K

都内在住。趣味は映画、音楽、落語、旅行。攻撃力が高いジャズが好き。いつも凛としていたい。

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マガジン

  • 在宅勤務あれこれ

    在宅勤務にまつわる考えごと

  • 逃走生活

    夫の暴力からの逃れての逃走生活にまつわるエッセイ。受けた傷から回復していくこと、どうしようもない心の動きのこと。

最近の記事

リモートワークに必要なのは「約束」だ

在宅で仕事をする時の一番の課題、それは自分を律して仕事に集中することだ。 家で仕事を始めてすぐにはっきりと分かったのは私は本当にものぐさだということだ。 オフィスに行っていた頃には、出社した時点で仕事のスイッチが自然にオンになっていたし、周囲に同僚達の存在もあって、仕事に向き合うのはたやすいことだった。 しかしどうしたことだろう。 家にいると、仕事モードに自分を起ち上げるのも、「ちょっと休憩」から帰ってくるのも、驚くほど上手くいかない。 家には集中力を途切れさせる邪魔者が

    • 花のある生活、花のある在宅勤務

      在宅勤務が始まってから、家に花を飾るようになった。 一人暮らしで家に籠もって仕事する日々を続けていると、だんだん毎日がループしているような錯覚に襲われるようになる。季節の変化もよく分からなくなる。 息苦しい日常生活をちょっとでも変えてみたくて、小さな花を部屋に飾ることにした。  * 手始めに流行の花のサブスクリプションに手を出した。 ワンコインで季節の花をポストに届けてくれるというもの。 結論から言うと、これはとても良かった。 毎週ポストに誰かが選んでくれた花が届けられる

      • 明日、なに着て働くか

        毎日家で働くようになって起きた変化の中で、一番分かりやすい変化は服装かもしれない。 在宅勤務を始めた当初は不良を気取って一日パジャマで働いてみたりもしたけれど、仕事をしようという気分が高まらないし、特に楽しい気分になる訳でもないし、すぐにこれは悪手だと悟った。 かといって、会社に行っていたころのようにきちんとワンピースを着たりストッキングを履いたりしたいかというと、当然そんなことはしたくない。 シワや汚れに気を遣うワンピースは不自由だし、脚を締め付けるストッキングは窮屈でし

        • ランチさまざま

          在宅で仕事をするようになって随分時間が経った。 最初の出社禁止令が出たのは去年の3月のことだから、ちょうど一年ほどが経つ。 一年たっても相変わらず悩むのは日々自宅で食べるランチのことだ。 インスタントやレトルトを食べ続けるのは気が進まないし、Uber eatsに頼っていたらエンゲル係数がとんでもないことになってしまう。 自宅の近くにある飲食店は小さな町中華とドトールコーヒー、ケンタッキーフライドチキンくらいのものだし、こちらも毎日のランチの選択肢としてはちょっと心許ない。

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        • 在宅勤務あれこれ
          5本
        • 逃走生活
          27本

        記事

          物語の余白の魅力 ー瀧川鯉八師匠のこと

          落語家の真打昇進披露興行、それは特別な高揚感と祝福に包まれたイベントだ。 落語や漫才が並ぶ寄席のプログラムの半ば、お中入りの後に高座の袖から「東西東西!」と声がかかり、するすると幕が開く。そこには昇進したばかりの新真打とその師匠、そして新真打と関わりの深い師匠方が黒紋付きでずらりと居並んでいる。入門時のエピソード、修業時代の失敗談、楽屋での日常のこと。じっと手をついて控える新真打を横に、師匠方が愛情と笑いのあふれる口上を順々に述べていく。そして口上の最後は会場も一体となって三

          物語の余白の魅力 ー瀧川鯉八師匠のこと

          美術館ってなんなのか (「作品のない展示室」のこと)

          本来であればオリンピックに合わせて設定されていたはずの夏期休暇。 遠出をすることもできずに空白を埋めるように自転車で世田谷美術館に出掛けた。 お目当ては「作品のない展示室」 コロナ禍で海外からの作品を迎えることができない状況を受けて、作品を一つも置かずに展示室を開放しているものだ。 何が楽しくてがらんどうの美術館に行くのか、自分でも良く分からなかったのだけれど、作品のない展示室に身を置くことは美術館の魅力って何なのかということを改めて強く意識させてくれる体験だったのだ。  

          美術館ってなんなのか (「作品のない展示室」のこと)

          アクセサリーを着ける訳 −HASUNAのこと

          10代20代の間、私はアクセサリーを着けることが苦手だった。 お洒落をするのは人に良くみられたいと思っているから。 お洒落をするのは外見ばかりを気にしているから。 常にそんな風に自分に言い聞かせていて、流されることのない自分は人よりも賢いのだと思いたかったし、誰かに浅はかな人間だと思われることは耐えがたいと思っていた。 服を着るのは社会生活のために必ず必要なことだから好きな服を選ぶのはOK、でもアクセサリーは着けなくても社会生活を営むことができるのだから、時間をかけてそ

          アクセサリーを着ける訳 −HASUNAのこと

          ドキュメント年末年始或いは正しさを守る戦いについて

           年末年始の一連の家族行事には「正しくあれ」という呪いがかかっている。  故郷に帰り、一家で正しく団らんをしなさい。  正しいお祝い料理を手作りで準備しなさい。  さあ、あなたも団らんをすべき正しい家族をもちなさい。  * 「私はメンツユは使わないの」 年末の年越し蕎麦の支度をする度に母はそう繰り返す。 「うちの出汁は美味しいでしょう。私は化学調味料が嫌いなの。よくあんなものを食べられるわね」 一からとった出汁、揚げたての天ぷら。確かに我が家の年越し蕎麦は美味しい。 とは

          ドキュメント年末年始或いは正しさを守る戦いについて

          その断絶を超えようと企てる人たちへ(映画「ナイトクルージング」のこと)

             久しぶりに激しく脳を揺さぶられるような映画を見た。  *    「ナイトクルージング」は映画を撮る全盲の男性を追ったドキュメンタリー映画である。  これは挑戦する障がい者を「ネタ」にしたお涙頂戴の物語ではない。また福祉の物語でもなく、啓蒙の物語でもない。  これは徹頭徹尾コミュニケーションをめぐる真摯な冒険の物語なのだ。  ドキュメンタリーの主人公である加藤秀幸氏は先天的な全盲であり、視覚を持っておらず、光すらも見たことがない。それでも彼はジャッキー・チェンのアクシ

          その断絶を超えようと企てる人たちへ(映画「ナイトクルージング」のこと)

          今日から内閣府等による女性に対する暴力をなくす運動の期間です。この運動のシンボルカラーはパープル。今日は東京タワーやスカイツリーがパープルにライトアップされます。お近くの方は見上げてみて下さいね。 あなたは一人ではありません、どうか一人で悩まずに相談を。

          今日から内閣府等による女性に対する暴力をなくす運動の期間です。この運動のシンボルカラーはパープル。今日は東京タワーやスカイツリーがパープルにライトアップされます。お近くの方は見上げてみて下さいね。 あなたは一人ではありません、どうか一人で悩まずに相談を。

          前職の同僚と食事をして、少し酔っ払って、数年前の野外フェスで真夜中に聴いた好きな曲を聴きながら歩いて帰った。たとえ傷つくことがあっても、私は美しい時間の重なりの上に立っている。気持ち良いな、と思う。

          前職の同僚と食事をして、少し酔っ払って、数年前の野外フェスで真夜中に聴いた好きな曲を聴きながら歩いて帰った。たとえ傷つくことがあっても、私は美しい時間の重なりの上に立っている。気持ち良いな、と思う。

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          【旅日記】8月のカンボジア

          【旅日記】8月のカンボジア

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          欲しいものは選択肢

           いつものスーパーで豆腐を買おうとして気付いた。  ない。  この数か月、私が毎週のように買っていた豆腐がない。  この冬、私は「生湯葉が作れる豆乳湯豆腐」という豆腐がだいのお気に入りだった。ドーム型の大きな丸い豆腐が入ったパックをあけ、パックに満たされている豆乳ごと電子レンジにかけるだけでとろりと美味しい温かな湯豆腐と湯葉ができあがる。どんなに疲れている時も、料理をする気力のわかない時も、やわらかい豆腐をほんのり温まった豆乳とともにレンゲですくい、ふうふうと息をふきかけな

          欲しいものは選択肢

          「元気が出ない」が治らない

           1ヶ月ほど、ひどい肌荒れに悩まされていた。生え際から顔の皮膚がぽろぽろとはがれ落ちて来るのだ。朝にメイクをした顔が夕方には端からひび割れ、はがれた皮が今にも落ちそうになっている。指先で触れるとそれは粉になって崩れ、髪についたりはらはらと肩に落ちたりした。  私は焦った。自分は一体どうしてしまったのだろう。  友人の勧めやインターネット上の口コミに従って、荒れた肌に良いとされていることを片っ端から試した。お風呂上りには化粧水やオイルを何層にも塗り重ね、化粧品も替えた。  それ

          「元気が出ない」が治らない

          もっと泣いたりわめいたり

           区役所に一人で離婚届を出しにいった日からあっというまに一年余りが過ぎ、2017年も終わりを迎えようとしている。元夫と暮らしていた短い日々や、その暴力から逃げて隠れて暮らしていた日々が幻であったかのように私は平穏に毎日を過ごしている。  自分はすっかり離婚のショックから立ち直っているように見えるはずだ、と思う。この一年でがつがつと転職をし、友人達と何度か国内旅行をし、欧州3か国に出張に出掛け、ヨガと英会話教室に通いはじめた。笑ってしまうくらい典型的な「独身生活をエンジョイ」す

          もっと泣いたりわめいたり

          今日から二週間、内閣府等による「女性に対する暴力をなくす運動」の期間です。 この運動のシンボルはパープルリボン。各地でパープルのライトアップ等が行われます。 悲しいことですが暴力の闇は意外なほどに身近なところにひそんでいます。多くの人に正しい知識を持ってもらいたいと思います。

          今日から二週間、内閣府等による「女性に対する暴力をなくす運動」の期間です。 この運動のシンボルはパープルリボン。各地でパープルのライトアップ等が行われます。 悲しいことですが暴力の闇は意外なほどに身近なところにひそんでいます。多くの人に正しい知識を持ってもらいたいと思います。