rakugaki_22「美術館へ行こう!【東京編】国立西洋美術館(後編)」
私の現存する記録の中で、現在まで「国立西洋美術館」の企画展に出かけたのは10回です。
これは今まで鑑賞してきた「国立西洋美術館」の感想ブログ(後編)となります。
6)2013年3/2-6/2「ラファエロ」
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ、ルネサンスの三大巨匠と呼ばれるあの「ラファエロ」!
まあまあの混み具合ですが、休日ですし思ったほどではありません。
ラファエロの作品は貴重さゆえに、展覧会の開催はヨーロッパでもきわめて難しいらしいです。
本展はヨーロッパ以外では初となる大規模なラファエロ展ということです。
ラファエロ・サンツィオの20点以上の作品と、その周辺画家の作品が約60点で構成されています。
目玉作品は日本初公開の「大公の聖母」。
もう、眼を見開いて観てまいりました(笑)
黒く深い闇に浮かび上がる聖母子。
静かな俯し目の聖母と、こちらを見つめるキリスト。
静かに、繊細に、優雅に観るものに迫ってきます。
ですが実はこの黒く深い闇は、後世に何者かによって塗りつぶされたらしいのです。
元はバックには風景(建物)が描かれていたことが、イタリアのX線調査で判明したそうです。
多分、風景が汚れてきたので、当時流行っていた黒いバックに塗りつぶしたのではと。
この説明文も添えられて展示されていたので、そういう歴史を想像しながら楽しく鑑賞することができました。
7)2013年9/6-11/17「システィーナ礼拝堂500年祭記念 天才の軌跡 ミケランジェロ展」
今年の美術展はルネサンス時代の巨匠が勢揃い。
3月に観に行った「ラファエロ」に、6月に観に行った「ミラノ アンブロジアーナ図書館・絵画館所蔵 レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像」。
そして今回のミケランジェロで三大巨匠が揃い踏みです。
そもそも国立西洋美術館で「西洋美術展」に展示されていた、原寸大より大きい、ミケランジェロによる人のデッサンを昔観て、とてもとても感動したのを深く憶えています。
その国立西洋美術館でミケランジェロとなると、相当期待度が上がってしまいます。
ところが、先行して観にいかれた方の情報だと、美術展というより史料展だとのこと。
なるほどね!
期待度を思いっきり下げて向かいました。
なるほど、ミケランジェロの手紙や自筆手稿類などが多い。
貴重なのは分かるけど・・・う~ん、読めないし。
メインは15歳前後で制作したとされる《階段の聖母》。
初期の大理石浮き彫りによる傑作で、これまで門外不出とされ、長期貸し出し展示されるのは本展が史上初らしいです。
後は素描を中心に30点を超すミケランジェロの作品類ですが、本当にメモみたいに小さい。
あの昔観て感動した、原寸大の人より大きいデッサンはありません。
う~ん、これは期待度を下げて観て正解でした。
システィーナ礼拝堂の天井画のレプリカは、嘘でもいいから天井に展示をすれば、もっと雰囲気がでたのになぁと、展示にもう少し凝って欲しかったです。
まあ、これでも偉大な天才の一端に触れる、貴重な美術展なんでしょう。
兎にも角にも、本年度のルネサンスの三大巨匠シリーズ、コンプリートです。
8)2016年3/1-6/12「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」
本展は、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカラヴァッジョの名品と、その影響を受けたカラヴァジズムの作品約50点、その他関連伝記資料などにより構成し、カラヴァッジョの劇的な人生と作品、そして彼の芸術が美術史に与えた影響を紹介するものです。
38年という短い生涯の中、殺人者にもなったカラヴァッジョ。
激しい気性の画家の中でも、抜きん出て激しく、そしてその結果短い人生となった画家。
かなり攻撃的な性格だったみたいなカラヴァッジョの性格と、彼の描き出す奥深い絵画がなかなか結びつかず、それでもやはりこの作品を生み出したのは彼の精神性なのだと徒然思いながら鑑賞しました。
いや、なかなかの展示でした。
世界初公開!となる「法悦のマグダラのマリア」や他にもカラヴァッジョの珠玉の作品が11点。
数だけ聞くと少なく思われますが、想像したより内容が濃く見応えがありました。
芝居がかった登場人物。
優れたライティング技術によって、闇の中に浮かび上がる人物を見事に描き出しています。
まさに舞台監督のような画家。
中でも「エマオの晩餐」は登場人物の静かなやりとりの中、非常に精神性、ドラマ性があって私は好きになりました。
「洗礼者聖ヨハネ」はジャニーズのようなイケメンですし、これきっと女性ファンが多いと思います(笑)
他の画家さんの作品も良かったですし、そこまで混雑もしておらず、今回の美術展はとても楽しめました。
9)2017年2/28-5/28「シャセリオー展 —19世紀フランス・ロマン主義の異才」
今回は37歳で亡くなった、早すぎた画家の美術展です。
早くから画才を発揮したシャセリオーは、師アングルに「この子はやがて絵画界のナポレオンになる」と言わしめた逸材であり、若干16歳でサロンにデビューしたそうです。
凄いですね!
「絵画界のナポレオン」ですよ!!
あのアングルに10代でそこまで言わせしめる画力って!?
やがてアングルとは決別、独自の作品世界の探求へ向かいますが、道半ば、37歳で急逝しました。
シャセリオーの絵画作品数は260点前後とされますが、所在不明作品も多く、本国フランスでもその作品をまとまった形で見る機会は稀です。
今回の展覧会は、16歳で描いた自画像から、中期の代表作《アポロンとダフネ》、最晩年の《東方三博士の礼拝》まで、絵画約40点、水彩・素描約30点、版画約19点を集め、シャセリオーの芸術を日本ではじめて本格的に紹介するものだそうです。
う~ん、大作が少なくエッチングは多く、特にこれはっ!て思える作品にも出会えなかったです。
国立西洋美術館の割に、地味な感じでした。
その代わりに空いていましたが(笑)
ポスターにも採用されていた「カバリュス嬢の肖像」や、「泉のほとりで眠るニンフ」は眼を惹きました。
早くから画家としての才能を開花されているだけあって、人を描写した絵だと特徴を端的に捉えていて、故にちょっと誇張しているようにも感じ、特に「コンスタンティーヌのユダヤの娘」とかはアニメちっくに感じました。
10)2017年6/20-9/24「アルチンボルド展」
本展は、世界各地の主要美術館が所蔵するアルチンボルドの油彩約10点のほか、素描などおよそ100点により、この画家のイメージ世界の生成の秘密に迫り、日本で初めて紹介されるものだそうです。
いや~、面白い絵画を考えるものですよね~!
生き物や野菜や果物、道具で形造った肖像画。
一応モデルがいるみたいなのですが、結構悪意というか、嫌味が込められたものもあり、肖像画のお相手の怒りを買わなかったのかと心配になりました。
その皮肉めいた肖像画も、歴代のローマ皇帝に好かれたそうですが。
企画展の後には、久し振りに常設展も観て周りました。
今、撮影可能になっているんですね!
みなさんスマホでパチパチ撮っていて、ちょっとビックリしました。
以上、有名どころの巨匠の名前は、たぶん聞かれたことがあると思います。機会があれば、西洋美術に関しては日本有数の美術館、「国立西洋美術館」に美術鑑賞に出かけられるのはいかがでしょうか?
常設展だけでも楽しめると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?