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【書評】森村誠一: 悪魔の餌食

今回ご紹介する本は,民主主義における社会問題を描いた本です.
日本が大日本帝国として,満州国に行ってきた迫害行為にフォーカスして,
見かけは民主主義でも,悍ましくかつ,痛ましい行為を行う社会構造が生まれてしまうことが描かれています.

□紹介する本

新版 悪魔の飽食, 1983/6/2
著:森村誠一

□目的

本書の内容は筆者はノンフィクションだと主張しているが、
実際は、フィクションである可能性があるとのこと。
事実を見極める力をつけること。

NHKスペシャルでみた
第731部隊の行なった悪事について知る。
そして、非人道的な行いによる影響、外国人の憎悪の影響といった、
戦争による社会的影響を知る。
また、日本が抱える戦争による問題を知っておく。

そこから、将来、自分の人生において、
選挙への投票
や、世界へ行った際に、
外国人との関わりなどに生かすこと。

本書を通して、
語彙力の向上させることも目的としてある。

□キーワード

・満州事変(柳条湖事件が発端)
・満州国(日本の傀儡政権だった)
・第731部隊(世界最大規模の細菌戦部隊、通称石井部隊)
・丸太
・ペスト・ノミ・ネズミ
・909号(人格者とは何かを考える)
・侵略戦争
・プロパガンダ
・娑婆:(仏教用語)この世のこと、苦しみに満ちた耐え忍ぶ世界のこと
(例:この学校は娑婆から隔絶されている。)

・東京多磨霊園に731部隊の精魂塔があるらしい。

・民主主義の危うさ

□考えたこと

サピエンス全史(上)にあった、
人間の想像上のヒエラルキーの設立は、
この場合どう行ったものであったか。

・死刑を行なっている日本は、
本質的に、人体実験を行なっているのと同じではないか?
死刑扱いとなった丸太らに対して、人体実験を行なっていたということは、
死刑=人体実験と当時の認識では同義であったと捉えられる。
死刑は現在でも続いて行われているものであり、
これは、許されるものであろうか?
細菌兵器の研究でなければ、人体実験をしても良いのだろうか?

・909号は絶望的な環境の中でも、そこで生きがいを見出した。
私自身もどのような環境においても、
自分でできることは何か、
そこでどのようにしたら、最大限力を発揮できるかを
考えなくてはいけない。

・自然界は諸行無常。(常に変化している)

・本書の内容が事実であることを裏付ける証拠はあるのか?
→我々、日本人にとっては都合が悪い内容なので、
どこからともなく、デマだという話が流れなくもない。
やはり、学問を勉強する上でもそうだが、
その内容が事実であるかを疑ってかかる癖は非常に重要で、
騙されないためにもきちんと身につけるべき能力である。

下手に騙されて、
自分が嘘を伝搬してしまう人間になってはいけない。

・自分を守るための防衛行動が
他国を侵略する独善性と見分けがつかないことに注意せよ。
唯一の違いは、侵略戦争は、目的が曖昧もしくは存在しないことだ。
(目的が曖昧模糊である。)

・本書が全て嘘だという噂もあるが、
嘘だと思って本書を読むと、
嘘を正当化するための口実として、
取材に協力した方の保守や、
アメリカが研究情報と引き換えに、情報抹消に協力したなど、
都合の良い内容が並んでいるように見えてしまって、
何が本当なのかわからなくなってくる。
しかしながら、嘘にしては、
よくできている気がするので、本当のことと、
話が盛られて、嘘が書かれている部分が
混同しているように感じた。
731部隊の存在はおそらく本当なのではないか。
ただし、それらの所業がどこまで本当のことかが不明である。

・丸太に対する人権侵害と、人体実験について、
同じ主張が繰り返し出てきて、正直内容が薄かった。

□中心的主張

民主主義の危うさを歴史が証明している。
民主主義はその主導者によって、誤った方向へ進みかねないのである。

□総合評価

本の主張について,部隊の所業と批判が中心で、
じゃあどうしたら良いのかなどの筆者の考えをもっと書いて欲しかった。

少々難しめの言葉がいくらか出てきたことにより、
語彙力を高められたことや、
終戦までの15年程度の歴史を知ることができたので、
そういう意味では読んだ価値はあった。

□次に読みたい本

世界の問題に着目して、
民主主義の危うさ、日本の資本主義の危うさ、
そこから、新たにどのような体制を取れば良いか、
将来、どのような体制を取られるのだろうか。
そういったことを考えていく糧にする。

「知らないと恥をかく、世界の大問題8」
著:池上彰

□本稿で登場した本リスト

新版 悪魔の飽食, 1983/6/2
著:森村誠一

サピエンス全史 上: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫)
ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田 裕之 (翻訳)

「知らないと恥をかく、世界の大問題8」
著:池上彰

#読了日
17/08/19

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