歳をとるという事
3.お母さん、ごめんね!
都会から帰った私は、介護も何も出来ない。ただ何でも話しやすい母に愚痴ってばかりいた。
母の口からは「ありがとう、姉弟の中でいちばん心配していたお前が最も頼りになったよ」と。それから間もなく母は亡くなった。80歳であった。
お葬式の時も涙は出なかった。しかしさまざまな場面で常に母を思い出す。そして知らぬ間に涙が頬を伝わる。
父はすでに寝たきりになっていたため、慶弔の時は介護保険を利用した。施設側はまだまだ未熟で、食事は一人では取れないことを念を押して頼んだが、心配で行ってみると枕許にそのままで置いてあるだけであった。
父は穏やかな人で大きな声を出すとか、暴れるなんてことはない人だった。
すごく悲しくて私の中に施設に対して不信感が募っていった。
数年後、父と軽度の知的障害のある叔父はそれぞれ90歳で亡くなった。三人共に自宅で静かに息を引き取った。
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