「イルカも泳ぐわい。」
布団に入りながら本を読むなんて何年ぶりだろう。
朝と活字が苦手な私に、読書をするための早起きをさせた本。
タイトル「イルカも泳ぐわい。」
著者は、お笑い芸人「Aマッソ」というコンビのツッコミ担当、加納愛子さん。
この本の何がいいって、エッセイの短編集だから1つ1つがすぐ読み終わる。その手軽さ故に、わたしの活字克服キャンペーンに取り入れられたのだ。
本を読み始めて数分で、この選択は間違いじゃなかったと思った。
パワーワードの宝庫。いちいち面白い言葉の言い回しに、毎回ふふっと声を漏らしてしまう。
一般人のわたしが一生経験することのない感情の揺らぎ方や、個性に溢れた感性が、文字を通してバシバシ伝わってくる。
ページをめくる手がとまらない。なにこれ。めちゃくちゃおもしろい。
面白さのジャンルも幅広い。シンプルに話の展開が面白かったり、日常の1シーンをこう表現するの!?と驚きもあったり、終始「何言ってんこの人」となったり、色んな陽の感情が渦巻きあう。
学生時代の話も切り取られていた。きっと彼女は当時から、日常の他愛もない会話でさえ「笑い」を意識していた。
生粋の芸人さんなのかもしれない。
そんな芸人という職業を全うしようとする彼女の葛藤なんかも、ちょっとばかり覗けた気がした。
本を読み終えたとき、芸人という枠から溢れ出る彼女の才能を味わえたことが、なんだか嬉しかった。
今後の人生でちょっと立ち止まりたくなったら、この本をまた手にしよう。
笑みがこぼれて、歩みを止める理由なんてどうでもよくなるに違いない。
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