当時は北京放送(現・中国国際放送局)、モスクワ放送、ラジオ韓国(現・KBS WORLD Radio)、朝鮮中央放送(現・朝鮮の声)など、近隣諸国の電波がよく入る放送をよく聴いていた。でも、それから頑張ってBBCやDW(ドイチェ・ベレ)の日本語放送も聴いた。BBCの日本語放送では、チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式の中継を聴いたのをかすかに覚えている。当時の音声がネット上にないか探してみたが、https://youtube.com/watch?v=1_wLIn67WSE
に冒頭の日本語アナウンスが残っているのしか見つからない。

その後、各国の日本語短波放送は予算をカットされて、BBCやDWなどの日本語放送もなくなってしまった。今はインターネットで情報が拾える時代だし、短波放送は送信機やアンテナの維持費が莫大なものになるから、真っ先に予算カットになるのだろう。いわゆる東側と呼ばれた旧ソ連、現ロシアでさえ、かつてはモスクワ放送が長時間強力な電波で放送していたのに、今は短波や中波による日本語放送をやめてネット発信のみになった。

カットされるのは国際向け短波放送だけでなく、国内向け中波放送もそうである。既に世界各国で中波放送がFM放送などに置き換えられたり廃止されたりしている。日本でも民放AM放送の大半は2028年迄にFMへ移行することが決まった。広告収入の激減で民放AM各社は財政的に苦しく、今後必要となる老朽化したAM送信設備の更新に対応できないので送信コストの安いFM放送に移管することにより生き残りを図るのが主な理由である。時代の流れとは言え、悲しい限りである。

こうやって、中波や短波の空いた周波数を、誰か放送で使ってくれないかなと思っても、
Youtubeで発信する方がはるかに簡単で安上がりである。私はトークなんて苦手だし……。

そんな中、久しぶりに短波が受信できるラジオ受信機を買った。中国メーカーだが、安くて(5700円ぐらい。私は実際はポイントを使ったからもっと安く買ったが)性能もいい。早速近隣諸国の短波放送を聴いてみた。これを聴きながら、今短波放送をする意味は何なのか、考える日々である。

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