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中高生のための心理学

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中高生のみなさんが感じているさまざまな思いを心理学で整理してみませんか?人間関係・勉強のこと・家族のこと、様々なことでモヤモヤしていることがあるかもしれません。自分らしく生きよう…
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記事一覧

子どもに関わる教育者・支援者・保護者のための心理学講座

子どもに教育や支援をしている方や保護者の方に向けた心理学講座を企画した背景 「学校の先生・支援員や保護者の方と、困っている子の学びや適応について一緒に支援方法を考える」という活動を心理学の専門家として長年行ってきました。実際に支援現場に出向いて支援活動を行ったり、お子さんや保護者さんへのカウンセリングを行うほかにも、年間30回近い講演会や研修会において、心理学的なアプローチについて紹介しています。講演会や研修会の後に行われる雑談や個別相談会の時間では、講義で紹介した心理学的

いじめ防止の3R|認識する(Recognize)

 いじめを防止するためには、いじめとは何かということを知り、その現状を適切に把握することが大切になります。この note の記事では、学苑社『いじめ防止の3R』をもとに日本の状態を加味して作成したスライドに解説を交えながら、いじめ予防について考えていきたいと思います。  「いじめ予防の3R」の最初のRは、Recognize(認識する)のRです。いじめについて正しく認識することは、いじめの防止や対応になくてはならないことです。今回は、日本におけるいじめの現状をふまえながら、いじ

マインドフルネス-2|あることモード

1. あることモード「あることモード」の原語は being mode です。「あることって、何が?」と初学者の私は戸惑い、哲学的な感じの名称に身構えたものです。しかし、そんなに難しい話ではなく、簡単に言ってしまうと「(自分の思考や感情を)変化させようとしない」ということに近いニュアンスだということがわかりました。下のイラストは「あることモード」についてまとめたものです(私の中のあることモードは凧揚げのイメージです)。 2. あることモードの要点あることモードは「変化させよう

マインドフルネス-1|することモード

1. マインドフルネスに見られる様々なモードマインドフルネス(mindfulness)に興味をもって勉強を始めようとすると、最初の壁が立ちはだかります。それは、マインドフルネスの「定義」です。様々な定義があるのですが、中でも難しさを感じるのは「今ここ」や「評価しない」などの言い回しだと思います。心理学の知識は正しく学んだ方が役に立ちますので、定義を理解することは避けては通れないのですが、別のアプローチからマインドフルネスを理解する方法もあります。それは、マインドフルな状態やマ

セルフ・コンパッション - 2|自分に優しくなるためのトレーニング

1. 仏教とセルフ・コンパッション私たちは自分の欲求を満たしたい気持ちがあります。何かを欲しがる気持ちもそうですが、成功したい・優位に立ちたいという欲求を満たそうとすればするほど誰かに嫉妬したり、自分勝手に振る舞ってしまい、人間関係がうまくいかないなどの不幸な結果を招いてしまいます。また、「家族のために、自分さえ我慢して働けばいいんだ」という自分を苦しめることで幸せを得ようとすることも、結果的に不幸を招くことになります。このような両極端な感情に対してどのように心を保てばいいの

セルフ・コンパッション - 1|自分への優しさとは?

1. セルフ・コンパッションとは?Self-Compassion(セルフ・コンパッション)は「自己への慈しみ」と訳される心の状態です。Compassionには、慈しみという訳の他に、「優しさ」や「思いやり」などの訳もあります。これらの訳語をつかうとセルフ・コンパッションを簡単に表現すると「自分への優しさ」と言えます。 自分への優しさというと、なんだか自分を甘やかしているような気持ちになってしまう人もいるかもしれません。甘やかしと慈しみの違いは何かということを知るために、Se