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図書館に生かされている。

大げさではなく、本当にそう思う。

繰り返す自己否定を、頭の片隅に追いやるために本を読む。読書をしていると、心は朝凪の海のように静かに、落ち着いてくる。逆に、本が読めない日は苦しい。

静かに読書するためには、自室ではない場所が必要だった。物が散乱した部屋は、あまりにうるさすぎる。机の片隅に積まれた本の圧迫感がしんどい。だからぼくは図書館へ通う。

図書館に着くと真っ先に、空いている机を探す。運悪く机が埋まっているときは、しばらく館内をぶらぶらするか、そもそも人が多すぎるので諦めて帰る。
 机を確保できたら、借りている本をそっと片隅に置いて、ノートを広げる。一度借りて家に持ち帰った本でも、あえて図書館に持ってきて読む。
 本によって様々だが、たいがい10ページも読めば余計な思考はどこか遠くへ旅立っていって、頭の中にただ活字だけが流れ込んでくる。その瞬間が、いちばん気持ちいい。

いまぼくは、そうやって生きている。
図書館に生かされている。

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ドミノ
昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま