表コミ授業日記① ジェスチャーだけで会話したら、躍動を生むものの正体が見えてきた話
こんにちは。いもいも表現コミュニケーション教室のあきです。
表コミ授業日記と題して、生徒たちの躍動を不定期で配信していきます!
ジェスチャーだけで伝え合う
まずは動画をご覧ください!
やっているのは、「カードクレッシェンド」という表コミオリジナルワーク。1人1枚カードを引き、そこに書かれたものの大きさ順に並びます(砂粒→消しゴム→ギター→飛行機→……)。ただし、言葉は一切使ってはいけません!
生徒たちが夢中になっている様子、動画でも伝わるのではないかと思います。
この日は2時間の授業のうち、後半1時間は丸々このワークでした!そしてお題がどんなに難しくても、誰一人、途中で言葉を発してしまうことはありませんでした。
お伝えしておきたいのは、この生徒たちは演劇やパントマイムや手話などの訓練を受けたわけではないということです!表コミの授業でジェスチャーをする機会はありますが、そこで何かハウツーを教えたこともありません。
ちょっとジェスチャーに慣れただけのごく普通の中学生たちが、言葉を介さずこんなにも濃密なコミュニケーションを成立させる……私たちにとっても大きな驚きでした。
ちなみに、この動画のときのお題は「ウイルス、小麦粉(1粒)、アリ、冷蔵庫、サーフボード、ハワイ、北海道、土星」でした。かなり難しいですよね(笑)
躍動を生んでいるものの正体
動画冒頭、1人の男子生徒が伝えようとしているのは「土星」です。
彼は「太陽系の6番目の惑星」として伝えようとしましたが、なかなか伝わらない……。
困っていたとき、たまたま見ていた別の生徒が「たぶん土星だ!」と気づきました。そして彼は「球とその周りの輪っか」という別のジェスチャーで土星を表し、伝わっていることを2人で確認し合います。その瞬間、全員が理解!喜びが爆発します!
コミュニケーションの喜びがぎゅっと詰まった、素晴らしい瞬間です。
このワークの面白さは、お題を伝える役だけでなく、受け取り役もしゃべれないことにあります。
ジェスチャーなので、受け取ったものが正しいか確信が持てないことも多い。でも、言葉を使って確認ができない。だから受け取り側はこれだと思った単語を別の方法で表現してみて、正しく受け取れているか確認します。
この確認作業だけではありません。よく見ていると、大きなジェスチャーをしていない受け取り側が、実はたくさんのメッセージを発していることに気づきます。
「わかった!うれしい!ナイス!!」
「わからない、もう1回」
「こういうこと?」
「見てるよ」
「よ〜く見てるよ」
「何言ってるか理解したい!」
わかって大喜びすること、手を叩いて称えること、首を傾げて人差し指を立てること、別のジェスチャーで確認してみること、一緒に身体を動かしてみること、うなづくこと、ただジッと見ること……。
実は躍動を生んでいるものの正体は、これだと思うのです。
受け手が自分のことを一生懸命理解しようとしてくれている。
その実感があるから、不安なくジェスチャーできる。
そのジェスチャーにリアクションが返ってくる。
だからもっと大胆にジェスチャーできる。
こんなスパイラルが起こっているのではないでしょうか。
素晴らしい表現、素晴らしいコミュニケーションを生んでいるのは、受け手のリアクションなのです。
相手を幸せにするリアクション
思い返してみると、このクラスの生徒たちはいつもそうでした。
誰かが話しているとき、ジェスチャーをしているとき、いつもいつも、「聞いてるよ」「見てるよ」という暗黙のメッセージを発していました。
そしていつも自然に、相手が嬉しくなるようなリアクションを返してくれていました。
「わかった!」「なるほど!」「すごい!」「面白い!」「天才!」
そんな言葉や歓声や笑い声、あるいは表情や全身で、
「あなたの表現が大好き!」「あなたの発想が大好き!」
と伝えてくれていました。
このクラスに流れる暖かな雰囲気を作っているのは、そんなリアクション力なのだと気付かされました。
みんながこっちを向いて聞いてくれている時の方が、そっぽむかれている時より話しやすい……そんなところまで引き付けると、当たり前の話なのですが(笑)
でも、表現する側、発信する側がやはり注目されやすく、受け取る側の重要性は見逃されがちなことも事実です。
幸せな空間を作るのは、受け取る側のリアクションである。
生徒たちから、そんなことを教えてもらった授業でした。
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