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yumemirujiisan
蕎麦が食べたい
蕎麦が好きだ。
蕎麦処、と呼ばれる街に住んでいる。
蕎麦屋は多い。
生まれ故郷も蕎麦処だった。
実は雪国の街は日本中、蕎麦処を名乗っているんじゃないかと疑っている。
たくさんある蕎麦屋の中で、何故か自分の行きつけばかりが近年閉店してしまう。
こんなことを書くと、他の店も出禁になりそうである。
ある店は、引っ越してきた時に自宅から一番近く、足繁く通った。
地元で有名処の支店で、観光客も多く、初見の当方も入りやすかった。
別の店は、ネイティブの知人に教えてもらった。ちょっと奥まった場所にある老舗で、観光客は少なかったが、地元の人でいつも混んでいた。
どちらも昼に寄ることが多かったが、いつか夜に来て、天麩羅やつまみで日本酒をやった後、締めに蕎麦!をしてみたいと考えていた。
先の店はもう取り壊されて住宅になった。
後の店はまだ、そのままの屋根が大通りからちらりと見える。
最近は、昔、一緒に働いていた男がいる店に通う。
将来自分の店を出したいと、弟子入りしたらしい。
変わらない笑顔と太鼓腹に会いに行く。
少々優しすぎる彼は、一国一城の主より、今のままが似合う気がしている。本人には言わないが。
行きつけの店の閉店のお知らせは、推しの引退に似ているのではないか。
卒業(店舗移転)ならまだ、遠くからでも応援できるのに………。
でも、今までありがとう。元気でいてね!と言うしかない。
推しが数年前に「そばが食べたい」と歌っていた。
あの店の蕎麦も、いつか推しに食べに来て欲しかった。
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