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rakugaki_67「美術館へ行こう!【大阪編】国立国際美術館(後編)」


国立国際美術館

私の現存する記録の中で、現在まで「国立国際美術館」の企画展に出かけたのは9回です。
これは今まで鑑賞してきた「国立国際美術館」の感想ブログ(後編)となります。


6)2014年9/27-12/7「没後50年、日本初の回顧展 ジャン・フォートリエ展」

没後50年、日本初の回顧展 ジャン・フォートリエ展

本展はジャン・フォートリエの、日本で初めてとなる本格的な回顧展だそうです。
東京ステーションギャラリー、豊田市美術館を経て、ここ国立国際美術館にやってきました。

そういえば国立国際美術館も久し振り!
2010年11月に観た「ウフィツィ美術館 自画像コレクション 巨匠たちの秘めた素顔」以来。
って、もうちょっとで4年振りになるぐらいご無沙汰でした。

う~ん、この美術展、正直観に行くかどうか悩みました。
暗そうだし抽象画だし、理解できるか分からないし・・。
で、毎日通勤時に駅に貼られているポスターを目にする訳です。
何だか岩みたいな奇妙な絵。
毎日、変な絵だなぁと横目に見ているんですね。
それがある時、顔に見えたんですよ!!

え!?
顔じゃんって。
で、近寄ってポスターを見たら、「なぜ、この顔を描いたか」というキャッチコピーが。
「人質の頭部」っていう作品らしいのですが、俄然観に行きたくなりました。
また、何よりも仕事漬けの毎日に少々辟易としていたので、息抜きという意味でも行こうかと。

フォートリエはロンドンで美術教育を受け、第一次世界大戦から復員した後、写実的な画風から暗い色彩の抽象的な表現へと変化しながら、パリで作品発表を続けました。
1930年代には一時制作から遠ざかりますが、第二次世界大戦が勃発すると再びパリにアトリエを構え、1943年にはドイツ軍の捜査から逃れるために友人の導きでパリ近郊へ逃れます。
ここでフォートリエは連作「人質」の制作に取り組み始め、パリ解放後に発表しました。
時代を反映した「人質」という主題のみならず、独自の手法で厚く塗り重ねられた絵肌とそこに描かれるきわめて抽象的な人物表現は、戦後のパリの美術界に大きな衝撃を与えたそうです。
以後、フォートリエは分厚い絵具の層を基盤とした美しく緊張感のある作品を生み出し、1960年にはヴェネチア・ビエンナーレで大賞を受賞しました。
本展では、油彩、素描、版画、彫刻など、さまざまな手段を通じて芸術を探究したフォートリエの仕事を、時代別に紹介されています。

暗い陰鬱な人物画からはじまります。
みんな伏目がち。
やがて暗い具象画は、どんどん削げ落とされていって、暗い抽象画に変わっていきます。

う~ん、正直やっぱり分からない。
展示作品約100点のなかでも、代表作である連作「人質」のコーナーは、確かに原型は人の顔なのだなぁと、削げ落とされた魂だけが残った顔のイメージがあって引き込まれるものがあるのですが、後は正直よく分からなかったのが感想です。
う~ん、「黒の青」は何が言いたかったのだろう?
見た目には、黒と青に塗り潰された絵の上に斜めから引っ掻きまわした絵。
心の目で観るのじゃ!と思って観ますが、やっぱりよく分からなかったのでした。


7)2017年1/28-4/16「クラーナハ展 500年後の誘惑」

クラーナハ展 500年後の誘惑

昨日は吹雪ましたよねー。
今週末も寒波到来で寒そうです。
そんな中、今年初の美術鑑賞に出かけました。
この美術展は1月15日まで国立西洋美術館で開催されていたものが巡回してきたものです。
国立国際美術館です。

ルカス・クラーナハは、ヴィッテンベルクの宮廷画家として名を馳せた、ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家だそうです。
大型の工房を開設して絵画の大量生産を行うなど、ビジネス感覚を備えており、一方でマルティン・ルターにはじまる宗教改革にも、きわめて深く関与したそうです。
日本初となるクラーナハ展は、1517年に開始された宗教改革から、ちょうど500年を数えて開催される大回顧展となります。

ドイツ・ルネサンス期とはいえ、まだ中世の残り香を感じる絵に思えて、私的にはあまり好きなタイプの絵ではありませんでした。
凄く早く描かれる方だったみたいで、多くの作品を残されているらしいのですが、んー、イマイチ描き込んでいない感じがします。
政治家にまで登りつめてしまう方なので、絵に没頭するタイプじゃなかったのではと邪推してしまいました。
そんな中、これは描き込んでいてちょっと惹き込まれる絵だと感じたのが、ポスターやハンドビラにも採用されていて代表作でもある「ホロフェルネスの首を持つユディット」と「正義の寓意(ユスティティア)」です。
やっぱり別格に良かったです。
あと「ルグレティア」シリーズも好きでした。

想定通り、あまり混んでいなかったので、全て前面でまじまじと拝めて良かったです。
上記にあげた作品のポストカードを購入して美術館を後にしました。


8)2017年7/18-10/15「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ーボスを超えてー」

ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ーボスを超えてー

ブリューゲルの絵は2010年7月にBunkamuraザ・ミュージアムへ観にいった「ベルギー王立図書館所蔵ブリューゲルの版画の世界 」以来です。
東京都美術館ではメチャ混みそうなので、次に巡回した基本的にいつも空いている国立国際美術館で鑑賞することにしました。

オランダを代表する美術館のひとつ、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館から、ピーテル・ブリューゲル1世の《バベルの塔》は24年ぶりの来日らしいです。
副題に「16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて」とある通り、ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作があるそうです。
また、東京藝術大学COI拠点の特別協力により原寸を約300%拡大したブリューゲル「バベルの塔」の複製画や3DCG動画などのコンテンツも楽しめるそうです。

入ってみると、思ったより混んでいます。
それでも前面で、何とか鑑賞できる感じ。
でも今回の美術展は、ほぼ目玉作品である「バベルの塔」の一択。
まさかとは思いつつ、「バベルの塔」のある部屋に行き着くと、大勢の順番待ちの列が目に入ります。
30分待ちのアナウンスが耳に入りました。
夏休みも避けて、いつも空いている美術館だったので甘くみていました。
それでも直接本物を拝める機会はそうはないので、並びましたよ。
歩きながらではありますが、目の前で鑑賞することは叶いました。
凄く細かく精巧で、16世紀にこれを描いたということに驚きを感じました。
東京芸大による3DCG動画も楽しめました。

グッズ売場では何だか自ら「バベルの塔」を建てたい気分になり、1,000ピースのジグソーパズルを購入しました。

「バベルの塔」のジグソーパズル

この通り、1,000ピースのジグソーパズルで「バベルの塔」を作り上げました。


9)2018年1/21-5/6「開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」

開館40周年記念展 トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために

美術館の40周年記念展ということもあって、画家にクローズアップした美術展というよりも、今回は大分頭をひねったのではなかろうかと思われるキュレーターさん。
国立国際美術館です。

本展は、所蔵作品に新作のコミッションワークなどを組み合わせ、 またパフォーマンスを展示室で継続的に展開するなどの新しい試みにあふれた美術展となっているそう。
この美術展を目撃する人全てが、時間と空間を越え た「トラベラー」となり、 縦横無尽に想像力をめぐらせることのできる美術展・・・とのことです。
普通、美術展の概要や見どころは何となく分かるのですが、今回の美術展は「トラベラー」というキーワードだけで、どんな美術展なのか何のこっちゃよく分からない状態で昨日鑑賞に出かけました。

入ってすぐ、キャリーバッグをひいている4人の女性の20cmぐらいの白い彫像があり、その後ろに空港の映像。
よく見ていると空港の風景が変わっていく。
まあ、これトラベルだねぇ。

次に「至点」という作品。
大掛かりな自動ドアのオブジェ。
かなり色鮮やかにデザインされています。
自動ドアが5つぐらい連なっていて、これ、ドアが開いたら次の世界が開ける・・・みたいな、これもトラベル?

その周りには真っ白な壁が続き、書かれているのは作家名と番号のみ。
138名の作家の音の作品。
全部聴いていたら6時間以上かかるらしい。
こんなの全部聴く人いるの?
音声ガイドを渡されて、作品番号を打ち込んで聴いていくと男性の声だったり女性の声だっり、動物の鳴き声だったり街の喧騒だったり風鈴の音だったり・・・。
目をつぶって聴いていたら、確かにトラベルしている感じ。
それでも全部聴いていられないので、もうほとんどパス。

てな調子で音の作品、映像の作品が多数。
そのいづれもが意味不明。
ロープに石をくくりつけ、それを振り回している男の映像作品。
そしてその静止画の写真の展示。
で、その実物のロープにくくりつけられている石の展示。
これトラベル?

途中、係の方が急に歌い出したり、ああ、これパフォーマンスねと。

まあ、全然分かりませんでした。
映像で、「私が子供を突き落としました」と何度もどもりながら告白する男性の映像とか、もう本当意味不明。

ちょっと笑えたのは額縁の中は何の絵も入っていなくて木枠にジョコンダーってなぶり書きされている作品。
ああこれ、モナリザねと。

あと、iPhoneとヘッドホンを渡されて部屋の中をうろつくといろんな音が聴こえてくるという、ちょっとアトラクションぽいもの。
思い思いに何にもない部屋で、iPhoneをいろんな方向に向けながら歩き周っている人達の光景は、ちょっと可笑しな光景でしたが音に集中すると違う世界へのトラベル感がありました。

それにしても現代アートでも、もう少し理解できる美術展は過去に何度か鑑賞してきましたが、今回の美術展はほぼどの作品にもキャプションによる何の説明もなく、ここまで意味不明な美術展は初めてかも。
現代アート恐るべしと、益々よく分からなくなりました(笑)


以上、国立国際美術館は9回出かけて10の美術展を鑑賞しました。
少し先鋭的な美術展が多く、現代アートに触れたいならこちらの美術館が良いと思われます。

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