寄付の意義を感じ続けられる使途を切り出すのは、実はとっても難しい~セカンドゴール挑戦の認定NPO法人大阪自然史センターのマンスリーファンディングから学ぶ~
認定NPO法人大阪自然史センターさんが、2023/6/30までマンスリーファンディング”インターン制度を整え「社会と自然と博物館」をつなぐ人材を育てたい。学生サポーター88名募集!”をされています。
既にファーストゴールの50人を達成されて、ネクストゴールの88人に向けて引き続き募集をされています。
この団体さんは、大阪市立自然科学博物館の友の会を発祥とする団体さんで、ミュージアムショップや子ども向けのワークショップなどの運営をされています。
私は一度訪問してお話を伺ったことがあるのですが、ミュージアムショップがすごいんです。企画展と連携したオリジナル商品の開発を学芸員を巻き込んでやっているので、企画展を見て感動した人が「これ、欲しい!」と思わずはいられない、マニアックかつ所有欲をくすぐるものを提供しています。
すごいなと思ったのが、「インターン制度を整える」ためのマンスリーサポーター募集ということです。団体の運営全般ではなく、かなり使途をしぼりこんでの募集です。
マンスリーファンディングのページ構成
マンスリーファンディングのページ構成は以下の通りです。太字の部分が重要だなと思うところです。
団体のミッション、ビジョン
67年のあゆみ
活動実績
運営上の課題:博物館で活躍したい若者の参加機会が少ない/「社会と自然と博物館をつなぐ」活動の担い手が育てられない
博物館業界としての課題:法改正で、より求められる多様性への対応
マンスリーサポーターの仕組みで達成したい世界観:サポーターの皆様とともに、学生・若手のインターン制度を構築したい
提供するインターンプログラム説明:自然史センターの各事業の「背景」を学びながら、現場に出て経験を積む時間に
インターンプログラムの目的:「博物館を通して社会課題を解決する人材育成」
インターンプログラムの目標:インターン制度の整備で、若者の学びと成長の機会を支援。受け入れ人数を 0.5名/年→3名/年へ
過去インターン経験者や指導教官からの声
インターン生が年間3名輩出されることの社会的インパクト:インターン生たちが、「博物館の可能性」をひろげる担い手になる
理事長からの挨拶
寄付の使途
歴史ある団体さんほど持続可能性を高めるために若手の育成が課題になっていることが多いです。若手育成の起点になっているインターン生の育成がこれまでできていないことや、2023年4月に博物館法の改正が行われ、地域との連携が努力義務化されたそうで、博物館のありかたが大きく変わる分岐点であることを4.運営上の課題と5.博物館業界としての課題で説明されています。
そして、6.マンスリーサポーターの仕組みで達成したい世界観で寄付を原資に全国からインターン生を集めたいことを表明しています。
ここで私が思った疑問は2つで、①インターンといっても短期~長期いろいろなパターンがあるけれども、どんな内容を想定しているのか?、②大阪の博物館なのに全国から集めるのはなぜ?、でした。
その疑問に応える形で、7.提供するインターンプログラム説明で具体的にインターンの7日間の予定を図と共に示し、8.インターンプログラムの目的として、人材・キャリア育成やアクセシビリティの向上の2つの目的を説明しています。
9.インターンプログラムの目標で年間3人を掲げて、10.過去インターン経験者や指導教官からの声で、過去に参加した岩手大学OBの方と、その時の教官の方のコメントが紹介されていました。
そして11.インターン生が年間3名輩出されることの社会的インパクトでは、全国から集ったインターン生がそこでの経験を活かして「博物館・科学館・動物園・水族館など、各地域のミュージアムに関わり、ネットワークを作りながら活躍する」意義があることが説明され、2つ目のなぜ全国から?の疑問がすっきりしました。
こうした説明により、毎年3人のインターン生が貴重な体験をすることを継続的にサポートするのは大切なことだなと思えました。
マンスリーの寄付金額は6種類
マンスリーサポーターで難しいのは、毎月の金額でどのような支援につながるのかイメージできるようなメニューを提供することです。大阪自然史センターさんは6種類の金額帯で用意されています。内容もイメージわきやすくていいなと思いました。これはとても参考になります。
【コツコツ応援サポーター】500円:1年間ご支援いただくと、1名のインターン生の活動を1日分応援することができます。
【しっかり応援サポーター】1,000円:1年間ご支援をいただくと、2名のインターン生の活動を1日分応援することができます。
【チャレンジ応援サポーター】2,000円:1年間ご支援いただくと、1名のインターン生の「自身の関心に合わせた調査活動」を1日、サポートすることができます。
【近くの学生サポーター】3,000円:1年間ご支援いただくと、近畿圏、関東など、比較的近いところからやってくるインターン生1名の滞在費・交通費をサポートすることができます。
【遠くの学生サポーター】5,000円:1年間ご支援いただくと、北海道・東北・九州・沖縄など、遠方からやってくるインターン生1名の滞在費をサポートすることができます。
【博物館のみらいサポーター】10,000円:1年間ご支援いただくと、あらゆる地域からのインターン生の滞在費を広くサポートすることができます。テキスト『「自然史博物館」を変えていく』を一冊、インターン生に贈ることができます。
いいなと思ったところ
マンスリーファンディングのページがなんでこんなに読みやすいのだろう?と思っていたのですが、何度か読んでわかったのが文字と画像のバランスがよいことです。
例えば、以下のようにインターンプログラムを文字で説明する前に、図で説明を加えています。他の項目でも同じように文字と図を組み合わせて説明がされており、それがとてもわかりやすいです。
そして、もう一ついいところは、インターン生が年間3人輩出され続けることによる社会的インパクトが、インターン学生/博物館へアクセスが困難な人々/団体/博物館界と、様々な視点で語られているところです。これにより、継続的に支援する意味を感じることができます。
さいごに
マンスリーファンディングは、マンスリーサポーターを募る寄付キャンペーンです。継続的に寄付をする意義を感じ続けることができる寄付の使途を切り出すのは、実はとっても難しいことです。
大阪自然史センターさんは、自団体の課題、業界の大きな転換点であることを紐づけて、「長期にわたる人材育成」という観点で切り出されました。
毎年3名のインターン生が輩出されたら、5年で15人、10年で30人と増えていきます。そうして博物館を知った人が増えていったら何か起きそう!と思ってしまいますよね。そうした期待感が含められたとてもよいキャンペーンのやり方だと思いました。
是非セカンドゴールの88名も達成してもらえたらと思います!!
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