i.me

物書き。

i.me

物書き。

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介のようなもの

今日まで21作品を公開してきました。それぞれがどのくらいの方の目に届いているか、最後まで見てくれた方がどのくらいいるかは何となしに想像していますが、スキとポチしてくれた方々ありがとうございます。嬉しいです。 私は私、I.meです。 ここには、私の作品を見ていただける方が増えればと場所を求めて来ました。今のところ、場違い感が半端じゃないです。私は他の小説投稿サイトにも書いたものを公開していますが、その場所でもここと同じように邪魔になっていないかと、ほんの少し心配しています。

    • 冬の伯爵

      冬に至る黙読の中 雪は規則無く規律を乱さない 夏みたく闇雲に乱さず 何もかもを傷付ける嵐も無い 声を飲み込み一筋に見つめて 吹雪いて全てを覆い尽くす 静かに深く口付けて 息吹を吸い取り 息の根を枯らしていく そうして枯れた根を摘む傍らで 彼女の摂理に付き従い 摘まれた後へ種を撒く 枯れた根を束ねた冷たい手を取り 白い吐息を添えているのは 彼女を黙読する冬の伯爵

      • のそり

        温もりの洞穴 緩む入口を閉じるこもる つま先で触れる冬至に そっと引っ込めても もぞもぞとばかりしてられなくて のそりのそりと洞穴を出る 凍てついた床に 息を潜めて通す袖口 くっ付いた帽子までかぶり込む 雪解けがお湯になるまでの 散りばむ茶葉が香りを拾わせ 注いでくつろぐ葉の湯に蓋を 冷たい指先にのぼせた湯気と 手のひらで包む温度のやり取り 毛布も被って含む温もりは お茶の渋みに縮まる舌と つられて籠る足先のしきたり

        • 雨のたより

          雨の降る音が聞こえて覗いて 降ってきちゃったなーなんて 散歩に出たかったのにとか思うけれど 傘を差して足を汚してまではいいや なんて窓を閉めて外を眺める雨宿り 雨が降っていると晴れているよりも 少し安心したりして居て 私は内でいつも泣いているらしく 私から涙はあまり流れない 泣いたって喚いたって 嫌でも嫌な事は起こるから いつも泣いてばかりも居られない 皆と同じで居たくても 居られない人は居るんだから 皆と同じで居れる人は そのままで良い事だよ 皆と一緒でいいでしょって 窓を

        • 固定された記事

        自己紹介のようなもの

          野菜風

          眩しい陽にさんざめく川面が照り返す光 眩んで前のめる私が倒れる事を 向かい風は許してくれない 追い風ならこの一歩は無かった お前を倒すのは私だと そんな風に言いたげで どこかの悪役王子かよなんて過ぎる私へ もう立てるだろと追い風る 私は散歩の途中なだけだよ 英雄なんかじゃない ほんの少し自由に歩く 我儘が過ぎるただの地球人だ

          野菜風

          あくびより

          季節外れの日差しに吹くのは 季節通りに冷たい風で 何だかやっぱり噛み合ってない だなんて見上げた絵空に雲と 麓の山には影の連なり 山から山へ嶺から裾へと 影を辿れば龍の出で立ち 横たわっては居るけれど 雲海待ちに羽を休めて あくびの間にまに過ぎる雲ぐも うつるあくびに何だかんだで まあいいやって寝過ごす鱗で 帰り道もあと少し 雨が降るまであくびより

          あくびより

          結んで

          結んでほどいて灯して閉じて 結いでほどいて調えて 結んでほどいて開いて流して 大切な物は大事と仕舞うから 大事なものは見えにくい 心臓だとか心だなんて 野ざらしに道端へ放り出されないし ぶらりと下げて歩いたりなんてしない こうしてほどいて流すのは それでも結んでほどいて開いて流して 閉じられたまま気付かれもせず この灯りが君に届かないと嫌だから 大事な大事な声灯り 結んでほどいてここに流すよ あれもこれもここに流すよ 結んであげてよ見つけたら 大事に結んで仕舞ってあげてね

          結んで

          ほどいて

          絡まる紐に糸と私を紐解いていくのはあなただから、結んで仕舞って整えるのもあなたでなければいけないと君は言うけれど。僕はまだ紐解けていないしまだ絡まってるし、何なら絡まっている君もそれはそれで、これはこれでとか思ったりなんてしないよ多分。絡まる糸をほどくのは得意だから大丈夫だよ任せてよ、だから動かないでじっとしていて。ちゃんとほどいてみせるけれど、結び直すのは君が僕を紐解いた後。私を紐解くのはあなただと君は言うけれど、僕を紐解くのも君じゃないとだめなんだよ。

          ほどいて

          咲かず咲かさず噤んで茨へ 薔薇も星も幕して隠して 一層に無くしてしまおうか 狡く毟り取られるばかりに 棘ばかりなる茨の園に 彼女が何も言わないからと 野獣は口を噤んでは居られない 薔薇に星も幕して隠れた 咲かず咲かさず噤んだ茨へ 毟り取る卑しいその手 茨に絡まり咎められ 穢らしい花になれ 薔薇も星も無くなる世界で 迷い慄き廃れていけ 赤も青も失って 黄だけに狂えばいいんだ

          雨明かり

          水面の月を眺めてしばらく 降り出す雨が川面を乱す 散らばる月の明かりに 水の流れもふてぶてしい もう月も見えないし 月明かりの夜も乱れてしまった 雨が降る事は知っていたよ 空を見上げて月と居たし 君の気配と匂いもしていた だから傘も持ってるし 雨にも会いに来たんだよ 月明かりの夜を過ごした帰り道 君の声を聴いて歩きたかったから

          雨明かり

          立姿

          正しさが掠れる音から迸るのは 星の破片と夥しく散りばむ血の液 血痕染み入る六花の積もりを踏み締めて 声を賭して振り下ろす 雪解けは時を掛ければ来るだろうにも 時を駆ける者は時など待てない 正しさだけでは事足りないから 振り下ろした信念 迸る火花の熱意 六花と見据える真実 重なって温もりは染み入り 伝わる頃には優しさになる 発芽した青が大樹と成る事を願って 何も無かったと 見上げた空を晴らしていくだけ

          スキしてくれるみんなありがとっ

          スキしてくれるみんなありがとっ

          ミソラ

          この曇り空の向こうには 青空がある事を知っている その向こうには夜がある 星の密度と膨大な夜 陽はあるだけ光も多分 温もりは無い凍てつくだけで 夜に潜る事をする僕だから 灯火だけが身を守る全てだ 絶えれば迷うし凍えるし そのまま空へ消えてしまう 灯火だけは絶えさせちゃだめ この曇り空の向こうには 青空がある事は知っているでも 雲を晴らす事は出来なくて 腕で雲を覆っても 星は見えないし風は冷たい それでも空を見上げるよ 雲は晴らせないでも頬は拭える

          水禍

          傘増すばかりな夢の水素 畝りは息を巻いて渦を巻く 回らない節目を一点に 辿らせた渦が管を巻く いつまでも紡がれない糸に 手を拱きながらも 夢の傘は増すばかりで 空の文目を見上げては 引いては足してを繰り返し 畝りに糸を垂らしていて 流れの傍ら 釣れてしまう魚を放して 釣られてしまう魚を眺めて 盆の中身は空のまま 渦巻く夢は傘増すばかり

          ソラシド

          器を置いても 空を落とせばそこには何も残らない 満天下天の青空に飛び 降り合う雨と触れ合って 雷との話し合い 明度の移りに暗度して 満天下天に流れる星々 波打つ波形に揺れる月 静かに風も流れていて 器を置いても 空を落とせばそこには何も残らない 器を携え汲み取って 味覚に足してよ空の嗜み 満天下天の境界線 指先に掛けた下駄も鳴るから 鼻歌だって歌っちゃうよ

          ソラシド

          深凛

          秋雨の影が浸透している森林 夏にあてられた横たわる身体に じわる静けさに雨の音など 冷えていく夏を感じていても 温もりはまだ要らないみたいで 保湿した熱は心地良くて 葉を伝い落ちた雫が 冷んやりとしてまた潤う どうしてか囁く虫の声も この深々と静かな夜の形で 焦がれる願いも 燃え尽きること無く保たれて 長く雨の匂いを吸い ゆっくりと吐かれる熱の先には 秋雨に浸り跳ねる紅葉の端くれ