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マンスリーサポーターを集める時に本当に大切な3つのこと〜認定NPO法人DxP主催「社会起業の資金調達と仲間集め」から〜
2024年2月29日に認定NPO法人DxP主催のオンラインイベント「社会起業の資金調達と仲間集め」に参加してきました。今回のnoteでは、そこでの学びをまとめています。
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DxPさんは「ユース世代にセーフティネットと機会を」をミッションに貧困状態等の困難を抱える若者への支援をしている団体です。
最初は委託事業などの事業型のNPOとして活動を始めましたが2014年から寄付型NPOとして舵を切り、今は収入比率の80-90%が寄付となっています。2024年3月時点で3000人を超えるマンスリーサポーターがいらっしゃいます。
特にに2020年のコロナ禍と物価高騰につながる2022年に大幅にサポーター数が増えました。2019年:719人→2020年:1402人→2021年:2462人→2022年:2843人の推移とのことでした。しかも2022年までは広告はしていないとのことです。
こうした状況から、DxPは8年かけて寄付型NPOに変化してきたと言えるのではないでしょうか。今では毎月50人〜100人ものサポーターが入会されているそうです。
今回のイベントでは理事長の今井さんから、こうしたマンスリーサポーター中心の体制にするために2014年頃からされてきたことを密度濃くお話してくださいました。
たくさんの学びがあったのですが、その中から特に3つ大切なことがあるなと感じたので以下にまとめていきます。
1.継続的に支援してもらえる事業をつくる
マンスリーサポーターを集めるためにまず必要なことは、継続的に支援してもらえる事業づくりだと今井さんはイベント中に発言されていました。
大きくマンスリーサポーターが増えた2020年にどんな事業が始まったのでしょうか。
DxPは2020年からLINE相談「ユキサキチャット」を開始されました。コロナ禍によってバイトができなくなる等の苦しい状況になった若者とオンラインでつながり、進学・就職といった進路や生活の相談受付や、奨学金やバイト先、公的支援や他NPOが提供する支援の紹介をしています。2020年当初700人だった登録者が今では12,800人を超えています。
そして同じく2020年から開始された「ユキサキ支援パック」では、状況に合わせて、①緊急支援として8万円の現金給付、②短期支援として3ヶ月の月1万円と食糧を給付、③長期支援として6ヶ月〜12ヶ月の食糧支援、の3つ支援メニューを提供しています。
2024年1月までの現金給付額は7,363万円、食糧支援数は191,130食と多くの若者を支援しています。
現金給付や食糧給付は寄付額によって、支援できる人数や支援内容がきまります。そのため、多くの若者とつながることで現状やニーズを捉え、それを寄付者と共有しながら寄付を募り、給付をしたり、相談支援体制強化につなげているのです。
こうした継続的に支援してもらうことが前提となった事業づくりがマンスリーサポーターに集ってもらうには大切になります。
2.寄付を心からお願いできるように「実態を整える」
マンスリーサポーターを集めるための発信は、以下の3つを意識しているとのことでした。
①事業で何をしているか
②寄付の使いみち
③寄付の依頼
特に③寄付の依頼ができていない団体さんが多いそうです。
なぜできないかというと、寄付を依頼する団体職員が、心から寄付のお願いができないことを1つの理由として挙げていらっしゃいました。つまり団体のことが信じられないから寄付のお願いをすることがつらくなってしまうのです。
私は、これがマンスリーサポーター集めのボトルネックになっている団体が多いのではないかなと思います。
本当に継続的な支援が必要な事業をしているわけではないのにマンスリーサポーターになってとは言えない
働いている自分が満たされていないのに、自団体への寄付は募れない
こう思ってしまったら、寄付のお願いはできないのは当たり前です。
これに対して今井さんは「実態を整える」ことが大切とコメントされていました。
具体的には、チームビルディングをする、労務環境を整える、採用や育成など体制面を強化するといったことです。
最近、私への伴走支援のご依頼の中に、ファンドレイジングチームづくりが複数団体からあるのも、こうした背景があるんだなと理解できました。
3.やることとやらないことを決める
イベント中、今井さんから「はらぎめ」というセリフが何度かありました。
それは、
DxPは国や企業ではできないことをする
だからこそ寄付型NPOになり
若者のセーフティネットづくりをマンスリーサポーターに継続的に支えてもらうことでやる
こうした覚悟や選択、戦略の意味をこめて「はらぎめ」ということばを使われていたと感じました。
選択するということは、やること・やらないことを決めることです。
DxPは委託事業はやらないと決めて寄付に絞りました。
委託事業は自治体とのお付き合いとなりますので、提案、事業実施、報告など、やらないといけないことやまもらないといけないルールや決まり事も多くあります。これらにかかっていた時間や労力を寄付集めのための情報発信やキャンペーン活動にあてるようにしたということです。
代表の今井さんは、ファンドレイジングに関する活動に10%-20%の時間を使っているそうです。1ヶ月160時間としたら、16時間〜32時間です。
代表自らがコミットをしつつチームでファンドレイジングをすることで、多くのマンスリーサポーターさんが集っているのです。
寄付に絞ってしまうと、財源の相乗効果がなくなってしまうのでは?と思ったあなたへ
ファンドレイジングの研修では、複数の財源のバランスをとることで相乗効果があると伝えています。
複数の財源である①民間財団からの助成金、②自治体からの委託、③寄付・会費、④物販などの自主事業を組み合わせることで、団体の信頼度が増したり、関係者が増えることで、巡り巡って資金獲得額が増えていくことを相乗効果と言っています。
その②がなくなったら相乗効果減るのでは?と疑問に思う方がいるかもしれません。
DxPさんは、銀行からの融資を2016年頃から受けています。委託をうけているからそのつなぎ資金でしょ?と思われるかもしれませんが、そうではない内容で少額の融資を返していく実績を積むことで銀行からの信頼を高めていったそうです。
そして、コロナ禍での現金給付を一気にしないといけない時の助けになりました。
②自治体からの委託はないですが、⑤金融機関からの融資を加えて、相乗効果を出していたのです。
ちなみに①の助成金については2021年度は20%、2022年度は7%の収入比率で寄付に次ぐ収入となっています。
さいごに:どうして今回のイベントを開催したのか?の質問への答え
イベント終盤に、こんな質問がありました。
どうして今回のイベントを開催したのですか?
確かに、結構団体の内部情報やマンスリーサポーター集めのノウハウや考え方がつまっていたので、これをシェアすると、まねされてしまって団体にとってマイナスになるのではないかと思いました。実際160人もの参加者がいました。
この質問に対して、今井さんは、
これから支援が必要な若者は200万人以上になると見込んでいて、DxPいち団体では対応できないのは目に見えています。なので、多くの団体に資金集めと仲間集めをうまくやってもらいたい思って、こうしたイベントをしています。
と答えられました。
まねされてマイナスになるのでは?と思った自分の了見の狭さを恥じました。見ている風景が違います。
今回のイベントにはマンスリーサポーターや寄付者がたくさん参加していたそうです。そして私もDxPさんに毎年寄付をさせてもらっています。
今回のイベントには、DxPの寄付集めについて体感し、知っている人たちが何人か集っていたわけです。
わかっていても見守っていきたい、更に知りたい、そんな思いをもった人たちが参加したイベントは、コメント欄も活発で、たくさんの質問が出てきていて、それに答える今井さんも大忙しでした。
こうしたことからも、マンスリーサポーターを集める上で核となるのは、寄付者であり仲間でもある、そんな関係を多くの人とつくることなんだなと納得しました。
【ファンドレイジングの伴走支援に関心がある方へ】
私はファンドレイジングや組織基盤強化等のNPOの伴走支援をしています。今回のイベントでもお話がありましたが、DxPさんはファンドレイジングの専門家にアドバイザーとして加わってもらい、定期的に話合うことをされていたそうです。もし、DxPさんと同じように、そうした外部のアドバイザーに関心がある方は、公式LINEやホームページからお問い合わせください。
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