左に曲がって右に曲がって又左に曲がったその奥
そこにあったのは小さな美容室。宣伝も何もしない。
「いらしゃいませ」甲高い声が響く。一人でやっている。
ご主人が亡くなって、パートで通っていた美容院をやめて自宅で開業した。
三人の幼子を抱えていたが甲高い明るい声はその当時と変わらない。
亡くなったご主人の退職金、保険金があり三人の子どもにもそれぞれ教育も受けさせている。何より夫への感謝の気持ちがにじみ出る。
ご主人の実家は長野であるが、子供の成長や、日本におけるしきたりはきちんとこなしていた。
そしてどこの美容室にも共通の情