中間支援のプレーヤーが変わってくることで、NPOが活動しやすくなってきている~シンポジウム:居場所からはじめる地域共生社会実現に向けてから学ぶ~
2023/1/30に一般社団法人全国食支援活動協力会さん主催の「居場所からはじめる地域共生社会実現に向けて ―食・学習・包括支援の実践より―」に参加してきました。
このイベントは、子ども若者支援における中間支援組織の役割と意義、また今後の支援の在り方について考えるシンポジウムとのことで、中間支援のありかたについて触れられた内容でした。
当事者支援をしている団体が中間支援組織になりはじめている
講演に、LFAの李さんや、育て上げネットの工藤さん、こどもの居場所サポートおおさかの横田さん・吉村さんが登壇されていて、事例のお話をしていたのですが、李さんと工藤さんが口を揃えてコメントしていたのは、
「中間支援組織として呼ばれたのは初めてです」
でした。
LFAは学習支援、育て上げネットは若者支援、こどもの居場所サポートおおさかはプレイパーク、全国食支援活動協力会は老人給食で、対象者への支援を長年していた先に中間支援的な活動が自組織に加わっていったことを言われていました。
中間支援活動の社会的インパクトが見えつつある
全国食支援活動協力会さんが休眠預金で3年間実施されてきた、地域のこども食堂の中間支援を推進する事業の社会的インパクトを調査されました。
その調査は、中間支援組織に関与しているこども食堂と、非関与のこども食堂にアンケートを実施したものでした。結果として、居場所にくる子どもの態度の変化や、こども食堂がつながっている他団体の数、こどもへの食支援回数などが中間支援組織に関与しているこども食堂の方が優位であることがわかりました。
中間支援組織の社会的インパクトはなかなか分かりづらいのですが、それが明示されはじめています。
また、こどもの居場所サポートおおさかが実施した加盟こども食堂のアンケートでも、こども食堂の効果が以下6点挙げられていて、その領域を促進することについて中間支援組織が積極的に支援し、成果として表れていることがわかりました。
・意欲
子ども自身の生活や将来への意欲を引き出し、高める。
・居場所
さまざまな課題を抱える子どもの居場所になる。
・交流
親子、参加者同士、参加者との地域の関係が深まる。
・参加
子どもや保護者がボランティアなどで活動に参加する。
・支援
子どもや家庭が必要としている支援のルートをつくる。
・食育
子どもの食に関する関心を高め、質を向上させる
中間支援の役割やプレーヤーの変化
登壇者のお話を通じて、中間支援組織の役割が浮かび上がってきました。
1.社会問題解決に関わる人のすそのを拡げる
2.地域の問題を自分ごとに思ってもらう
3.ばらばらの活動団体にひとつにまとまってもらう
4.自治体や企業などの各機関との窓口になる
5.寄付や食料の寄付の窓口になる
これを活動団体が実施していることが今までと違うことだと思います。活動していると、当事者支援にいっぱいいっぱいで、関係機関とつながるとか、主義主張が異なる団体と協力する、ボランティアを増やす、寄付集めをする、といった余裕はありません。
しかし、資金や食材などを寄付をする企業や個人、支援をする行政などからみると、そのまとまりのなさが寄付や支援の難しさにつながっていました。これまで、中間支援として長年様々な取り組みがされてきましたが、この部分についてはなかなか成果が出にくい分野となっていたのではないでしょうか。
そこを活動している団体が中間支援として担うことで、社会的インパクトを出しているのです。
事業設計の相談や運営支援だけでなく組織基盤強化や地域づくりなど、幅広い分野で直接活動の実績がある団体が関わってくれるようになっているということで、中間支援のプレーヤーが変わってきたなと感じました。
また、そうした活動を後押ししているのは、休眠預金や大企業などで資金源もかわりつつあります。
さいごに
活動団体が中間支援組織となることはこれからどんどん起きてくると思います。一方、広報やファンドレイジング、会計などについては、様々なプラットフォームで吸収してくれるようになってきたので、そこをうまく組み合わせていくと、リソースがないNPOであってもうまく事業と組織を運営しつつ財源も確保できるようになれそうです。
今回のイベントに参加し、これまで難しいとされていたことの解決策の一つが見えて、とても前向きな気持ちになりました。